張本勲氏が語る「長嶋茂雄賞」新設の意義と、プロ野球界の未来

伝説の称号「長嶋茂雄賞」が誕生――プロ野球の新たな時代へ

2026年シーズンから、日本プロ野球界に新たな名誉「長嶋茂雄賞」が創設されることが正式に発表されました。この賞は、プロ野球史に燦然と輝く故・長嶋茂雄氏の卓越した功績をたたえ、彼の名を冠したものです。長嶋氏は、その華やかなプレーと存在感で多くのファンを魅了し、日本野球の発展に多大な貢献をした人物として、今なお絶大な人気と尊敬を集めています。こうした背景を受け、長嶋茂雄氏が亡くなった2025年6月3日以降、多くのファンや関係者が彼の功績を後世に残し語り継ぎたいとの想いを強くし、日本野球機構(NPB)がその想いを結実させました

長嶋茂雄賞――その概要と選考基準

  • 対象選手:日本プロ野球(NPB)12球団の選手のうち、2026年シーズンから公式戦・ポストシーズンにおいて「走・攻・守」の全てで顕著な活躍を示し、グラウンド上での華麗なプレーによってファンを魅了し、野球の文化的・公共的価値向上に寄与した野手が選ばれます。
  • 制定者:一般社団法人日本野球機構(NPB)、読売新聞社、日本テレビ放送網が共同で制定
  • 選考委員会:プロ野球OB選手などで構成し、日本シリーズ終了後に選考が行われます。
  • 表彰式:シーズン終了後の「NPB AWARDS」にて、NPBコミッショナーより正賞(記念品のメダル)、副賞として賞金300万円が授与されます。

長嶋茂雄賞は表面的な数字や成績だけでなく、“観る者に感動を与えるプレー”や“プロ野球界の価値を高める振る舞い”といった、より広い意味での「貢献」を問う賞です

なぜ今、「長嶋茂雄賞」なのか――張本勲氏や王貞治氏ら往年の野球人の声

長嶋茂雄氏は、戦後日本のプロ野球を象徴する存在でした。彼のプレー、そしてその人柄は、ライバルであり盟友でもあった王貞治氏や張本勲氏など、同世代のスター選手たちにも大きな影響を与えてきました。特に打者を対象とする賞がこれまでなかったことから、「ようやく、待ちに待った賞ができた」という感慨深い声が相次いでいます

王貞治氏は「これは異論がないと思う。それこそファンの人も100対0で受け入れてくれたに違いない。なぜ今までなかったのか。長嶋さんはプレーはもちろん、発言や振る舞いでも人々を感動させてきた。球史に残る方で、選手も“第一回は自分が!”と新たなやる気が出る。野球界がさらに盛り上がる」と語っています

また正力松太郎賞など、これまでは監督や選手の貢献に与えられる賞こそあったものの、攻守走で圧倒的な輝きを放った野手にフォーカスした表彰が存在しませんでした。今回の新設はファン・関係者の間で「納得」「むしろ遅かった」と歓迎ムードが広がっています。

清宮幸太郎選手──「長嶋茂雄賞」第1号への熱い決意

日本ハムファイターズの清宮幸太郎選手は取材で、「第1号の受賞者を目指したい」と自ら名乗り出ました。国民的スターである長嶋茂雄氏への敬意とリスペクトを胸に、2026年シーズンでの圧倒的なパフォーマンスを誓いました。「圧倒的な成績を残さなければならない。それこそ長嶋さんの名を冠した賞だから、成績もプレーもファンを熱狂させる存在でなければ」と語っています

受賞の条件についても、「ただ記録を積み重ねるだけでなく、観ている人の心を動かす特別な存在になる必要がある」と強調。その発言には、プロ野球選手としての誇りと、野球文化への深い愛情、そして長嶋氏への最大限の敬意が感じられます。

表彰の意義と求められる人物像

  • 過去の打者型タイトル(首位打者など)は「記録」の側面が強かったが、「長嶋茂雄賞」は“ファンを魅了する”という「記憶」に残る活躍を特に重視。
  • 走・攻・守の三拍子揃う選手、球場の誰もが魅了されるようなスター性、フェアな姿勢、後輩や社会への好影響も考慮される。
  • 若手、中堅、ベテランを問わず、野球を通じて社会全体にポジティブな影響をもたらした選手が対象になる。

つまり、「記録」と「記憶」、両方の視点からプロ野球の価値を高め、文化的な象徴として活躍する選手の登場が期待されています。そのため同賞は単なるMVPやベストナインとは異なり、より多面的・総合的な“野球人”の評価となるでしょう。

「長嶋茂雄賞」がもたらす今後の野球界の変化

王貞治氏は「この賞ができたことで、野球界の盛り上がりは間違いない。若い選手がこの賞を目標に一層の努力を重ね、ファンもまた新たなヒーロー誕生を心待ちにする。”記憶”に残るスターが現れる好循環が生まれる」と述べています。選手個人へのインセンティブ強化とともに、プロ野球全体の社会的価値の向上にも繋がると期待されます

張本勲氏と「長嶋茂雄賞」新設――伝統と革新の交錯

張本勲氏は、歴代最多安打の記録を誇る昭和のレジェンドであり、長嶋茂雄氏と同世代を代表する球界の重鎮です。張本氏はこれまでもテレビや新聞で現役選手の活躍をたたえつつ、プロ野球の発展と伝統の重要性を強調してきました。今回の賞創設については「長嶋茂雄という野球界の宝を語り継ぎ、若い選手やファンに夢を与える意義深い試み」であり、「野手、とくに打者に大きな目標ができた。これからはただ成績を残すだけではなく、観客の心に響く華やかなプレーがより求められるだろう」とのコメントが期待されています。

現役時代から激しいライバル関係にありながらも交流を重ねた二人が、お互いを認め合い切磋琢磨していたエピソードは、今なお多くの野球ファンの記憶に色濃く残っています。この賞は、そんな強い伝統と精神を次世代に引き継ぐかけ橋ともなるでしょう。

今後の展望――初代受賞者への期待と若い世代に伝える野球の楽しさ

2026年以降の日本プロ野球では、「長嶋茂雄賞」は球界最高の栄誉として記録と記憶の両軸から受賞者が選ばれていくことになります。「私こそが第1号になる!」と名乗りを挙げた清宮幸太郎選手のように、若い世代の意欲や競争心を刺激し、野球界全体がひとつ高い次元でまとまっていくことが期待されます。また、これまで表彰の対象になりにくかった“華やかさ”“誰もが憧れる存在”といった新たな評価軸が加わることで、グラウンド全体の雰囲気やプロ野球の文化自体にもポジティブな変化が生まれていくでしょう。

野球は勝敗だけではなく、夢や感動を届けるスポーツです。「長嶋茂雄賞」は、まさにその理念を具現化する新時代の象徴。今後のプロ野球がどのようなスター選手とドラマを生み出し、その名にふさわしい野球文化を築いていくのか――ファン誰もが胸おどらせて新シーズンの幕開けを待ち望んでいます。

参考元