ビットコインが今年のピークから約30%下落:ドル相場と連動した最新動向をやさしく解説
はじめに
ビットコイン(BTC)は2025年11月現在、米ドル建てで今年のピークから約30%下落するという厳しい局面に直面しています。さらに下落が続き、ドル相場とも強く連動しながら、暗号資産市場全体が大きな転換点を迎えている状況です。本記事では、最新のビットコイン市場動向や下落の要因、今後注目すべきポイントをわかりやすく解説します。
ビットコイン、今年のピークから30%下落 ― その背景と現状
2025年11月、ビットコインの米ドル建て価格は9万ドル台前半まで下落しました。日本円でも、一時1,300万円台まで急落し、今年6月以来の安値を記録しています。この下落幅は、年初来の上昇分がほぼ帳消しになるほどの大きなもので、暗号資産市場だけでなく、全資産クラスの中でも際立って後れを取る展開となっています。
- 2025年春にはビットコインが1,890万円(約12.5万ドル相当)の過去最高値を更新
- その後、9月には1,800万円台から1,600万円台に下落
- 11月、さらに1,300万円台へ急落し、6月以来の安値を記録
- ピーク(1,890万円)から約30%に及ぶ大幅な下落
ピークから30%という下落幅は、歴年でも大きな値動きであり、長期投資家や新規参入層にも大きな心理的影響を与えています。この状況は、単に暗号資産市場だけの問題ではなく、外部経済要因や投資家の心理も複雑に絡み合っています。
下落要因①:ドル流動性の低下と米国金融政策
ビットコインの価格下落の大きな背景には、米ドルの流動性低下や、連邦準備制度(FRB)による金融政策の転換への不安感が挙げられます。2025年8月、米ジャクソンホールでのFRBパウエル議長のタカ派的発言が市場心理を冷やし、リスク回避の流れが強まりました。
- FRBの利下げ観測の後退
- 米ドル流動性のタイト化
- AIバブル沈静化への懸念から米株式市場が調整モードに
こうした外部の金融環境の変化が、ドルに連動しやすいビットコインにも波及し、「安全資産」への逃避や一時的な資金蒸発といった現象を引き起こしています。
下落要因②:ETF・機関投資家の動きと売り圧力
さらに、2025年は暗号資産現物ETF(上場投資信託)が話題となりましたが、直近ではETFからの資金流出が増加傾向にあり、追加的な売り圧力を生んでいます。バイナンスなど大手取引所へのBTC預け入れが増えたことで、売却を予定する機関や個人の動きが数値として現れています。
- 11月にはビットコイン現物ETFから純流出額が約25億7,000万ドルに達した
- バイナンスのBTC準備金は先月の54万BTCから58.2万BTCへ増加
- この流れは、売却を見越した資金移動であり、今後さらなる価格圧力につながる可能性がある
一方で、個人投資家が降伏的に売りに出す一方、機関投資家による大量買い増しも進行しているという報告も存在します。この資金の「入れ替わり」は、今後の市場動向を占う重要なポイントです。
下落要因③:暗号資産市場特有のリスクと材料不足
暗号資産市場に固有の事情として、今年はMEXCなど一部取引所の大口アカウント凍結疑惑、Balancerプロトコルのハッキング被害の拡大なども発生しました。こうした信頼感の低下が、市場参加者のセンチメント悪化に拍車をかけたと考えられます。
- トレジャリー企業の購入停止や米トランプ政権支持率の低下など材料不足
- 短期資金のドル流動性低下
- 取引所イベントによるCeFi・DeFiへの不信感拡大
また、2023年から続いた「上昇相場」の息切れも指摘され、その転換点となる可能性も意識されています。とくに200日移動平均線や50週移動平均線、週足の一目均衡表の雲など重要テクニカルラインを下回ったことで、機械的な売り注文も増えたと見られます。
市場関係者の意見とビットコイン価格の節目
専門家や市場アナリストは現状について、以下のような視点を示しています。
- 「売り圧力が増大し続ける一方、需要は依然として弱い。真のマーケットボトムは通常、強い需要流入を示すが、現在のオンチェーンデータは底入れを示していない」
- 「複数の重要なサポートラインが意識されている。9万ドル、8.8万ドル台、その下は8.2万ドル程度」
- 「ベアマーケットが本格化すれば、最悪の場合4.55万ドル(約700万円)まで下落する余地もある」
現在、ビットコインは8.8万ドル〜9万ドル付近で下値を探る展開が続いており、明確な反発材料がなければ今後さらに下落する可能性も残されています。この節目を下回る場合、次の下値目安として8.2万ドル、そして究極的な長期サポートラインは4.55万ドルが意識されています。
今後の注目ポイント
- 米ドルの金利政策:12月FOMCでの利下げ見通しや米国債市場の動きが再度ビットコイン価格に大きな影響を及ぼす。
- ETF資金フロー:現物ETFから再度資金流入が増えるか、それとも流出が続くかを注視。
- テクニカル分析による節目:90,000ドル/8,800ドル/8,240ドル/4,5500ドルそれぞれのサポートライン突破や反発の有無。
- 投資家心理・新規資金の動向:個人投資家の投げ売りが一巡すれば、機関投資家や長期保有層の新規買いが入るか注目。
まとめ:投資家へのメッセージと今後の注意点
ビットコイン(BTC)は2025年11月時点で今年のピークから約30%下落し、米ドル建てでも9万ドルを割り込む局面に突入しています。主な要因として、米ドルの流動性低下、米国金融政策のタイト化、ETF資金の流出、テクニカルサポートの崩壊、市場心理の悪化などが複合的に作用しました。
今後は、世界的な金利動向や株式市場の調整、ETFへの資金流入出、主要サポートラインの維持がカギとなります。長期投資家にとっては、歴史的なサポートまでの下落リスクを踏まえたリスク管理が重要です。個人・機関の資金の入れ替わりや新たな市場材料にも引き続き注目していきましょう。
このような不安定な相場では、焦らず冷静な判断が大切です。これまで積み上げてきた経験や、専門家の分析を参考に、無理のない範囲で資産運用を継続することをおすすめします。
参考情報・用語解説
- ビットコイン(BTC):世界初の分散型暗号資産。時価総額最大。
- ETF(上場投資信託):証券取引所に上場する投資信託商品の一種。暗号資産ETFは現物や先物を原資産とする。
- 米ドル流動性:市場における米ドルの供給量。潤沢な時はリスク資産に資金が流入しやすい。
- サポートライン:投資用語で、相場の下値目安となる価格帯。


