野村証券、日揮HDの投資判断を「バイ」へ格上げ — 足元の採算改善と今後の展望

はじめに

2025年11月18日、株式会社野村証券が日揮ホールディングス(HD)に関して、投資家・市場関係者の注目を集める格上げを発表しました。日本を代表する大手証券会社によるこの判断変更は、業界全体のみならず個人投資家へのインパクトも大きく、日揮HD自身の株価にも直ちに反映されました。本記事では、野村証券が投資判断を「ニュートラル」から「バイ」(Buy)へと改めた理由や日揮HDの現状、そして今後の展望について、最新情報をもとに分かりやすく解説します。

日揮HDとはどういった企業なのか?

日揮ホールディングス(HD)は、主にエネルギー・化学プラントの設計や建設を主力とする総合エンジニアリング会社です。創業以来国内外で多数の大型プロジェクトを手がけ、その技術力とプロジェクト遂行力には定評があります。特にLNG(液化天然ガス)関連事業への注力も高まり、今後の成長が期待されています。

今回のニュースの概要

  • 2025年11月18日、野村証券は日揮HDの投資判断を「ニュートラル」から「バイ」へ格上げしました。
  • 目標株価も従来の1,400円から2,200円に大幅引き上げ。
  • この発表を受けて日揮HD株は大幅反発を示し、投資家の注目が一気に高まりました。

格上げの背景:リスク後退と収益環境の改善

今回の投資判断格上げの最大の理由は、「不採算案件の発生による損益悪化リスク」が後退したことにあります。不採算案件とは、コストが想定より膨らみ利益が圧迫される大型プロジェクトを指します。過去、プラント建設業界はこのリスクと常に隣合わせでしたが、野村証券は日揮HDにおけるそのリスクが軽減されている点を評価しています。

さらに、最新の実績では足元の採算改善が鮮明になっており、今後の受注動向や業績見通しに対する信頼感が増しています。具体的には、2027年3月期における「LNGカナダフェーズ2」の大型案件などが寄与し、売上や利益の上方修正につながるとみられています。また、将来的な業績・安定的な利益成長が期待できる見通しです。

数字で見る格上げのインパクト

  • 投資判断:「ニュートラル」から「バイ」に変更
  • 目標株価:従来1,400円 → 新目標2,200円
  • 株価変動:発表当日は前日比+3.3%超の大幅上昇を記録

なぜリスクが後退したのか?

プラント建設ビジネスは、長期間・巨額の資金を要する一方で、資材高騰や設計ミス、現地政治リスクなど多様な不確定要素にさらされます。日揮HDは近年、リスク管理体制の強化やプロジェクトマネジメント改善を進めてきました。これが実を結び、足元での不採算案件の発生リスクが低下していると評価されています。

また、「LNGカナダphase2(フェーズ2)」といった超大型案件が順調に進捗しており、今期・来期以降の受注高の大幅な上方修正にもつながっています。このため、野村証券は中期的な業績予想も強気に見直しています。

自己株式取得にも注目

2027年3月期には200億円規模の自己株式取得も会社側から予想されています。自己株買いとは、会社が自社株を市場から買い戻すことで、株主価値(1株あたり利益や配当)の向上、および株価下支え効果などが期待できる施策です。この発表自体も投資家心理にプラス材料として作用し、株価上昇圧力となったと見られます。

市場関係者・投資家の反応

野村証券による格上げ発表を受け、日揮HDの株価は午前中から上昇基調を強めました。11月18日午前の段階では前日比60.5円高(+3.36%)という大幅高を記録し、市場の関心の高さがうかがえます。

  • プロの機関投資家にとって、国内最大手の証券会社が「買い」を推奨するインパクトは大きいです。
  • 個人投資家もこうした格上げ情報を一つのシグナルとして重視しやすい傾向があります。

今後の成長シナリオと課題

今回の「バイ」格上げを受けて、日揮HDは今後もLNG分野における大型案件の受注や利幅改善、コーポレートガバナンス(企業統治)強化などで一層の成長が期待されます。とりわけ、エネルギー分野のグローバル需要増加を見据えた海外プロジェクトの展開が引き続き注目ポイントとなるでしょう。

一方で、プラント建設業界特有のリスクがゼロになるわけではありません。新興国や資源国など地政学的リスク、環境規制の強化、仕入価格の変動など、今後も監視が必要な課題は存在します。しかしながら、今回の野村証券による強気の業績見通し・格上げ判断は、それらリスクを乗り越えていくだけの体制が整いつつあるという評価に裏付けられています。

証券会社によるレーティングの意味と投資家へのアドバイス

証券会社によるレーティング(投資判断)は、「買い」「中立」「売り」などのラベルで投資家に企業株式の魅力度を示す指標です。今回のような「バイ」への格上げは、(1)収益環境の改善、(2)案件リスクの低下、(3)株主還元の拡充といった複数の要素がそろった場合に限られます。こうした判断は、投資判断を行う上での一つの重要な目安となり得ますが、短期的な値動きではなく、中長期の成長トレンドにも目を向ける姿勢が大切です。

まとめ

  • 日揮HDは野村証券の格上げを受け、株価・業績見通しともに明るい材料がそろいつつあります。
  • 今後の成長見通し、収益性の更なる向上に注目です。
  • 業界特有のリスクは残るものの、リスク管理体制の進化で不安要素は解消傾向にあります。
  • 投資判断はあくまで一つの目安。最終的にはご自身のリスク許容度・投資スタンスに合わせた判断が重要です。

今後のニュース・続報にも注目を

今後も野村証券をはじめとした証券会社によるレーティング動向や、日揮HDの企業発表、業績修正など、各種ニュースのチェックが重要です。最新動向をしっかりと押さえ、ご自身の資産形成や投資判断に生かしてください。

参考元