紀子さまと悠仁さま、デフリンピックでの特別な一日 ― 伊豆大島が舞台の熱戦と手話のエール
2025年11月23日、東京・伊豆大島。ここは今、大きな注目を集めている「東京2025デフリンピック」オリエンテーリング競技の会場です。
伊豆大島の自然豊かな裏砂漠エリアには、国内外から集まったろう者(聴覚障害者)のアスリートと、彼らを応援する多くの人々、そしてこの日、皇室から秋篠宮妃紀子さまと悠仁さまが訪れました。その姿は、多くのメディアを通して全国に伝えられ、心温まる交流が話題となっています。
デフリンピックとは?
デフリンピックは、聴覚障害者アスリートのための国際的なスポーツ大会です。オリパラに次ぐ歴史を持ち、聴覚に障害がある方々が、その制限を乗り越えて一堂に会し、さまざまな競技で能力を競い合います。
2025年の大会は東京を中心に全国13都市で開催されていますが、伊豆大島は中でもオリエンテーリング(地図とコンパスを使って指定されたポイントをできるだけ早く回る競技)の舞台となりました。
伊豆大島でのオリエンテーリング男子リレー決勝~自然と共に闘うスポーツ
秋の爽やかな空気が漂う伊豆大島の裏砂漠。大会のクライマックスとも言える男子リレー決勝は、選手たちが困難な地形と向き合いながら、仲間にバトンを繋いでいく白熱したレースとなりました。観客席には紀子さまと悠仁さまもおられ、選手たちの力強い走りを真剣に見守っていました。
この競技は、言葉でのやりとりが制限されるデフアスリート特有のスタイル。静けさの中に、体全体で伝えるチームワークと戦略が光ります。一見静かな会場ですが、手や表情、全身体全霊をかけて伝わる“躍動感”は、健常者のスポーツイベントとまた違ったエネルギーに満ちていました。
紀子さまと悠仁さまの温かい交流 ― 手話のエール
競技観戦後、紀子さまと悠仁さまは選手たちに手話で「がんばって!」と励ましの気持ちを伝えられました。多くの選手はその瞬間、笑顔を見せたり、手話で感謝の言葉を返すなど、言葉に頼らない温かさが会場全体を包みました。
紀子さまは普段から障害者福祉への理解と支援活動に積極的であり、悠仁さまも事前に手話を学び、アスリートへのエールに心を込めたと言います。実際に伝えられた手話は簡潔な「がんばって」だけでなく、「感動しました」「努力が伝わりました」と、選手たちを真摯にたたえるものでした。
- 観戦時、紀子さまは終始温かい眼差しをアスリートたちに向けられていました。
- 悠仁さまもご自身の思いを丁寧に手話で伝えられ、若い世代の皇族とアスリートの交流として多くの参観者に印象を残しました。
- 選手団の代表は「皇室の方々から手話でお声がけいただき、とても励みになりました」と語っています。
皇室の視察 ― 伊豆大島での様々な交流
紀子さまと悠仁さまは、デフリンピック観戦の前後にも伊豆大島の様々な施設や地元住民との交流・行事へご参加されました。公式発表によると、大島町役場では近年の台風被害や地方創生に関する事情を住民から聴取されたほか、大島老人ホームや椿油製油所、伊豆大島ミュージアム「ジオノス」などを巡り、地域文化や歴史への理解を深めたとのことです。
- 地元の語り部から自然災害についての体験談をお聞きになったり、
- 高齢者施設でのご交流では心温まるやりとりがあったと、同行したスタッフが話しています。
- 地域おこしや観光振興の取り組みにも大きな関心を示され、地域の方々と親しく言葉を交わしました。
また、伊豆大島ミュージアムでは島の自然地形や火山の歴史を視察され、島ならではの環境を活かしたオリエンテーリング競技の魅力や、住民とアスリートの協力体制にも興味深く耳を傾けられたそうです。
デフリンピックがもたらす地域・社会への変化
今回のデフリンピック開催によって、伊豆大島は国内外から多くのゲストを迎え、地域経済や観光業が活性化する大きな契機となっています。加えて、「聞こえない」という障害に対する理解や共感が全国的に広がってきているのも、こうしたイベントを通じた大きな成果の一つといえるでしょう。
- 大会運営には、地元の学生やボランティアも多数協力。
- コミュニケーションの工夫や、手話・筆談・ジェスチャーによる案内が島のあちこちで見られます。
- 伊豆大島自体が「インクルーシブな社会づくり」のモデル現場となっている様子も期待されています。
また、伊豆大島裏砂漠の独特な地形は、競技者にとっても挑戦的な環境であり、世界に伊豆大島の魅力を発信する大きな機会となっています。地域の誇りや新たな自信へとつながっています。
手話と共生社会――未来へのエール
この日、地元の子どもたちも多数観戦に訪れ、手話でエールを交わす皇族とアスリートの姿に出会いました。見ていた小学生の一人は「手話であいさつするって素敵だなと思いました」「僕も手話をもっと使ってみたい」と話していました。
このような交流は、障害の有無にかかわらず、誰もが分かり合える社会づくりの大切さを、具体的なかたちで伝えています。
- 競技の合間には、観戦者同士でも自然に手話やジェスチャーが交わされる光景がありました。
- 「みんな違って、みんな素晴らしい」という多様性への包容力を感じる大会となりました。
- 手話通訳や情報保障のスタッフの力で、より多くの人がスポーツの感動を共有できる場が広がっています。
まとめ:デフリンピックが生み出す「つながり」と「やさしい社会」
デフリンピック2025伊豆大島会場でのこの一日は、皇室のお二人、アスリート、地元住民、観客一人ひとりの心に、「伝える・伝わる」という喜びと、共に未来をつくるという思いを深く刻みました。
手話で交わされたエールは、ただの励ましの言葉ではなく、「多様な人々がそれぞれの個性を大切に、支え合う社会へのエール」でもあります。
これからもデフリンピックをきっかけに、多くの人が障害の有無を超えて「一緒に楽しむ・応援する」社会の広がりを実感していくことでしょう。スポーツがもたらす感動と、手話や心で伝え合うコミュニケーションの力が、新たな時代のやさしい社会を後押ししてくれます。




