ワタミ株式会社、2026年3月期第2四半期決算発表:経常微増益と配当実施が注目集まる
ワタミの決算発表でわかった最新状況
2025年11月12日、外食産業大手のワタミ株式会社(証券コード:7522)が2026年3月期第2四半期(4~9月)決算を発表しました。コロナ禍を経て回復を続ける同社は、従来未定としていた経常利益予想と配当方針を明らかにし、市場の関心を集めています。
売上・利益動向:外食事業がけん引、宅食は減収
- 売上高は447.16億円で前年同期比3.1%増と堅調な伸びを示しています。特に、居酒屋業態を中心に外食事業の回復が目立ち、全社業績をけん引しました。一方で、宅食(配食)事業は在宅需要の緩やかな減少が影響し減収となっています。
- 連結営業利益は21.39億円(前年同期比4.0%減)となりました。営業利益の減少は宅食事業の苦戦や、一部コスト増の影響によるものです。
- 経常利益は22.42億円(前年同期比17.9%増)と増益を記録しました。これは、主に為替差損の減少が大きな要因となっています。
- 親会社株主に帰属する中間純利益は17.17億円(同比14%増)となり、黒字拡大を達成しています。
通期業績予想:非開示から微増益へ転換
ワタミは従来、今期(2026年3月期)通期の業績予想を開示していませんでしたが、今回の決算発表で経常利益52.5億円(前期比0.1%増)という微増益の見通しを初公表しました。売上高は910億円(同2.6%増)、営業利益46億円(同0.7%増)、当期純利益は40億円(同13.6%増)を見込んでいます。
配当方針:10円を実施、株主還元に注力
未定とされていた期末一括配当は「10円」実施する方針が示されました(前期も10円)。これにより、安定的な株主還元の姿勢が強調されました。
セグメント別業績詳細
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外食事業:
居酒屋業態を中心とした回復が顕著で、業績を押し上げています。飲食店の客足回復および営業施策の効果が現れ、売上を牽引しました。 -
宅食事業:
在宅需要の減少や競争激化により減収傾向となっています。一方で事業の効率化や新商品の開発などで今後の改善に臨んでいます。
財務状況・キャッシュフロー
- 総資産は677.93億円で、前期末から36.98億円減少しました。
- 流動資産は現金及び預金の減少から72.57億円減少、固定資産は35.59億円増加しています。
- 負債は27.64億円減少し415.92億円、純資産は9.33億円減少し262.01億円となりました。
- 営業活動によるキャッシュフローは23.11億円の収入(前年同期は22.01億円)、投資活動によるキャッシュフローは6.63億円の収入(前年同期は35.45億円の支出)、財務活動によるキャッシュフローは50.67億円の支出(前年同期は43.43億円の支出)となっています。
今後の展望と課題
- 今期(2026年3月期)は、外食事業の回復を主力として微増益を見込む一方、宅食事業の苦戦が続くことが予想されます。
- 為替環境の変動や消費動向の多様化など外部環境にも引き続き注意が必要です。
- 株主還元としての配当継続や、事業構造の変化に柔軟に対応する組織力が問われています。
市場の評価・投資家向けポイント
- 決算発表後の株式市場では、ワタミの安定した利益成長と配当維持が好感される一方で、営業利益率の低下や宅食事業の減収は不安材料として受け止められています。
- 株価は直近でやや値動きがありましたが、長期的な成長性や株主還元姿勢に期待する声も多いです。
まとめ
ワタミ株式会社は2026年3月期上期で経常利益・純利益共に増益を達成し、外食事業の回復により株主配当も安定実施しています。事業の多角化による強さと、今後の宅食事業の再生に注目が集まります。持続的成長と株主還元、柔軟な経営戦略の深化がこれからの課題となるでしょう。


