ソニーグループ、純利益1兆500億円へ上方修正――2026年3月期決算好調の裏側
業績発表で見えた強さ――純利益1兆500億円、予想を大きく上回る
ソニーグループが2025年11月11日に発表した2025年9月中間連結決算と、2026年3月期の業績予想が大きな注目を集めています。同社の純利益は前年同期比で13.7%増の5704億円となり、ゲーム事業や半導体部門の好調さが全体を大きく押し上げた形です。さらに、通期の純利益見通しを8.2%上方修正し、従来の9700億円から1兆500億円へと引き上げました。売上高も11兆7000億円から12兆円へ修正し、より強気な経営見通しが伺えます。
主力事業が生み出す高収益――ゲームと半導体部門の快進撃
- ゲーム事業はPS5の販売継続好調やサブスクリプションサービスの伸びに加え、エンターテインメントコンテンツの安定供給がユーザーを引きつけています。また、人気アニメ「鬼滅の刃」関連商品・ゲームタイトルも高い収益貢献を果たしました。
- 半導体事業ではスマートフォン用CMOSイメージセンサーなどが引き続き好調。高性能スマホだけでなく、次世代自動車や産業機器向けの需要も強まっています。
「鬼滅の刃」効果とエンターテインメント事業の拡大
2025年度もアニメ「鬼滅の刃」の国内外人気は健在で、BDやDVDの販売、ゲーム、関連グッズの好調がソニーのIP事業・音楽事業・映像事業を支えました。多様なメディア展開によってファン層が一層拡大し、エンターテインメント全体の収益力が底上げされています。
セグメント別の動向――それぞれの好調ポイント
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ゲーム&ネットワークサービス分野
PS5の安定供給やソフトウェア売上増、サブスクリプション会員数の堅調推移。新作タイトルや各国での展開強化策も奏功。 -
音楽分野
ストリーミング配信の普及拡大、関連映像作品やライブ映像の好調が続く。アニメIP戦略やゲーム用音楽とのシナジー効果も発現。 -
映画分野
「鬼滅の刃」だけでなく、既存人気作品の続編公開や配信戦略も寄与。ハリウッド大作や自社オリジナルIPのグローバル展開が売上増に。 -
半導体分野
CMOSイメージセンサーの強みを活かし、カメラ搭載スマホや自動車向け部品の拡大を図る。AI・IoT領域の需要開拓も進行中。
コスト管理と外部リスク対応――米国関税下でも業績上振れ
米政権による関税措置による営業利益の下押し影響は、当初700億円程度を想定していましたが、最新試算では500億円程度に圧縮できる見込みです。調達先の分散や生産体制の見直しといったコスト抑制策、販売戦略改善が功を奏し、リスクを最小限に抑える経営の強さが現れました。
投資家からの評価と株価推移
決算発表直後、ソニーの株価は大きく上昇。経常利益率の改善、セグメントごとの収益構造強化、及び事業ポートフォリオのバランス良い拡充に対して投資家の期待が高まったためです。特に今期の減益幅が縮小し、将来の成長性に対する安心感が増しました。
地域・社会への影響と今後の事業展望
- 海外事業の収益比率も高まっており、海外拠点の拡充や戦略的パートナーシップの締結が収益源の多様化に貢献しています。
- エンターテインメント分野では多様なIPの価値最大化、サブスク型モデルの定着化など、収益の安定化・長期化が進みました。
- 半導体への積極投資を継続しつつ、新しい需要領域(自動運転、スマート家電)への進出も加速しています。
- ソニーは持続的成長のため「テクノロジー×エンターテインメント」を掲げ、イノベーションとブランド強化、グローバル展開のバランスを保っています。
関係者コメントおよび市場の反応
<経営陣コメント(決算説明会より)>
CFOを務める陶琳氏は、「為替の変動や国際的リスクにも対応力を発揮し、主要事業が期待に応えた。これからも世界中のユーザーに新しい感動体験を届けていきたい」と語りました。
<アナリストの声>
市場関係者からは「主力事業の強さが際立ち、収益源の多角化が進んでいる。競合他社との差別化が明確」と評価されています。
総括:成長軌道に乗るソニー、その根幹は多様な事業ポートフォリオ
本決算で明らかになったのは、「ゲーム」「半導体」「音楽」「映画」「IPビジネス」という強い成長エンジンを軸にリスクコントロールを徹底し、外部環境の変化にも柔軟に対応できるソニーの総合力です。
多様な収益源と堅実なコスト管理、それに時代のニーズに合わせた「顧客体験価値の最大化」が、今後もグループの成長を牽引していくでしょう。
今後も、世界中のユーザーやクリエイターを惹きつける数々の新サービス・新商品の登場が期待されます。ソニーの動向から目が離せません。




