米国市場で揺れ動くダウ平均、エヌビディア決算と雇用統計が起爆剤
注目のNY市場概況:ダウ平均とナスダックの動き
2025年11月20日(米国時間)、ニューヨーク株式市場は大きな値動きを見せました。ダウ平均は続伸で始まり、一時600ドル以上上昇し、ナスダック指数も2%近く上昇する場面が見られました。主な背景には半導体大手エヌビディア(NVIDIA)の好調な決算発表があり、市場に安心感が広がりました。
一方で、時間が経過するにつれダウ平均・ナスダックともに伸び悩み、昼過ぎには下落に転じる波乱の展開となりました。序盤の力強さと終盤の軟調さが交錯し、投資家心理は大きく揺れた一日です。
序盤:エヌビディアの決算がもたらした高揚感
- 開場直後からダウ平均600ドル高、ナスダック2%上昇で始まった。
- エヌビディアの決算発表はAIチップ部門の売上が市場予想を上回り、市場全体に安心感が提供された。
- 同時に発表された米国の雇用統計も好調で、市場の買い意欲を後押ししました。
特にAIや半導体銘柄への買い戻しが顕著でした。エヌビディアはAI投資の象徴的存在であり、その成長性の高さがマーケットセンチメントに大きな影響を与えました。
また、 IT・ハイテク株全般への買い戻しが強まり、アルファベット、アマゾン、アップル、メタなどGAFA銘柄やセムラッシュ、アドビ、イグザクトといった新興・テクノロジー関連銘柄にも資金が流入しました。ドル高も相まって、米市場全体が活気づきました。
1時台:利益確定売りと金利動向が逆風に
- ダウ平均+494ドル高、ナスダック+1.6%上昇という高値圏で推移。
- 一方で、米国の利下げ期待が後退し、慎重姿勢の投資家も増加しました。
- マーケットは利益確定売りが徐々に増え、流れが変わり始めます。
12月の利下げ確率が下がったことで金利感応株の上値が重くなり、値動きに一服感が出始めました。米金融政策やインフレ指標への警戒が、短期の上げ一服につながったと考えられます。
とはいえ終値は前日比+47.03ドル高(0.10%)と小幅ながらプラスを維持し、市場全体の底堅さも確認されました。
2時台以降:急転直下の下落
- ダウ平均・ナスダックともに下落に転じる急展開。
- 利益確定売りが本格化し、愛好家株も上値を抑えられる展開。
- エヌビディア決算後の安心感が薄れ、短期筋のポジション調整が始まる。
昼過ぎにはエヌビディア効果も一巡し、米金利動向や雇用統計の解釈変更からリスク回避姿勢が強まったことで、ダウ・ナスダックともマイナス圏に急落します。一時序盤の高騰と真逆の動きとなり、市場関係者はその急展開に驚きを隠せませんでした。
主要銘柄・個別株動向
- エヌビディア(NVDA):決算発表で2.85%高、一時市場全体をけん引。
- セムラッシュ(SEMR):アドビが約19億ドルで買収発表、73.96%高の急騰。
- イグザクト・サイエンシズ(EXAS):買収報道で23.68%高。
- コンステレーション・エナジー(CEG):米政府支援報道で5.34%高。
- アップル、アマゾン、アルファベット、テスラなど主要ハイテク株にも幅広く資金流入。
このように、個別銘柄も大型買収や政策支援のニュースにより上下動が目立ちました。IT・ハイテク、AI銘柄中心の相場展開が本日の特徴です。
ダウ平均・ナスダックの推移と市場心理
本日のダウ平均終値は46,138.77ドル(前日比+47.03)、一時は600ドル高まで上昇したものの、その勢いは維持できませんでした。ナスダックも22564.23(+0.59%)と前日比プラス圏での引けです。
市場心理としては、「エヌビディア決算への期待」と「米金利動向や雇用統計による警戒感」が交錯し、投資家たちは積極買いと利確・慎重姿勢の間で右往左往した形となっています。このため、短期的な売買が活発化し、相場全体は大きく揺れました。
また、日本市場にもこのダウ平均先物高の影響は大きく、日経平均も1282円高と急騰し、東京市場を強く刺激したことが伝えられています。
今後の見通しと注意点
- エヌビディアやAI関連株の動向が米国市場のみならず世界市場にも波及する可能性。
- 米金融政策(金利・利下げ観測)、雇用統計・経済指標次第で市場心理が瞬時に変化する展開。
- 個別大型買収や政府支援ニュースなどによるセクター間の資金移動にも注目。
マーケットは「安心」と「警戒・調整」を行ったり来たりする状況が続くとみられます。AIやITバブルへの警戒観もあり、今後も乱高下しやすい時間帯が続くと予測されます。
ダウ平均・ナスダックの数字まとめ
- ダウ平均終値:46,138.77(前日比+47.03, +0.10%)
- ダウ序盤高値:一時600ドル超まで上昇、655ドル高の場面も
- ナスダック終値:22,564.23(+131.38, +0.59%)
- 日経平均も急騰、ダウ平均先物高で追随する展開
背景となった注目イベント
- エヌビディア決算発表:AI関連需要の成長が決算を押し上げ、米国株式市場全体の買い安心感に直結。
- 雇用統計発表:強い数値が米国経済の底堅さを証明、市場参加者のリスクオン意欲を喚起。
- 米金融政策観測:12月の利下げ期待が後退、金利感応株の値動きに影響。
まとめと投資家へのメッセージ
2025年11月20日のNY市場は、エヌビディア決算と雇用統計が両輪となって強気・弱気両派入り乱れる展開でした。序盤の大幅高の安心感が終盤には一転し、利益確定売りや金利先行き不透明感から下落に転じる複雑な一日となりました。
投資家はAIやテクノロジー分野の成長へ期待しつつも、金利変動と経済指標への警戒を忘れず、慎重な対応が求められそうです。個別株やセクター間の動きにも注目しながら、流れの変化に柔軟に対応する力が試される局面です。
今後も世界中の投資家が米国株式市場の動向に目を凝らす日々が続きそうです。



