東京メトロ有楽町線延伸で新駅誕生へ 運河に囲まれた「鉄道空白地帯」が大変身

東京の湾岸エリアで大きな変化が起きようとしています。東京メトロが進める有楽町線の延伸事業により、これまで駅から遠い場所にあった江東区に新しい駅が誕生する計画が進行中です。通称「豊住線」と呼ばれるこのプロジェクトは、2030年代半ばの開業を目指しており、運河に囲まれた現在の風景から、利便性が大幅に向上する街へと変わっていきます。

豊洲から住吉へ 4.8kmの延伸計画

有楽町線の延伸事業は、豊洲駅を起点に住吉駅までの約4.8kmを結ぶ大規模なプロジェクトです。この区間に新しい駅が複数計画されており、その中でも特に注目を集めているのが枝川駅(仮称)です。東京都と江東区が一体となって整備に取り組んでおり、国土交通大臣の鉄道事業許可を得た上で、2024年には東京都からの都市計画決定の告示を受けました。

延伸ルートには、枝川駅のほかに東陽町駅千石駅の合わせて3つの新駅が設置される予定となっています。これらの駅が完成すれば、現在は鉄道空白地帯となっている地域に公共交通網が整備され、住民の生活利便性が大きく向上することになります。

運河に囲まれた枝川駅予定地の現状

枝川駅は、東陽町と豊洲の間、江東区枝川二丁目に建設される予定です。駅の予定地は、枝川橋東から首都高速9号深川線下の交差点付近までとされています。この地域は現在、複数の運河に囲まれた非常にユニークな環境にあります。

地理的には、豊洲駅からは徒歩15分程度、JR京葉線の潮見駅からも徒歩15分ほどの距離にあります。一方、東京メトロ東西線の木場駅からは約20分かかる立地です。このように、既存の主要駅からはある程度の距離がありながら、実は多くの駅に徒歩でアクセス可能な地点として位置付けられています。

現在の枝川駅予定地周辺は、工事が少しずつ進行中です。運河に囲まれた鉄道空白地帯であったこの場所は、まさに大きな変化の準備段階にあります。水辺の風景が多く残る独特の環境が、今後の開発によってどのように変わっていくのか、地元住民だけでなく多くの人々の関心を集めています。

利便性が「爆上がり」する理由

有楽町線の延伸により、枝川駅周辺の利便性が大幅に向上すると予想されています。これまで鉄道での移動に不便を感じていた地域の住民や、この地域で働く人々にとって、新しい駅の開業は大きなメリットとなります。

特に注目されている点は、相互直通運転の実現です。東京メトロは2025年4月に、有楽町線延伸区間と東武スカイツリーライン・伊勢崎線・日光線との相互直通運転について基本合意を発表しました。これにより、新駅から東武沿線への直接アクセスが可能になり、利用者の選択肢が大幅に増えることになります。

湾岸エリアの発展を支えるこの延伸事業は、豊洲の先進的な都市開発と、住吉を始めとする周辺地域を有機的に結びつける重要な役割を果たすことになるでしょう。

整備に向けた新たな段階へ

東京メトロは、2024年6月から新駅出入口用地の公募を実施しました。枝川駅と千石駅の2駅を対象に、これらの駅周辺の募集対象エリアにおいて土地をお持ちの方や、建物の建替えや開発などを計画・検討されている都市開発事業者からの協力を求めています。

出入口の整備は、駅の利便性を大きく左右する重要な要素です。複数の出入口が適切に配置されることで、駅へのアクセスがより便利になり、周辺地域の発展も促進されることが期待されています。

現在、2024年11月5日に有楽町線延伸(豊洲・住吉間)及び南北線延伸(品川・白金高輪間)の新線プロジェクトが本格始動しており、工事の進捗状況は着実に進んでいる状況です。

地域と一体となった開発

この有楽町線延伸事業は、単なる鉄道線路の延長ではなく、江東区の都市構造そのものを変えるプロジェクトです。運河に囲まれた現在の風景から、近代的で利便性の高い都市空間への転換が進められています。

東京都と江東区が協力して進めるこのプロジェクトは、湾岸エリア全体の発展戦略の重要な一部となっています。枝川駅を中心とした新しい街づくりが、どのような姿に完成するのか、今後の工事進捗に注目が集まっています。

2030年代半ばの開業まで、あと数年の時間が残されています。その間に、現在の運河に囲まれた景観は少しずつ変わっていくことになるでしょう。完成時には、多くの人々が行き交う、活気に満ちた駅へと進化しているはずです。

今後のスケジュール

有楽町線延伸事業は、計画段階から着実に実行段階へと移っています。すでに国からの許可や都からの都市計画決定の告示を受けており、工事体制が整備されている状況です。用地公募も開始されており、周辺地域との連携も深まっています。

2030年代半ばという目標に向けて、工事は着実に進行中です。近い将来、「豊住線」という新しい有楽町線の区間が、東京の交通ネットワークの重要な一部として機能することになるのです。

参考元