フジクラ、2026年3月期決算速報
経常利益24%上方修正・過去最高益予想・配当大幅増額の背景と今後
株式会社フジクラ(東証プライム:5803)が2025年11月7日、2026年3月期第2四半期決算及び通期業績予想の上方修正を発表しました。
本記事では、この記録的な決算内容と市場の反応、今後の展望についてやさしく解説します。
フジクラとはどんな会社?
- 情報通信ケーブル、光ファイバー、エレクトロニクス部品、自動車部品、エネルギー分野など広範な事業を展開する国内電線・ケーブル大手です。
- 情報通信事業部門を中心に売上の多くを占め、特に近年はクラウド・データセンター向け光ファイバーや電子部品分野が成長のけん引役となっています。
2026年3月期第2四半期決算の主なポイント
- 2025年4月~9月(第2四半期累計)の売上高は5,590億円(前年同期比24.9%増)
- 営業利益は902億円(前年同期比63.5%増)
- 経常利益は917億円(同75.7%増)
- 純利益は671億円(同2.3倍、+133.7%増)
- 情報通信事業部門が大幅増収増益をけん引
通期業績予想の大幅上方修正
フジクラは、2026年3月期通期(2025年4月~2026年3月)の連結経常利益予想を従来の1,480億円から1,840億円(+24.3%)に引き上げました。純利益予想も1,030億円から1,320億円へと+28.2%増額され、4期連続の過去最高益更新見通しです。売上高も従来予想9,960億円から1兆1,090億円(+11.3%増、前期比+13.2%増)に大幅修正されています。
増配も発表、株主還元姿勢を強化
業績好調を受け、フジクラは年間配当金を従来計画の150円から190円へ40円増額しました。前年実績(100円)からは、なんと90円もの増配となります。中間配当は95円(前回比+20円増額)、期末配当も95円と増額し、株主への還元を大きく強化する方針です。
業績好調の背景:「データセンター需要」と「光ファイバー」
- 光ファイバーや通信ケーブルなど、主力の情報通信事業部門が絶好調。
- クラウドサービスや二次元生成AIの普及に伴い、国内外のデータセンター新増設ラッシュが続いているため、関連製品の需要が拡大。
- 第2四半期(7~9月)実績では、経常利益が前年同期比91.2%増の499億円を計上し、売上営業利益率も前年同期の13.4%から16.9%へと大幅に向上しています。
財務基盤も着実に強化
フジクラは営業・経常利益率・純利益率いずれも前年同期を大きく上回り、自己資本比率などの財務体質も着実に改善しています。旺盛な設備投資と研究開発を継続しながらも、安定したキャッシュフローの維持と、積極的な株主還元を両立しています。
市場の反応と株価動向
大幅増収増益・増配のサプライズ決算にもかかわらず、発表直後の株価は一時プラス圏に浮上したものの、その後は軟化(2万円を割り込む場面も)しました。背景には、業績への期待が事前に株価へ織り込まれていたこと、そして米国市場のハイテク株全体の急落、決算発表直後の材料出尽くし感などが指摘されています。
セグメント別の解説
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情報通信事業部門
光ファイバー、光接続部品、通信用ケーブルが中心。データセンター向け納入が顕著に伸びました。 -
エレクトロニクス事業部門
精密電子部品や周辺機器分野が堅調。自動車の電動化・EV分野向け需要も継続増。 -
エネルギー事業部門
再生エネルギーなどインフラ投資関連で受注好調。
今後の展望
- 新たなクラウド、AI関連投資が加速する中で、データセンター設備投資の旺盛な需要継続に期待。
- 原材料価格や為替動向など外部環境には注視が必要ですが、供給力・技術力強化で需要に的確に対応。
- 株主還元強化は、今後も安定成長を志向する同社の姿勢を象徴しています。
まとめ
フジクラの2026年3月期中間決算は、売上・利益ともに大幅増加、さらに通期予想も上方修正され、過去最高益・大幅増配が見込まれる内容となりました。社会インフラを支える重要な企業として、今後のさらなる成長にも大きな期待が寄せられています。同社の次の一歩に、今後も注目です。


