税関業界の今──横浜冷凍の通関業務40周年と中国・内モンゴル策克口岸の最新動向
はじめに
税関業務は、私たちの日常生活を陰で支えている重要なインフラの一つです。今回は横浜冷凍株式会社の通関業務40周年という日本国内のトピックと、国際物流の動きとして注目を集める中国・内モンゴル策克口岸(さくこくこうあん)での貨物取扱量過去最高達成のニュースをご紹介します。これら2つの話題は、グローバル経済や食の安全・安定、そして物流の効率化という観点からも大きな意義を持っています。
横浜冷凍株式会社の通関業務40周年──日本の物流を支える挑戦の歴史
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横浜冷凍株式会社(ヨコレイ)とは
1948年創業の横浜冷凍株式会社は、主に水産品や農畜産品などの冷蔵・冷凍保管・食品販売・物流事業を展開し、現在では国内外の冷蔵倉庫業界で第2位の収容能力を誇ります。そのグローバルな事業展開を支えるのが「通関業務」です。
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通関業務開始から40年の歩み
ヨコレイは1986年10月に通関業務を開始して以来、食のインフラを支えるため、「法令遵守」「適正申告の徹底」を基本理念に掲げながら、全国主要港(神戸・大阪・門司・横浜・東京・名古屋の各税関)で体制を築いてきました。
2025年10月、ついに通関業務開始から40周年を迎えました。その節目にあたり、ヨコレイは「より高いサービス品質と、国際物流のさらなる信頼性向上を実現する」との決意を新たにしています。 -
AEO認定通関業者としての取り組み
AEO(認定事業者)制度は、「物流の安全性と効率性を両立」させることを目的とした、世界基準の認証制度です。ヨコレイは2023年10月に東京税関よりAEO通関業者の認定を受け、2025年に3年目を迎えています。AEO認定は高いコンプライアンス意識が求められるため、法令順守や適正申告はもちろん、国際物流のセキュリティ強化や業務品質の向上についても、組織一体となって取り組んでいます。
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全国6税関による体制強化と今後の展望
神戸、大阪、門司、横浜、東京、名古屋の各税関に拠点を構築し、地域特性や物流動向にきめ細かく対応しています。
各地の拠点での経験が積み重なり、2025年時点で神戸通関部は設立40年目、大阪で33年目、名古屋は設立2年目と、世代を超えたノウハウの蓄積があります。
経済のグローバル化や食の多様化が進む中、安全・安心・円滑な物流実現に向けて、組織体制の強化、業務品質のさらなる向上、自動化・デジタル化推進にも注力しています。
中国・内モンゴル策克口岸:貨物取扱量が2600万トン突破、過去最高へ
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策克口岸とは
策克口岸(さくこくこうあん)は、中国の内モンゴル自治区に位置し、モンゴル国と国境を接する重要な陸上貿易拠点のひとつです。歴史的なシルクロードの物流中継地の一端を担い、近年は中国―モンゴル間の貨物・資源輸送拠点として存在感を増しています。
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2025年、貨物取扱量が2600万トン超に
策克口岸では2025年に貨物取扱量が2600万トンを突破し、過去最高を更新しました。特にエネルギー資源(石炭・鉱石類)や農産物、消費財など多様な貨物が往来しています。この結果、中国―モンゴル間の活発な貿易とロジスティクスの進化が実感されます。
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急増の背景と今後の国際物流の期待
貨物量増加の背景には、国境をまたぐ貿易協定の充実と、中国国内の需要増、国際物流インフラの整備・電子通関システム導入といった数々の要素があります。策克口岸は「一帯一路」構想の実現における要衝ともなっており、今後も安定した物流と経済連携の推進が期待されています。
税関業務の現場──変革する国際物流と役割の深化
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税関業務とは何か?
税関業務は、国際物流における輸出入貨物の審査・課税・取締などを担当し、「不正な取引の防止」「公正な課税・申告」「関税収入の確保」など、国の経済と安全を支える役割を担っています。そのため厳しいコンプライアンスが要求され、業界全体でデジタル化とシステム化が加速しています。
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企業の社会的責任と国際競争力
横浜冷凍のような企業は、「持続可能な食のインフラ」に貢献するとともに、今後はESG経営(環境・社会・企業統治)や、トレーサビリティ(追跡性)・食品安全への意識の高まりもあり、税関業の透明性や高度な品質管理がより求められます。
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現場の工夫と今後の展開
現場では、書類審査の電子化やAI活用、検査体制の強化などが進行しています。また、多文化・多言語に対応したスタッフ教育や業務体制の最適化もトレンドです。アフターコロナの世界でも、グローバル物流網と食の安全・安定供給を守る上で、通関業務のイノベーションは不可欠です。
まとめ
横浜冷凍株式会社の通関業務開始40周年は、日本の物流・食のインフラにとって大きなマイルストーンです。全国6税関での体制強化、グローバルな認定制度(AEO)取得を通じて、企業の社会的責任と国際競争力向上にも力を注いでいます。
一方、中国・内モンゴル策克口岸での貨物取扱量が2600万トン突破というニュースは、東アジア全体の物流ダイナミズムを物語ります。国境を超える経済発展を支える拠点の進化は、私たちの暮らしとも密接に関わっています。
今後も、税関業務に携わる各現場・各企業の挑戦とサービス向上に期待が集まります。安全で効率的、そして持続可能な国際物流の実現に向け、税関が果たす役割はますます重要性を帯びていくことでしょう。




