堀田丸正が「Bitcoin Japan」へ社名変更――歴史的転換の全貌

堀田丸正株式会社は、2025年11月11日をもって「Bitcoin Japan株式会社」に社名を変更しました。老舗の繊維卸企業が、暗号資産・ビットコインを軸にする新事業体へと大きく舵を切ったことは、日本の企業界隈や暗号資産業界でも大きな話題となっています。同時に、主力株主だったRIZAPグループ(ライザップグループ)との資本提携も解消し、新経営体制および新たな収益モデルに踏み出しました。さらに、今期経常利益を大幅下方修正し赤字転落――同社の”激動の転換期”の裏側と今後の見通しについて、やさしく丁寧に解説していきます。

1.堀田丸正からBitcoin Japanへ――社名変更の背景

堀田丸正株式会社は、1861年創業の老舗繊維・宝飾品卸売会社として広く知られていました。和装関連の商品や、著名人をプロデュースに迎えた着物・ジュエリーブランドなどを展開。2017年からはRIZAPグループの傘下企業という顔も持っていました。しかし2025年秋、多角化経営や企業価値向上、急速に進化する暗号資産の世界への参入を狙い、思い切った新事業構想を打ち出します。それがビットコイン・トレジャリー(財務戦略)事業でした。

■社名変更の決議と即時施行

  • 2025年11月11日に臨時株主総会を開催
  • 「Bitcoin Japan株式会社」(英語:Bitcoin Japan Corporation)への社名変更を正式決議し、即日効力が発生
  • 経営幹部も刷新され、新代表取締役社長兼CEOにはフィリップ・ロード氏が就任

ロード氏は、新経営体制の3つのビジョンとして「AIインフラストラクチャー(高性能コンピュータ投資)」「ビットコイントレジャリー(暗号資産活用の財務戦略)」「トランスペアレンシー(資本と業務両面での透明性)」を掲げます。

2.新事業の全貌――ビットコイン財務戦略と今後の展望

社名変更と共に、法人定款も全面改定されました。新生「Bitcoin Japan」の主な事業目的は以下のとおりです。

  • ビットコインの投資・保有・運用
  • AIおよびビットコインのマイニング(採掘)
  • Web3サービスやブロックチェーン技術のコンサルティング
  • 資産運用・投資顧問業・金融商品取引

特に注目されるのは、「ビットコイン・トレジャリー」です。自社でビットコインを戦略的資産として保有・運用。法令遵守のもと、保有ビットコインの一部をレンディングやレポ市場で運用しつつ、価格上昇益(キャピタル)と運用益(インカム)の「デュアルリターンモデル」を目指す戦略が発表されています。

■具体的な新事業モデル

  • インフレリスク対策としてビットコインを準備資産化
  • 今後はAI計算資源やWeb3分野にも投資
  • 1%以上の持続的配当を掲げ、株主還元も強化
  • 将来的には、暗号資産を総合金融サービスに昇華させる計画も

これに市場も敏感に反応、社名変更当日の終値は前日比+14.8%の774円まで急上昇しました。

3.RIZAPグループとの資本提携解消――新たな資本構成へ

2017年より続いていたRIZAPグループとの資本提携ですが、今回の経営刷新により2025年11月11日をもって資本業務提携契約を解消。この日、臨時株主総会で新たな取締役3名が選任され、現任の取締役3名は辞任しました。

■米Bakkt社の戦略投資が鍵

  • 米デジタル資産サービス企業のBakkt Holdings(バックト)が、2025年8月に発行済株式約30%を取得し筆頭株主に
  • Bakktの参画により、RIZAPの持株比率は25%台に減少。堀田丸正はRIZAPグループの連結子会社から「持分法適用関連会社」へ
  • RIZAP側は、今後市場動向を見ながら保有株式の段階売却を進める計画

この資本構成の変化こそが、同社の暗号資産・AI分野への本格転換を可能としました。

4.今期経常利益を大幅下方修正、赤字転落の現実

株式市場を大きく驚かせたのは、堀田丸正(現Bitcoin Japan)が今期経常利益予想を「黒字」から一転、「赤字」に下方修正したことです。

  • 主力だった繊維卸事業の不振、在庫評価損、一部資産償却や新規事業投資の先行コストなどが要因
  • 会社自身が、これまで7期連続の営業赤字という苦しい環境から脱却すべく「抜本的な事業転換」が急務だった
  • 財務的な安定確保と新事業の早期立ち上げが今後の課題

新規事業は収益化まで時間を要する見込みですが、ビットコイン財務戦略次第では業績の「急回復」も期待されています。

5.株主・市場の反応――不安と期待が交錯

突然の社名変更や方針転換に、長年の株主や従業員からは「驚き」や「不安の声」も出ています。一方で、Bakktをはじめとする新たなグローバル資本や技術提携への期待から、短期的には株価上昇という明確な市場のポジティブ反応も見られました。

  • 伝統ある和装・宝飾卸企業が、AI・Web3時代の「デジタル金融企業」へ進化できるか注目が集まる
  • 競合であるメタプラネット社も同様にビットコイン特化事業を展開、日本市場での暗号資産企業間競争が激化
  • ドメイン名にも変化――Bitcoin Japanは「bitcoin.co.jp」、メタプラネット傘下会社は「bitcoin.jp」

6.今後の見通しと残される課題

今回の社名変更は、単なる「看板のかけかえ」ではなく、経営内容そのものの大転換です。ビットコイントレジャリー事業は国内外で期待が高まる一方、法規制、流動性リスク、収益変動性など現実的な課題も残ります。

日本の上場企業としてはまだ異例ともいえる今回の転換が、伝統企業再生の新モデルとなるか。今後の「Bitcoin Japan」の成長に引き続き注目です。

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