エヌビディア決算直前、世界市場が注視した一日 ー 東京・NY市場の動きと投資家心理

はじめに

2025年11月19日、半導体大手エヌビディア(Nvidia)の決算発表を前に、世界中の金融市場が固唾をのんでその行方を見守る日となりました。アメリカ株式市場のみならず、日本の東京株式市場にもその影響は広がり、投資家心理が大きく揺れ動いた状況について本記事で詳しく解説します。

エヌビディア決算発表直前の注目ポイント

  • AI事業が牽引する業績動向と今後の成長見通し
  • 市場予想と実際の業績との乖離(かいり)が株価に与える影響
  • 米国のみならず日本を含めた世界市場への波及効果
  • 半導体やAI関連株式の乱高下と注目銘柄の動き

エヌビディアの業績見通しと市場の期待

エヌビディアは米国時間19日午後4時20分(日本時間20日午前6時20分)に2025年8~10月期決算を発表予定です。ブルームバーグがまとめた市場事前予想では、総収入は前年同期比56.4%増の548.85億ドル一株当たり利益(EPS)は54.3%増の1.25ドルになると見込まれており、AIブームがどれほど業績に反映されているかが最大の焦点とされています。

エヌビディアの株価は2024年末比で約44%高と好調を維持してきましたが、10月29日の史上最高値(207.04ドル)以降はやや調整局面に入り、最新の取引終値は193.16ドル(11日時点)。それでも、多くの市場関係者がこの決算次第では”再び最高値へ”との期待感と、同時に予想未達のリスクへの警戒感を持っています。

決算直前の米国市場、ナスダックなど主要株価指数の動き

決算発表を控えた11月19日、ニューヨーク証券取引所ではダウ工業株30種平均、S&P500種指数、ナスダック総合指数がともに神経質な値動きとなりました。エヌビディアがAI・半導体相場の牽引役であるだけに、市場全体のムードも一気に左右される状況です(ニュース内容1, 3の要旨)

エヌビディアの決算内容次第で、約30兆円(3000億ドル)規模の株価変動が予想されるほど、市場の注目度は極めて高い状態となっています。AI関連ブームは続くものの、今後の成長のスピードや競合関係、中国市場での不透明要素など、材料が多岐にわたり投資家の思惑が激しく交錯しました。

東京株式市場への影響と売買動向

東京証券取引所プライム市場でも、日経平均株価は前日比165.28円(0.34%)安の48,537.70円となり、4日続落を記録しました。その要因の一つとして、エヌビディア決算への警戒感が色濃く出たとみられます。

  • 全体として売りがやや優勢、特に半導体やAI関連株に売りが拡大
  • 上昇銘柄も見られるものの、主軸は持ち高調整や様子見ムードが支配
  • 売買高は24億6906万株、売買代金は6兆5429億円と活況だが、積極的な買いは抑制された

実際、値下がり率ランキングでは半導体製造装置関連企業や人工知能(AI)関連企業で大幅安が相次ぎ、エヌビディア決算発表の影響が日本株にも波及しています。

投資家心理:期待と不安が交錯する背景

エヌビディアは2023年以降、AI計算用GPU(グラフィックス処理装置)の圧倒的なシェアを背景に、株価が急騰し続けてきました。2025年11月現在でも、証券会社アナリスト80名中73名が「買い」を継続するなど、強い信頼が寄せられています。しかし、この「成長期待」を裏切る内容となれば、株価の調整は避けられないとの見方も強くなっています。

加えて、米中対立による中国市場への依存低下や競争激化など、先行き不安要素も無視できません。投資家はプラスサプライズへの期待と、事前予想を下回った場合の失望売りリスクという両面で、慎重に行動している様子がうかがえます。

関連株や市場への余波:個別銘柄の下落が目立つ

値下がりランキングには、半導体製造装置、AI関連、データセンター関連、クラウド関連などの企業がズラリ。例えば、安永(半導体製造装置関連)、SUMCO(半導体関連)、リンクユーグループ(データセンター関連)などが大きく値を下げました。この背景には、「エヌビディアの業績動向によっては、関連ビジネスへも波及的なマイナス影響が及ぶ」といった心理がはたらいています。

世界が注目する「決算発表後」の展開

専門家の多くは「決算発表の内容次第で再び株価は最高値を目指す展開も十分あり得る」としながらも、「もし市場予想を下回る伸びにとどまれば、成長減速シナリオが意識されて株価が大きく調整するリスクもある」と警告しています。

また、アメリカだけでなく、日本や欧州などの金融市場・企業業績へも直接的・間接的に波及するため、個人・機関投資家を問わず足並みが慎重になっているのが現在の特徴です。

まとめ

  • 2025年11月19日、エヌビディアの決算発表を前に米国・日本の市場は揺れ動いた
  • AI成長への期待と競争激化、中国市場喪失リスクなどで先行き不安が根強い
  • 日本株市場でも半導体・AI関連が大きく下げ、日経平均も4日続落
  • エヌビディアの決算内容次第で「再び最高値を目指す」か「調整局面入り」か、分岐点となる見通し

投資家にとってはまさに「決算発表待ち」の一日。今後のAI・半導体業界の命運を占う重要なタイミングが訪れています。引き続きエヌビディアのみならず、関連企業・世界市場の動向にも注目が集まることでしょう。

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