インフルエンザ感染が史上まれに見る急拡大 ~2025年「去年の40倍」ピーク一か月前倒し、その背景と対策~

2025年秋、日本全国でインフルエンザ感染が例年にない急速な広がりを見せています。厚生労働省や感染症研究所の発表では、今年の流行の開始は例年より1ヵ月以上早い9月末〜10月初旬となり、患者数は一部地域で「去年の40倍」に迫る勢いで増加しています。

感染拡大の最新状況 ― 2025年秋

  • ピーク時期:例年は12月下旬~翌年2月がピークですが、2025年は9月下旬からすでに感染者数の急増が始まり、10月時点で警報・注意報基準を超える地域が続出しています。
  • 患者増加率:複数報告によると、患者数は昨年の40倍に達している例があり、特に小児や学童、高齢者施設での集団感染が目立っています。
  • 主流ウイルス型:今季は「香港A型(A/H3)」が全国の約半数を占め、一般的に“ワクチンが効きづらく、重症化しやすい”と考えられています。
  • 流行開始の要因:マスク等の感染対策意識の緩和、新型コロナの影響による「免疫ギャップ」、海外渡航回復によるウイルス流入、ワクチン株と流行株のミスマッチなどが複合しています。

特に感染しやすい人 ―「5つの特徴」とリスク増加

2025年のインフルエンザ流行を受け、健康データ解析に基づき「罹りやすい人」には5つの傾向があることが明確になっています。これらが複数重なると最大でリスクが3.6倍に達する場合もあるため、個人特性ごとの予防策が求められています。

  • 1)高齢者(65歳以上)

    加齢に伴い免疫力が低下し、インフルエンザに感染しやすく重症化しやすい。早期のワクチン接種と集団への曝露回避が重要です。
  • 2)基礎疾患を持つ人

    心臓・呼吸器・腎臓等の慢性疾患がある方は重症化リスクが高く、感染しやすい傾向があります。かかりつけ医の指導で予防対策を徹底しましょう。
  • 3)妊娠中の女性

    妊娠による免疫バランスの変化で感染率と重症化率が高まります。予防接種を強く推奨されます。
  • 4)小児、特に乳幼児

    集団生活の機会が多く、免疫が未発達なため、感染リスクが高くなります。家族ぐるみの対策が大切です。
  • 5)医療・介護従事者、学校・保育施設に通う児童・生徒

    多くの人と接する環境にあるため、感染しやすい傾向があります。職場での衛生管理と早めの予防接種が推奨されます。

これらの特徴が複数該当する人ほど、インフルエンザ感染リスクは高くなることが統計で示されています。例えば、高齢者で基礎疾患があり、介護職に従事している場合は最大3.6倍のリスクになることもあると考えられています。

コロナ禍後の「免疫ギャップ」と感染拡大

パンデミック期間中、私たちはマスクや手指消毒などの感染対策を徹底してきましたが、その結果インフルエンザの大規模流行は抑制されていました。しかし一方で、「免疫ギャップ」と呼ばれる社会全体のインフルエンザに対する免疫低下が問題視されています。感染対策意識が緩み、海外渡航者が増えたことも、今年の広がりを促進したと専門家は解説しています。

2025年インフルエンザの症状と診断

  • 突然の発熱(急激な高熱)
  • 強い全身倦怠感、悪寒
  • 咳や喉の痛み、頭痛
  • 全身症状(筋肉痛・関節痛等)が同時に現れることが特徴
  • 迅速検査キットによる抗原検出で診断されることが一般的

予防対策 ― 専門家が解説する日常でできる工夫

  • 1)予防接種は「早め」がカギ
    2025年は流行開始が早かったため、遅くとも10月中には接種を終えるのが理想です。既存のワクチンが流行株とややマッチしにくい可能性が指摘されているため、複数年未接種の方ほど早期接種を強くおすすめします。
  • 2)マスク着用・手洗いの復活
    マスク着用、頻繁な手洗い・手指消毒は引き続き有効です。特に人が集まる場所(病院、学校、イベント会場など)での着用を心がけましょう。
  • 3)換気と部屋の湿度管理
    空気中のウイルス量を減らすため、家庭や職場・学校での定期的な換気湿度管理(50%程度)を徹底しましょう。
  • 4)体調不良時の受診と休養
    少しでも体調に異変を感じたら、無理をせず早めの医療機関受診自宅休養で周囲への感染を防ぎましょう。
  • 5)基礎疾患や体力低下がある方は、日頃から睡眠・栄養のバランスを整える
    過労や不規則な生活は免疫低下につながります。体を休めることも予防です。

地域ごとの拡大傾向 ― 小児・高齢者の施設、学級閉鎖も

愛知県・福岡市などでは9月上旬から学校や保育施設で学級閉鎖が相次ぎ、横浜市でも小児患者の増加が著しいことが報告されています。全国的に、15歳未満の子どもが患者全体の約48.7%を占めるデータもあり、小児集団への警戒が強まっています。今後さらに高齢者施設や医療機関など、クラスター拡大も懸念されています。

今年は「感染してから気づく」人が増加?注意したいポイント

  • 発症後すぐに高熱が出るケースは例年と変わりませんが、今年は発熱せず倦怠感や咳のみでインフルエンザと診断される例も報告されています。
  • 新型コロナウイルスとの同時流行により、症状の区別が難しくなっています。早めの検査・受診を心がけましょう。

医師からのアドバイス ― タイプ別予防策を意識しよう

医師の解説によると、「誰もが感染し得るが、感染しやすさには個人差がある」とされます。ご自身や家族・職場の「タイプ」に合わせて予防策を調整することが賢明です。

  • 高齢者・基礎疾患がある人は、早期のワクチン接種・人混み回避・体調管理を強く意識する。
  • 妊婦や小児は家族同士での感染防止策(手洗い・換気・家庭内消毒)を徹底する。
  • 医療介護職、子どもたちは職場や学校ぐるみの予防集団行動が重要となります。

まとめ ― 早期対策で2025年秋冬を乗り切ろう

2025年のインフルエンザ流行は、これまでにない速さで拡大し、多くの地域や家庭・職場を脅かしています。罹りやすい人の傾向を知り、自分・家族・職場に合わせた予防と「早めの行動」で、この冬を安心して乗り切りましょう。感染者数の増加とともに、社会全体で連携していくことが大切です。

参考元