全国でインフルエンザが急拡大 ― 警報レベル超え、医療現場に深刻な影響 ―
2025年11月21日現在、厚生労働省は全国のインフルエンザ患者数が「37.73人/定点」という過去に例のないレベルまで急増していると発表しました。これは前年同期の1.88人と比較し、劇的な増加ぶりです。特に首都圏および東北地方を中心に警報レベル基準値(30人)を大きく超える状況となっており、ほぼ全国の都道府県で感染が拡大しています。
全国の患者発生状況
今シーズンの流行は特に激しさを増しています。2025年第46週(11月10日~16日)のデータによれば、全国的に定点あたり報告数は37.73人となり、前週比では1.7倍、都道府県別では「宮城県」80.02人、「埼玉県」70.01人、「福島県」58.54人、「岩手県」55.90人、「神奈川県」55.12人、「秋田県」54.60人、「千葉県」53.47人と、主に東日本で特に高値を記録しています。
さらに、東京23区を含む都内では一部の保健所で50人を超える地域もみられています。東京都の公式発表によると、11月第2週までに学校や福祉施設での集団感染が1,616件も報告されており、昨年の同時期(99件)に比べ著しい増加となっています。
医療現場の逼迫と検査遅延
- 急増する患者数が医療現場に深刻な影響を及ぼしています。「限界を超えている」という現場の声があがり、発熱外来や小児科、内科には多くの患者が殺到。検査体制も追いつかず、一部では発熱外来の予約も困難となっています。
- 一部自治体や病院では、インフルエンザ検査キットの在庫不足と人手不足が重なり、待機時間が長時間化。地域によってはオンライン診療を活用し対応していますが、窓口のパンクを防ぐには至っていません。
インフルエンザ拡大の要因
- 乾燥した気候と寒暖差の拡大:11月以降、太平洋側を中心に晴天が続き、空気が乾燥する日が増えています。空気が乾燥するとウイルスが長時間空気中を漂いやすくなり、感染のリスクが高まります。
- 早期の流行入り:例年と比較して今シーズンは流行入りが約6週間も早く、十分な感染対策が浸透する前に感染が拡大しています。
- 集団感染の多発:学校や保育施設を中心に集団感染事例が急増し、児童・生徒の間で爆発的に広がっています。また職場や高齢者施設でもクラスターが発生し、二次感染が懸念されています。
感染状況の推移と注意点
2025年11月上旬、東北や関東の多くの県で警報レベルを超え、全国で8万人以上の患者報告がありました(11月9日集計)。その後わずか一週間で患者数が1.7倍に急増しています。厚労省は、今後も感染が拡大し、12月にかけてさらにピークを迎える可能性が高いと警戒しています。
また、三重県や大阪府、関西地方などでも感染拡大が数字から明らかです。定点あたり患者報告数が顕著に増加する傾向は全国的で、例年のピーク時期である1月~2月に先立ち、今シーズンは年末にも患者数が大きく上振れする見込みです。
今後の見通しと医療現場への呼びかけ
医療現場からは、今後のさらなる流行拡大への危機感とともに、軽症者の自宅療養やオンライン診療の積極的な活用など、重症患者や高リスク者が迅速に医療を受けられるよう協力を求める声が上がっています。
- インフルエンザ予防接種の早期実施
- 手洗い・うがい・マスクなどの基本的な感染対策の徹底
- 咳エチケットや換気の遵守
- 人の多い場所や公共交通機関の利用時には特に注意
- 高齢者や基礎疾患を持つ方、未就学児など重症化リスクの高い層は特に注意
このような対策の徹底こそが、今後爆発的増加が懸念されるインフルエンザ流行から社会全体を守る第一歩となります。
インフルエンザの概要と特徴
インフルエンザは「インフルエンザウイルス」が原因となる感染症で、主にA型・B型・C型があります。特にA型とB型は流行の主因となりやすく、咳やくしゃみなどの飛沫感染で拡大します。潜伏期間は通常1~3日、発症後には38度以上の高熱や全身倦怠感、筋肉痛、頭痛、咳、喉の痛みといった急激で強い症状が特徴です。
- 多くの患者は5~7日で日常生活に戻りますが、小児や高齢者、基礎疾患を持つ人は重症化リスクもあります。
- 毎年冬場に流行し、乾燥や寒冷など気象要因に大きく左右されます。
まとめ:今、求められる行動
現在、日本全国で「警報レベル」のインフルエンザ流行が進行中です。特に東北や首都圏など、患者急増地域では医療現場の逼迫が顕著で、自治体や保健所、教育機関には対応強化が求められています。
個人でできる最大限の予防策を徹底するとともに、地域全体での感染拡大防止策が必要不可欠です。はやめの受診・相談、適切な休養、予防接種の検討や手洗い・消毒の徹底など、身近な行動が拡大防止へとつながります。
今後も最新の感染状況と各自治体・医療機関からの情報を注視し、必要な対応を心がけましょう。




