オリックス、2026年3月期決算で史上最高益へ――純利益予想を16%上方修正、配当も増額
企業概要とトピックス
オリックス株式会社(証券コード:8591)は2025年11月12日、2026年3月期の通期連結業績予想について、純利益(最終利益)を16%上方修正しました。これにより過去最高益を更新する見通しとなり、あわせて中間配当も1株あたり33.76円増額することが発表され、市場や投資家の注目を集めています。
決算発表のポイント
- 今期純利益予想を3,800億円(前期は3,516.3億円)に上方修正し、過去最高益となる見通し
- 上期配当を従来計画から33.76円増額し、株主還元を強化
- 第1四半期の純利益は前年同期比23.7%増、営業利益も50.4%増と絶好調
- 主力となる不動産・環境エネルギーなど各事業が好調に推移
- 特に再生可能エネルギー分野での持分会社株式売却益が大きく寄与
2026年3月期第1四半期の実績
2026年3月期第1四半期(2025年4~6月)の連結決算は、次のようになりました。
- 営業収益:7,686億円(前年同期比9%増)
- 営業利益:1,297億円(前年同期比50.4%増)
- 純利益:1,072億円(前年同期比23.7%増)
これらの数値は、いずれも過去最高水準を記録。特に営業利益の大幅な増加が全体の業績を支えています。不動産セグメントや環境エネルギーセグメントの堅調な業績拡大を背景に、営業収益・利益ともに力強い伸びを示しています。
純利益上方修正の要因
業績の上方修正には、特に再生可能エネルギー分野の持分会社株式の売却益が大きく貢献しています。近年、オリックスは国内外で太陽光発電、風力発電など再エネ・環境関連事業に注力し、グリーンビジネスのポートフォリオを大きく拡大してきました。
今年度は、そのうち複数の関連会社について戦略的な株式売却を実施。この臨時的な収益が純利益を押し上げています。今後も環境エネルギー事業の成長に向けた積極的な投資と収益確保の両立が期待されています。
配当増額・株主還元策
オリックスは中間配当金を従来計画の148.24円から182.00円へ33.76円増額することを公表しました。配当の増額は、株主還元の強化と業績好調の証とされ、個人・機関投資家の間でポジティブに受け止められています。
また、オリックスは過去より安定した配当政策を打ち出しており、自己資本利益率(ROE)やキャッシュフローにも意識を向けた持続的成長志向の経営姿勢がうかがえます。
主要財務データ(2025年3月期比較)
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 | ROE | 1株配当 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 2兆8,748億円 | 3,318億円 | 3,516億円 | 8.76% | 307.74円 |
| 2026年3月期(予想) | 未発表 | 未発表 | 3,800億円 | 未発表 | 増配予定 |
直近の財務指標も安定しており、自己資本比率約24%、ROE 8%台と、財務健全性・資本効率ともに高水準を維持しています。
事業の構造と今後の展望
オリックスは、リース事業に始まりM&Aやアセットマネジメント・不動産・保険・環境エネルギーと幅広い分野へ進出してきた総合金融グループです。近年は再生可能エネルギー、資産運用、海外投資に力を入れ、安定した収益源を多角的に確保しています。
特に、今期のように再エネ関連資産の売却益が全社業績に大きく貢献した一方、各分野の着実な本業利益も継続的に拡大しています。不動産投資や法人向け金融支援サービス、アセットマネジメント事業の成長によって業績の底堅さが維持されており、外部環境の変動にも強みを発揮しています。
市場の評価と今後のリスク要因
11月12日の決算発表を受けて、東京証券取引所でのオリックス株価は堅調に推移。過去最高益・増配を評価する動きが加速しました。大手格付け会社やリサーチ機関も、オリックスの財務体質や稼ぐ力を高く評価しています。
一方で、今後の課題としては、再エネ分野における政策変更や海外市場リスク、金利動向、国内外金融市況の変動などが挙げられます。多角化戦略の中で臨時的な売却益に依存しすぎず、各本業の利益構造をどれだけ安定的に積み上げられるかが中長期の注目ポイントとなります。
まとめ
2026年3月期のオリックスは、過去最高益更新・大幅な増配という快挙を見せています。再エネ関連の戦略投資と資産売却、幅広い金融・事業投資活動が功を奏し、財務・利益の両面で好結果を記録しています。今後は環境エネルギー分野の成長と各事業セグメントの安定利益拡大に注目が集まります。
持続的な成長と株主重視の還元姿勢で、オリックスは今後も日本を代表する総合金融グループとしてさらなる発展が期待されます。



