NYダウ続落——米利下げ観測の後退とNVIDIA決算を前に不安高まる米株市場

はじめに

2025年11月19日、ニューヨーク株式市場(NYダウ)が続落し、大きな注目を集めています。本記事では、NYダウの価格変動や市場全体の雰囲気、背景となる米国金融政策の動向、そしてAIバブル崩壊リスクに晒される米国テック株の現状など、最新の情報をわかりやすくお伝えします。

NYダウの主な動き

  • NYダウ(ダウ平均株価)は4営業日連続で下落、前日比で約498ドル安(-1.07%)の46,091.74ドルで取引を終えました。
  • 市場序盤では横ばいだったものの、昼前から徐々に売りが優勢になり、深夜にかけて下げ幅を拡大しました。
  • 一時は676ドル安まで下落する場面も見られ、市場全体にリスク回避の雰囲気が広がっています。
  • ナスダックやS&P500など、他の主要株価指数も軒並み下落していますが、ダウの下落率は特に大きくなっています。
  • 米国株の主要3指数のうち、US100(ナスダック100)が最も下落率が高く、US30(ダウ)もそれに続く形となりました。

市場が注目する背景——米利下げ観測の後退

米国の経済指標やインフレ動向を背景に「FRBによる利下げ開始時期が後ろ倒しになるのではないか」という見方が強まっています。これにより、投資家の間では債券利回りの上昇や資金調達コスト増加への警戒感が強まり、リスク資産の売りが加速しています。

  • インフレ鈍化の兆しが弱かったことなどから、これまで支えてきた米利下げへの期待が後退。
  • 結果として、成長株やテック株を中心に売りが優勢となりました。

NVIDIA決算を控えたテック株売り

2025年の米国株相場を大きく牽引してきたのが、AI関連銘柄を中心とした米国テック企業です。その代表格であるNVIDIA(エヌビディア)の決算発表が迫る中で、市場は「高値警戒感」や「過熱修正」に対する警戒感を強めています。

  • NVIDIAは今年に入ってAIブームの象徴ともいえる急騰をみせてきましたが、今月初めから8%程度の下落。
  • 設備投資のための巨額社債発行や、各社の高バリュエーション(割高な株価水準)が意識されています。
  • NVIDIAの株価は18日取引で181.36ドル(-2.81%)と大幅下落。
  • 同じく大型テック株であるマイクロソフト、AMD、テスラなども軒並み下落し、AIや半導体関連バブル崩壊への懸念が取り沙汰されています。

NY各市場の時間別振り返り

  • 日本時間で19日午前3時台には、ダウ平均は小幅に上昇、ナスダックは一時マイナスからプラスへ。
  • 4時台にダウ平均は再び下落(前日比-47.35ドル/-0.10%)となるも、ナスダックはプラス圏で推移。
  • 5時台にはダウ平均は更に小幅に下げ、落ち着きを見せながらも不安定な動きが続きました。

AIバブル崩壊リスクとテック株下落の理由

2023年以降、AI関連企業が相場を強く牽引してきましたが、特に今年に入ってからは、その反動が徐々に表面化しています。主な理由は以下の通りです。

  • 高バリュエーションへの懸念:AI分野で高成長を織り込んだ株価が過剰評価とされ、見直す動きが強まる。
  • 資金調達コスト増:米金融政策が引き締め傾向にあることで、株価の支えとなってきた資金が流出、売り圧力が高まる。
  • 設備投資負担:IT大手企業がAI開発のための投資に巨額の社債を発行しており、財務負担の増大が懸念材料に。
  • 利益確定売りやリバランス:直近の株価高騰を受け、利益確定やポートフォリオのリバランスを行う動きも強まりました。

今後の見通し

  • 市場は、FRB(米連邦準備制度理事会)の政策動向や今後発表される経済指標、主要テック企業の決算内容に注目しています。
  • 利下げ期待の後退が続く場合、調整局面が長引くとの見方も少なくありません。
  • NVIDIAなどAI関連企業の決算が市場予想を下回った場合、「AIバブル崩壊」の雰囲気が一段と強まる可能性も指摘されています。
  • 一方で、各社の業績が堅調ならば安心感が広がり、市場のムードが改善する可能性も否定できません。

個別銘柄の注目動向

  • マイクロソフト:493.79ドル(前日比-2.70%)
  • アップル:267.44ドル(-0.01%)
  • テスラ:401.25ドル(-1.88%)
  • AMD:230.29ドル(-4.25%)
  • その他、クラウドフレア、メタ、イーライリリーなども大きな値動きをみせました。

投資家へのメッセージ

リスク回避ムードが続く中でのNYダウの下落は、多くの個人投資家にも影響を及ぼしています。
ここで大切なのは、「短期的な値動きに左右されすぎず、情報収集と冷静な判断を心がけること」です。
また、FRBの政策や企業決算など、客観的データや専門家の分析を元にした運用スタンスの見直しも有効です。

まとめ

2025年11月のNYダウは、FRBの利下げ期待後退や主要テック銘柄(特にNVIDIA)の決算発表を控え、相場全体が不安定な展開となっています。AIバブルの崩壊リスクも含め、引き続き米国市場の動向には要注目です。
今後も投資判断に役立つ最新ニュースや現地の声をわかりやすくお伝えします。

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