韓米合同潜水艦訓練「サイレント・シャーク」開催 ― 安武艦の参加が意味するもの
2025年11月17日、韓国海軍は米国グアム近海を舞台に、アメリカ海軍との大規模な合同潜水艦訓練「サイレント・シャーク(Silent Shark)」を実施します。この訓練には、韓国が独自設計・建造した最新型潜水艦「安武」(アム)も参加。両国の連携強化、そして潜水艦技術の新たなステージが注目を集めています。
「サイレント・シャーク」とは―最先端の対潜水艦戦訓練
「サイレント・シャーク」訓練は、韓米両海軍が共同で対潜水艦戦術を磨くための毎年恒例の合同演習です。2025年の今回は、グアム近海で1カ月間にわたり行われます。最新型潜水艦の投入と先進技術を使い、実践的なシナリオに沿った訓練が行われる予定です。
- 訓練の目的:両国海軍の対潜水艦戦能力の向上、相互運用性の確認、地域安全保障の強化
- 主な内容:潜水艦同士の追尾・避退、最新センサーを用いた探知戦術、実戦に近い通信・指揮系統の連携確認
- 参加艦艇:韓国「安武」潜水艦、アメリカ海軍の戦略型潜水艦等多数
韓国独自設計の潜水艦「安武」―技術自立への大きな一歩
「安武」潜水艦は韓国が独自に設計・建造した最新鋭の通常型潜水艦。機密性の高い情報ですが、国産技術によるソナーシステムや静音性能の強化、高効率な推進機構などが採用されているとみられます。韓国の造艦技術は近年大きく進化しており、従来は海外技術への依存が大きかったものが、「安武」の登場によって「自立性」「戦略的有用性」が飛躍的に高まったと評価されています。
- 安武艦の特徴
- 韓国初の完全独自設計
- 高い静音性による高い生存性
- 最新の魚雷・ミサイル搭載能力
- 艦載センサーによる精密な海中探知能力
- デジタル化された操艦システム
安全保障へのインパクト ― 韓米同盟と地域の均衡
今回の訓練には、安全保障政策の面からも大きな意味があります。韓国が高性能潜水艦を独自に運用できる能力を示すことで、周辺国、とりわけ中国や北朝鮮を強く牽制することができます。「安武」潜水艦の技術力は、米軍側の戦術運用とも相乗的に高まり、インド太平洋地域の安定に寄与することが期待されています。
- 対中国牽制の要素:原潜建造計画も進行中。米軍高官も「韓国の原潜は対中抑止力となり得る」と言及しています。
- 韓国政府の見解:外交部は「特定の国家を対象とするものではない」と声明。地域のバランス形成を重視している姿勢です。
- 軍事同盟強化:日米同盟や日豪、アジア近隣諸国との協力強化にもつながる動きです。
近年の潜水艦訓練の国際情勢
韓米のような合同潜水艦訓練は、世界各地で盛んに実施されています。例えば「中露海上連合2025」では、中国の潜水艦がウラジオストク初寄港や対馬海峡通過など、運用能力と練度の向上が国際社会に示されました。
- 各国の潜水艦技術は年々進化しており、訓練を通じた能力向上は国防・外交政策の主要課題となっています。
- 日本も「インド太平洋方面派遣」や他国との共同訓練を積極的に実施。海自はアンダマン海でのオーストラリア海軍との連携など、多層的な安全保障体制の強化を図っています。
韓米同盟にとっての「サイレント・シャーク」訓練の意義
「サイレント・シャーク」訓練は、単なる軍事演習を越えて外交・安全保障、技術進化、産業育成など多様な分野に波及効果をもたらします。
- 安全保障の強化:潜水艦同士の高次元な連携により、海中防衛力の向上と抑止力が増大します。
- 技術革新の促進:「安武」潜水艦の開発成功は、韓国の防衛産業にとっても大きな財産となります。
- 多国間連携の深化:米韓のみならず、日本、オーストラリア、フィリピンなど地域諸国との協力の基礎づくりに繋がります。
これからの課題と展望
韓国が今後、原子力潜水艦の運用に踏み切ると、さらに戦略的価値が増すことは確実です。軍事面だけでなく、経済・技術分野への波及も視野に入れる必要があります。各国が「力のバランス」と「外交協調」をどのように両立させていくかが重要な鍵となります。
まとめ:韓米合同潜水艦訓練「サイレント・シャーク」―安武艦参加が示す新時代の海洋安保政策
2025年11月、韓米合同潜水艦訓練「サイレント・シャーク」は、単なる日常的な演習ではありません。韓国が独自設計した「安武」艦の実戦投入は、地域安全保障体制の大きな転換点といえます。中国や北朝鮮をはじめとする周辺国への牽制、韓米同盟の深化、最新技術の実証と普及など多重な意義を持つイベントとして、今後も国内外で注目が集まり続けるでしょう。
日本やオーストラリア、フィリピンを含むインド太平洋の広域安全保障の流れの中で、韓国の技術自立と戦略的価値の向上は、今後の国際秩序にも少なくない影響を及ぼすと推察されます。今後も各国の動向と新たな訓練の展開に注目していく必要があるでしょう。



