JAL客室乗務員のスニーカー解禁が話題に!働きやすさを重視した新しい制服運用がスタート
2025年11月13日、日本航空(JAL)が大きな発表をしました。客室乗務員と空港スタッフが、これまでの革靴やパンプスに加えて、スニーカーを着用して業務にあたることができるようになったのです。この新しい取り組みは、約1万4000人のスタッフに影響を与えるもので、業界内だけでなくSNSやテレビでも大きな反響を呼んでいます。
スニーカー解禁の背景にある現場の声
なぜ今このような決断に至ったのでしょうか。その答えは、現場で働く社員たちの声にあります。客室乗務員は航空機内で長時間立ちながら業務にあたり、空港スタッフは広い空港内を長距離歩行する場面が数多くあります。これまでの革靴やヒール、パンプスでは、足への負担が大きく、身体的な疲労が蓄積していました。
飛行機の中で長時間立っている乗務員や、広い空港を移動する必要のあるスタッフから、スニーカー着用を求める要望が上がっていました。この声をしっかりと受け止めたJALが、働きやすい環境を整えるために決断したのが、今回のスニーカー解禁です。
段階的な制服改革の延長線上にある取り組み
実は、このスニーカー解禁は突然の決定ではなく、JALが進めてきた段階的な制服改革の一環なのです。2020年3月、JALは従来のヒール規定を変更し、より幅広い選択肢を提供し始めました。当時、パンプスに代わるフラットシューズやスラックスが選択肢に加わり、働きやすさを重視する方針へと舵を切ったのです。
その後、さらなる環境改善と足の負担軽減を考慮して、今回のスニーカー解禁に至りました。約5年の時間をかけて、段階的に靴の選択肢を広げてきたJAL。この丁寧なアプローチは、制服全体のデザインバランスを保ちながら、社員の働きやすさを優先する姿勢を示しています。
スニーカー着用の具体的なルール
では、どのようなスニーカーであれば着用できるのでしょうか。JALが定めたルールを確認してみましょう。
基本的な要件は、制服に馴染む黒色でシンプルなデザインのスニーカーであることです。素材は革、合皮、布素材など問いません。紐のないタイプのスニーカーも着用可能とのこと。これにより、スリッポンタイプなど、より脱ぎ履きしやすいスニーカーの選択肢も広がりました。
ただし、安全運航のためにいくつかの制限があります。まず、つまづき防止のため、客室乗務員が使用する「フットステップ」に収まるよう、厚底スニーカーの使用は禁止されています。また、ブランドロゴが目立たないこと、紐の穴も黒であることなど、細かなルールも設定されています。これらのルールは、安全性と制服としての統一感を保つための配慮なのです。
対象となるスタッフと実施範囲
このスニーカー解禁の対象は、JALグループ全体に及びます。JALをはじめ、ジェイエア、日本エアコミューター(JAC)、北海道エアシステム(HAC)、日本トランスオーシャン航空(JTA)、琉球エアーコミューター(RAC)のグループ6社の客室乗務員が対象です。
さらに、国内56空港、海外40空港に配置された旅客サービススタッフも対象となります。これらのスタッフは、従来通りパンプスや革靴などの着用も認められており、自分たちの身体の状態や勤務の内容に応じて、最適な靴を選択できるようになったわけです。
業界全体に広がるスニーカー解禁の流れ
実は、JALがスニーカー解禁に踏み切ったのは、業界全体の流れの中での出来事です。すでにJALグループの格安航空会社(LCC)ZIPAIRは、2019年の発表時点でスニーカーを制服として採用すると宣言し、2020年の就航当初から実際に採用していました。当時は賛否両論が湧き起こりましたが、実際に運用が始まってみると、良好な結果が得られたのです。
また、スカイマークは2025年4月14日から、客室乗務員と空港スタッフがソールの高さが4cm未満の黒のスニーカーを着用できるようにしました。さらに、ANAホールディングス傘下のAirJapanも、スニーカーやフラットシューズなど、複数の靴の選択肢を認めています。
このように、国内の航空業界全体で働く足の開放というテーマが広がっている中で、業界最大手のJALがスニーカー解禁に踏み切ったことは、業界全体の働き方改革の加速を示すものとなりました。
社員と利用者からの好反応
このニュースが発表されると、SNSやテレビなどで大きな反響が生まれました。「新鮮」「動きやすそう」「乗務員さんの負担が減るのはいいこと」といったポジティブなコメントが相次いでいます。
実務的な視点からも、業界内からは「プラスの面が大きい」という評価が聞かれています。足への負担が軽減されれば、乗務員たちのストレスや疲労が減り、その結果として利用者へのサービスの質も向上する可能性があるからです。
働きやすさを重視する経営姿勢
今年度、JALは他にも働きやすさを重視する取り組みを進めています。例えば、空港スタッフの暑さ対策として「開襟シャツ」や「空調付き安全ベスト」を導入しました。スニーカー着用の解禁は、こうした一連の取り組みの延長線上に位置づけられます。
JALの経営陣は、社員一人一人が働きやすい環境を整えることが、最終的にお客さまにスムーズで心地よい体験をしていただくことにつながるという考え方を持っています。この姿勢は、単なる福利厚生の向上ではなく、サービスの質的向上を目指すビジネス戦略でもあるのです。
今後の展開への期待
スニーカー解禁から一週間余りが経過し、実際に現場でどのような変化が生まれているのかに注目が集まっています。乗務員たちが実際にどのようなスニーカーを選択し、それによってサービスの質がどう変わるのかは、これからの観察が必要です。
また、このような取り組みが業界全体にどのような波及効果をもたらすのかも興味深い点です。働き方改革が進む現在、各業界で同様の取り組みが広がっていく可能性もあります。
まとめ
JALの客室乗務員と空港スタッフがスニーカーを着用できるようになったことは、単なる制服ルール緩和ではなく、働き方改革の重要な一歩です。長時間の立ち仕事で足に大きな負担を強いられていた現場の声を聞き、段階的に改善を重ねてきたJALの姿勢は、現代的な経営哲学を示しています。
社員の働きやすさが、最終的には利用者へのより良いサービス提供につながるという信念のもと、今後もJALがどのような改革を進めていくのか、その動きから目が離せません。




