住友ファーマが大きな注目を集める、目標株価が大幅に引き上げられました

医薬品大手の住友ファーマ(証券コード:4506)が、投資家の間で話題となっています。日系大手証券会社のSMBC日興証券が、11月19日に同社の目標株価を従来の1,400円から2,600円へと大幅に引き上げたのです。これは85.7%の大幅な上昇修正となり、市場に大きなインパクトをもたらしました。

この目標株価の引き上げは、住友ファーマの最近の好調な経営成績に基づくものです。同社は上半期の決算において、営業利益が前年同期の赤字から大幅に回復し、962億円を計上しました。これは従来予想の690億円を大きく上回る着地となっています。

好調な上半期決算が上方修正につながった

住友ファーマが発表した2026年3月期の第2四半期(2025年4月~9月)の決算は、複数の指標で堅調な結果となりました。売上高は1,619億円で前年同期比10%増を達成し、営業利益は153億円で同30%増、純利益は100億円で同34%増となっています。この着実な成長は、市場関係者の間でも好意的に受け止められています。

特に注目すべきは、この好調な上半期の成績に基づいて、通期予想が大きく修正されたことです。営業利益の通期予想は従来の540億円から980億円へと修正されました。これは前期比で3.4倍という驚異的な水準で、市場の予想をはるかに上回る内容となっています。

主力製品の好調が業績を牽引

住友ファーマの業績好調の背景には、複数の主力製品の販売が想定以上に進んでいることがあります。特に、抗がん剤「オルゴビクス」過活動膀胱治療薬「ジェムテサ」が好調に推移しており、これらの製品売上計画が上方修正されました。

これらの製品が期待通り、または期待以上に売上を伸ばしていることで、会社全体の業績が大きく改善されているのです。アナリストの間でも、これら製品の進捗率が極めて高いという評価があり、さらなる上振れの余地があると意識されている状況です。

株価とレーティングの現状

11月19日時点での住友ファーマの株価は2,452円(一部では2,458円)で推移しています。SMBC日興証券が提示した2,600円の目標株価に対しては、約6%のアップサイドがある状況です。

レーティングについては、SMBC日興証券は「中立(2)」との評価を据え置いています。目標株価は大幅に引き上げられたものの、レーティングそのものは変わらないというスタンスです。ただし、アナリスト評価の平均値は2.8の「中立」となっており、複数のアナリストが異なる見方を持っていることが伺えます。

配当政策と自社株買いも発表

住友ファーマは好調な業績に加えて、株主還元策も充実させています。配当については、当初の予定から4円の増額修正が行われ、さらに10円の追加増額が決定されています。これは株主にとって好材料となるものです。

さらに、同社は発行済み株式数の3.62%にあたる720万株(金額ベースで300億円)を上限とした自社株買いを実施することを決定しました。買い付け期間は11月1日から2026年10月31日までとなっており、約1年間にわたる中期的な株価サポート施策として機能することが期待されています。

理論株価からみた評価

住友ファーマの理論株価をみると、複数の指標に基づいた評価が行われています。PBR(株価純資産倍率)基準での理論株価は2,373円で、現在の株価2,452円に対して「妥当水準」と評価されています。

一方、PER(株価収益率)基準での理論株価は1,998円となっており、この水準では現在の株価が「割高」と判断される傾向にあります。ただし、会社予想ベースのPERは10.6倍と比較的低い水準にあり、アナリスト12ヶ月後予想ベースで見ても13.6倍程度となっています。

想定株価レンジと投資判断

想定株価レンジについては、PBR基準では下値目途が1,837円、理論株価が2,373円、上値目途が2,908円となっています。現在の株価2,452円は、この想定レンジの中でも中程度から上側に位置している状況です。

市場では一段の上方修正の可能性も意識されており、アナリストの間で「一段の上振れ余地も意識される展開」との評価が出ています。つまり、現在の業績予想がさらに上振れする可能性があると考える投資家も増えているということです。

今後の注目ポイント

住友ファーマの今後の株価動向を占う上では、いくつかの注視点があります。まず第一に、主力製品である「オルゴビクス」と「ジェムテサ」の継続的な販売状況です。これらが引き続き好調に推移するかどうかが重要になります。

第二に、新たな目標株価2,600円への到達可能性です。現在のSMBC日興証券の目標株価は、前年同期の赤字から劇的に改善した業績に基づいて設定されています。これが達成されるかどうかが、投資家の判断材料となるでしょう。

第三に、自社株買いによる株価サポート効果も注視されます。約1年間にわたる株価サポート施策が、株価の下支え要因として機能するかどうかが注目されています。

医薬品業界の中での位置づけ

医薬品業界全体の中で住友ファーマの位置づけを見ると、競合各社との比較が参考になります。同業の大手企業と比べて、住友ファーマは現在のレーティング平均が2.8の「中立」と、やや慎重な評価が多いことが特徴です。

しかし、今回の大幅な目標株価引き上げにより、市場評価が改善される可能性は高いと考えられます。特に、具体的な業績好調の実績が出ている点が強みとなっており、今後の決算発表時には、さらに好意的な評価が広がる可能性も想定されます。

まとめ

住友ファーマは、SMBC日興証券による目標株価の大幅引き上げから、市場全体で注目を集める銘柄となりました。上半期の決算が予想を大きく上回る好調さで、通期の業績予想も3倍超に修正されるという劇的な改善が実現しています。

主力製品の販売が計画以上に進んでいることと、充実した株主還元策が組み合わさることで、投資家の期待が高まっている状況です。ただし、レーティングについては「中立」の評価が据え置かれており、アナリスト全体としては慎重な見方も存在します。今後、さらなる決算の好調が続くかどうかが、株価の上昇を支える重要な要素となるでしょう。

参考元