病魔との闘いを映画化「栄光のバックホーム」が描く、元阪神・横田慎太郎さんの28年の人生
2025年11月28日に全国公開予定の映画「栄光のバックホーム」が大きな話題を呼んでいます。この映画は、阪神タイガースに2013年のドラフト会議で2位指名された期待の新人・横田慎太郎さんが、21歳で脳腫瘍を発症しながらも、病魔と向き合い続けた28年の人生を描いた作品です。
期待の若きホープから脳腫瘍との闘いへ
横田慎太郎さんは、2013年に阪神タイガースにドラフト2位で入団し、背番号24を背負う若きホープとして将来を大きく期待されていました。2016年の開幕戦では一軍のスタメンに抜擢され、見事に初ヒットを記録するなど、順風満帆な野球人生の始まりとなるかに見えました。
しかし、その矢先に突然の転機が訪れます。ボールが二重に見えるという異変が生じたのです。医師の診断は、21歳の若者には余りにも過酷なものでした。それは脳腫瘍という、野球人生を絶つほかない病気だったのです。
家族と仲間に支えられた病との闘い
脳腫瘍という宣告を受けた横田さんでしたが、決して希望を失いませんでした。母のまなみさんをはじめとする家族、恩師、そしてチームメイトたちの懸命な支えが、彼の心を奮い立たせました。映画「栄光のバックホーム」では、野球選手としての雄姿だけでなく、引退後の家族や仲間、恋人との知られざる軌跡が丁寧に描かれています。
主人公の横田慎太郎を演じるのは新人の松谷鷹也です。元高校球児でもある松谷は、横田さんの人生に真摯に向き合い、その複雑な感情と強い心を表現しています。また、母・まなみ役は実力派女優の鈴木京香が務め、息子を支える母親の思いを深く表現しています。監督は「20歳のソウル」の秋山純が担当し、感動的なドラマを映像化しました。
引退試合での「奇跡のバックホーム」
横田さんの人生において最も象徴的なシーンが、2019年9月26日の引退試合で起こりました。その日、彼は奇跡のバックホームを披露し、スタジアムを感動に包みました。病と向き合いながらも、野球への想いを決して失わなかった横田さんの姿は、多くの人々の心を揺さぶりました。
この感動的なシーンは、映画のクライマックスとしても重要な位置を占めており、観客に深い感銘を与えることになるでしょう。映画の主題歌には、横田さんの現役時代の登場曲でもあった、ゆずの名曲「栄光の架橋」が起用されています。
試写会での感動的な反応
映画の公開を前に開催された試写会では、横田さんの出身校である鹿児島実業高校の後輩たちも参加しました。会場には先輩の人生を描いた映画を見て、すすり泣きが聞こえたといいます。参加者からは「強い心がすごい」といった感動的な声が上がり、横田さんの生き方がいかに多くの人々に感銘を与えているかが伝わってきます。
現役選手も横田さんを思い続ける
現在も阪神タイガースで活躍する岩崎優選手も、横田さんへの思いを語っています。岩崎選手は中学生からの質問に答える中で、「1軍でホームランを見たかった」と横田さんへの想いを述べました。病に倒れた先輩選手への思いは、現役選手たちの中でも決して薄れることなく、心に刻まれ続けているのです。
人生の意味を問う映画作品
映画「栄光のバックホーム」は、単なるスポーツドラマではなく、人間らしく生きることの意味を問う作品として位置づけられています。野球に生き、仲間に支えられ、家族に愛され、生きることを決して諦めなかった横田慎太郎さんの姿は、今を生きるすべての人々への応援メッセージとなっています。
映画の制作は幻冬舎フィルムの第一回作品であり、横田さんの自著「奇跡のバックホーム」と小説「栄光のバックホーム」を原作としています。限られた人生の中で、どのように輝き続けるのか。その問いに対する一つの答えが、この映画には込められているのです。
配給・上映情報
映画「栄光のバックホーム」は、配給をギャガが担当し、2025年11月28日に全国の劇場で公開される予定です。上映時間は135分となっています。病と向き合い、人生を全力で生きた一人の男の物語は、多くの観客の心に深く刻まれることになるでしょう。
この映画を通じて、横田慎太郎さんの生きた証が、これからも多くの人々に伝わり続けることでしょう。野球の技術や記録ではなく、人生そのものの輝きを映した「栄光のバックホーム」は、2025年の秋冬シーズンを代表する感動作として、映画界で大きな存在感を示すことになると期待されています。



