バンダイナムコホールディングス、今期経常利益を15%上方修正―堅調な業績と減益幅縮小の背景
はじめに
バンダイナムコホールディングス(証券コード:7832)は、2026年3月期第2四半期の決算発表において、通期の経常利益予想を従来から15%上方修正しました。この発表は、市場関係者や投資家の間でも大きな話題となっていますが、一方で「純利益減」や「営業利益率の低下」も報告されており、企業の現状を丁寧に読み解くことが重要です。この記事では、直近の決算データとその背景、今後の注目ポイントについて分かりやすく解説します。
バンダイナムコホールディングスとは
バンダイナムコホールディングスはエンターテインメント企業として、アニメ・玩具・ゲーム・アミューズメント施設など多角的な事業を展開しています。代表的IPには「機動戦士ガンダム」や「ドラゴンボール」シリーズがあり、国内外に強いプレゼンスを持っています。
2026年3月期第2四半期・最新決算のポイント
- 第2四半期(4–9月)の累計連結経常利益は1,101億円(前年同期比4.6%減)
- 7–9月期(2Q)経常利益は555億円(前年同期比16.5%減)
- 売上高は引き続き堅調で5%増
- 通期(2026年3月期)の経常利益予想を15.4%上方修正、1,720億円へ
- 上方修正後も、前期比7.8%減の見通しで減益は継続
- 売上営業利益率は前年同期の21.1%→15.6%へ低下
純利益は減少も、ネガティブ一辺倒ではない理由
今回の決算速報では、第2四半期の累計純利益が2.3%の減少、通期でも7%減に上方修正という形になっています。減益そのものは確かに懸念材料ですが、会社側が通期利益を上方修正したことは、今後のビジネスを前向きに捉えている証拠です。また、昨年度(2025年3月期)は経常利益1,864億7,000万円・最終利益1,293億円という過去最高水準を記録しており、その高い水準をほぼ維持できている点も注目されます。
経常利益上方修正の背景
今回の経常利益の大幅上方修正の背景には、コア事業である「ガンダム」関連事業の好調があります。玩具・ホビー分野やデジタル事業ともに、IPによるブランド価値の最大化を進めてきた成果が反映されています。また、国内外のゲーム市場環境の安定、アニメ関連商品の売れ行き、イベント事業の回復などもプラス要因です。
営業利益率の低下と費用面の影響
一方、営業利益率が前年同期の21.1%から15.6%へ低下したのは、コンテンツ制作・開発費や人件費、物流費などのコスト増が主因です。また、今期上半期(4–9月)だけ見ても、利益率は減少傾向となっています。このため、現場では効率化やコストコントロールの徹底が求められ、今後の課題となっています。
キャッシュフロー・財務健全性
営業キャッシュフローは、前年度(2025年3月期)で1,873億円と堅調に推移しており、現金期末残高も3,609億円と極めて健全な水準です。自己資本比率やROEも高水準で推移しており、企業体力の強さを裏付けています。
ガンダムとIPビジネスの現在地
バンダイナムコグループの安定成長を支えているのは、何と言ってもIPビジネスです。ガンダムは国内外で安定した売上を誇り、玩具、プラモデル、ゲーム、アニメと複数の領域でブランド価値を高めています。近年では新規タイトルやコラボレーション施策、海外展開にも注力しており、長期的な収益源としての地位を確立しています。
バンダイナムコの強みと今後の課題
- IP(知的財産)の豊富さとグローバル展開力
- エンターテインメント分野特有の収益変動リスクにどう対応するか
- 原価高騰や開発投資の効率化
- 新興市場(アジア/北米)での拡大戦略
- デジタル・リアルの連携イベントや専用施設の活用
これらの強みを活かしつつも、今後はコスト構造の見直しや新規IP創出、市場ニーズの多様化対応がテーマとなります。
決算発表後の市場反応
決算発表後、一時的に株価が急落する場面もありました。しかし、これは短期的な利益確定売りや「減益幅の縮小=好材料」と解釈する投資家の受け止め方の違いがあったことが影響しています。足元の経営指標自体は十分に堅調であり、今後は新作タイトルやグループ内シナジーの発揮が引き続き注目されるでしょう。
まとめ
今回のバンダイナムコホールディングスの決算は、「減益の中でも収益力をしっかり確保し、通期予想を大きく上方修正した」点が最大の特徴です。市場や社会情勢の変化が続く中でも、主力事業で利益を確保し、財務の健全性も維持しています。今後は収益の持続力を高める経営施策や新たなヒット作の創出が、さらなる成長へのカギとなるでしょう。
今後の展望と注目ポイント
- ガンダムを核とした多面的なIPビジネスの深掘り
- グローバル市場での新戦略
- 既存IPのデジタル化・映像化・リアルイベント展開
- コスト最適化と利益率回復へのアプローチ
- 新規IP創出と社内外の協業強化
このような取り組みを通じて、バンダイナムコホールディングスがどのような新しい価値提案を行うのか、引き続き注目されます。



