激闘に次ぐ激闘!イスラム・マカチェフ、UFCウェルター級王座戦で繰り広げられた頂上対決
2025年11月16日(日本時間)、世界最高峰の総合格闘技イベント「UFC 322」がニューヨーク・マディソン・スクエア・ガーデンで行われました。メインイベントのウェルター級王座戦は、王者ジャック・デラ・マダレナと、「ダゲスタン・グラップラー」ことイスラム・マカチェフとの間で実現。ライト級で頂点に立ったマカチェフが2階級制覇を狙い、UFC史上屈指の名勝負となりました。
王座の重圧を背負うマダレナと2階級制覇に挑むマカチェフ
マダレナはオーストラリア出身。ラグビーやボクシングを経てMMAファイターとなり、プロ初戦で2連敗を喫しましたが、その後の快進撃は見事の一言。18連勝でUFCウェルター級王者となり、今大会はムハメドへの初防衛を果たして以来の王座戦。強靭な打撃センスが魅力で「王者の風格」を漂わせていました。
一方、マカチェフはダゲスタン出身で、あのハビブ・ヌルマゴメドフと盟友関係。27勝1敗という驚くべき戦績に加え、UFCライト級では2022年にチャールズ・オリベイラを下し戴冠。4度の防衛と15連勝を誇り、すでにライト級で「最強」の評価。今大会でウェルター級という新たな挑戦に臨みました。
アレクサンダー大王からの特別な助言
マダレナ陣営には、フェザー級で常にトップを走る「アレクサンダー大王」ことアレクサンダー・ボルカノフスキーの存在がありました。彼はマカチェフ対策として「絶対に下になってはいけない」と厳しく助言。マカチェフの圧倒的なグラップリングを熟知する彼ならではの戦術的アドバイスは、マダレナにとって大きな支えとなりました。
試合前の計量風景と緊張感
両者は前日計量でしっかりと調整。マダレナは169.8ポンド、マカチェフは170ポンドと、共に契約体重をクリア。オクタゴンで交錯するときの緊張感は画面越しにも伝わり、格闘技ファンたちの期待をますます高めました。
メインイベント:マダレナ vs. マカチェフ 試合内容詳細
序盤戦:スタンドでの探り合いとプレッシャー
試合序盤は、マダレナがジャブと左右のフックで距離を取りつつ、プレッシャーをかけます。打撃の連携に優れたマダレナは、序盤立ち技主体でマカチェフを迎え撃ちました。一方マカチェフも強靭な膝と正確なキックで応戦。僅かな隙間を狙う緊張感のある立ち上がりとなりました。
中盤戦:マカチェフのグラップリングの真骨頂
試合が進むにつれ、マカチェフが徐々にテイクダウンの機会を窺います。その圧倒的なレスリング力は、オリベイラ戦でも存分に発揮されたもので、その真価を見せ始めます。しかし、マダレナも大きく進化を遂げており、テイクダウンディフェンス、スクランブルからの立ち上がりで執念を見せ、マカチェフに簡単には主導権を握らせません。
マカチェフは組み付くと、相手の体勢を崩してからバックを奪い、フィニッシュへの道筋を描きましたが、マダレナが巧みに粘り強く立ち上がります。その都度、マカチェフは形を変えて攻め続け、世界最強のグラップラーの名にふさわしい柔軟性を披露しました。
終盤の攻防:オクタゴン中央で2人の意地が激突
最終ラウンド、両者ともに気迫を爆発させました。マカチェフはシングルやダブルレッグのタックルを繰り返し、相手のスタミナを消耗させつつ隙を窺います。一方でマダレナも、パンチのラッシュで激しく反撃、何度もリスクをものともしない前進用意を見せました。
このラウンドでは、マカチェフが左足を旋回して相手の重心を崩し、鮮やかなダースチョークで勝負を決める場面も。挑戦者の意地と王者のプライドが交錯し、まさにUFC屈指の激闘となりました。
各メディアによる評価とファンの反応
この試合は「UFC史上、格別な緊張感と技術戦だった」と多くの専門家が評価。グラップラー対ストライカーという典型的な構図を超え、互いの弱点を突き合う知略型バトルとなりました。マカチェフの多彩な組技とマダレナの抜群の立ち技、極限の攻防は、全世界の格闘技ファンの度肝を抜き、多くの話題を呼びました。
現地では爆発的な歓声が響き渡り、SNSでも「こんな激戦は見たことがない」「マカチェフの2階級制覇なるか」「マダレナが本当に強い」といったメッセージが多数投稿。まさにUFCの舞台が世界の格闘技シーンをリードし続けていることを再確認させる内容となっています。
その他の注目試合:女子フライ級、連勝同士の対決も
女子フライ級王座戦 シェフチェンコvs.ジャン・ウェイリー
この日のコメインイベントは、ヴァレンティナ・シェフチェンコ(キルギス)とジャン・ウェイリー(中国)による女子フライ級王座戦。両者はそれぞれ7連勝・5連勝の絶好調を維持し、世界的注目を集めました。試合は両者一歩も譲らぬ打撃戦の末、シェフチェンコが判定で王座防衛に成功しました。
連勝街道をひた走るブレイディとモラレスの対決、エドワーズ対プラテスも
他にも、男子フェザー級、ライト級、ストロー級など各階級で注目の一戦が組まれ、3連勝中のブレイディと6連勝中のモラレスの対決、エドワーズvs.プラテスなども日本のファンから大きな関心を集めました。いずれの試合も、トップクラス同士の攻防に満ち溢れ、オクタゴンの臨場感が存分に堪能できる内容でした。
まとめ:「最強」は誰なのか――終わらない頂上決戦
今回のUFC322、メインのウェルター級タイトルマッチは、イスラム・マカチェフが世界最強のグラップラーとしての力量をまざまざと見せつけつつも、ジャック・デラ・マダレナも驚異の打撃と耐久力で応戦。結果として、両者の「頂点への意地」が新たな物語を生み出すきっかけとなりました。
今後も、UFCという舞台では新旧スターがぶつかり合い、格闘技というスポーツの進化が続きます。2階級制覇に挑むマカチェフのその後の進路、新たな対戦カードへの期待、そして今夜の激闘がファンに与えたインパクトは計り知れません。それぞれの物語が今後も続いてゆくことでしょう。
総合格闘技の奥深さ、緊迫感、そして人間同士の意地。その全てが、この一夜に凝縮されていました。




