コニカミノルタ、黒字転換と業績回復の歩み――2026年3月期第2四半期決算解説
2025年11月5日、コニカミノルタ株式会社(東証プライム:4902)が2026年3月期第2四半期累計(2025年4月~9月)の決算を発表しました。この発表は、昨年まで続いていた厳しい赤字から脱し、大きな黒字転換を実現したという内容で、投資家や業界関係者の間で大きな注目を集めています。
2026年3月期第2四半期決算のポイント
- 連結最終損益:226億円の黒字(前年同期は107億円の赤字)
- 通期予想最終利益:270億円の黒字に上方修正(従来予想より30億円増、前期は474億円の赤字)
- 売上営業利益率も前年同期の0.3%から4.9%へ大幅改善
- 構造改革により収益性向上、財務体質も安定
- 下期(2025年10月~2026年3月)は43.8億円の黒字見通し(前年同期は367億円の赤字)
この第2四半期は、業績・損益ともに「黒字転換」を果たしたことが最大の特徴です。また、会社側は好調な上期の実績をもとに、通期最終利益予想も従来の240億円の黒字から270億円の黒字に上方修正しました。これは、前期474億円の赤字を一気に挽回する形となり、構造改革や事業分野の選択と集中の成功を示しています。
コニカミノルタの主な成長要因
- 構造改革の推進:収益性の低い事業の整理や効率化施策を徹底したことが、コスト減と収益安定につながりました。
- 事業選択と集中:売上高は減少傾向ながら、利益率は大きく改善し、資本効率も向上しました。
- デジタルワークプレイス・プロフェッショナルプリント事業の強化:オフィス向け複合機、商業・産業印刷システム、計測機器、機能性フィルム、医療用画像診断システムなど多方面で価値創出。
- 財務体質の改善:親会社所有者帰属持分比率は40.1%まで改善し、負債も減少傾向となっています。
2025年度第1四半期の売上高は2,512億円(前年同期比8.2%減)でしたが、事業貢献利益は91億円(前年同期比411%増)と大幅に伸び、営業利益は100億円(前年同期は18億円の損失)となっています。
営業利益・利益率の改善と株主還元
営業利益率は著しく向上しており、2025年度第2四半期(7~9月)は153億円の黒字(前年同期は72.6億円の赤字)でした。これにより売上営業利益率も4.9%まで回復しています。最新の予想では、2026年3月期の修正1株益は48.57円と大幅な黒字回復が見込まれています。
また、株主還元の面でも配当政策の見直しが追い風となっています。最新の予想によれば、2026年3月期の年間配当は1株当たり10円を予定しており、これまでの無配からしっかりと復配に転じる見通しです。
株価と市場の反応――注目の急反発
- 決算発表直後、コニカミノルタの株価はカイ気配となり急反発、投資家心理の好転が確認されました。
- 最新予想の好調を受けて、今期最終利益が30億円増額されたことが投資材料となっています。
- 市場では「赤字から黒字へ」転換したことが高く評価され、今後も業績回復期待が高まっています。
事業別の概要と今後の成長戦略
- デジタルワークプレイス事業:オフィス向け複合機やドキュメント管理ソリューションが堅調。リモートワークやDX推進に伴い需要が拡大。
- プロフェッショナルプリント事業:商業印刷・産業印刷分野で生産性・効率性向上。付加価値の高い製品群が収益向上に貢献。
- インダストリー事業:計測機器や機能性フィルム等、高付加価値領域へシフト。精密機器の需要増が業績底上げに寄与。
- 画像ソリューション事業:医療向け画像診断・ITサービス分野の展開。ヘルスケア関連は拡大基調。
これらの事業がバランス良く組み合わさることで、コロナ禍や為替影響など不透明要因にも耐性のある体質へと生まれ変わっています。
財務・経営指標の推移と展望
- 総資産:1兆1,653億円(前期末比4.3%減)
- 負債合計:6,878億円(前期末比7.5%減)
- 親会社所有者帰属持分比率:40.1%(財務体質改善)
- 営業利益率の回復:0.3%→4.9%
資産と負債、株主資本比率の改善は、構造改革による効果が顕著に現れている証しです。今後の課題は、売上高を回復基調に乗せつつ、利益水準を安定化・底上げしていく持続的成長戦略の遂行です。
コニカミノルタの決算推移(過去5年分・主な指標)
| 年度 | 連結最終損益 | EPS(1株益) | 配当(1株配) |
|---|---|---|---|
| 2023/03期 | -602億2800万円 | -208.89円 | 0円 |
| 2024/03期 | 537億7800万円 | 9.15円 | 5円 |
| 2025/03期 | -769億1300万円 | -95.98円 | 0円 |
| 2026/03期 予想 | 270億円 | 48.57円 | 10円 |
2023年以降、コニカミノルタは大幅な赤字と黒字を繰り返しましたが、今期は確かな黒字転換を果たし、EPS(1株益)も大幅に改善、配当も復配路線へと転換しています。
今後の見通しと株主・投資家へのメッセージ
コニカミノルタは今期、大きな黒字転換を達成したことから、事業の選択と集中施策や経営改革の成果が広く評価されています。今後は収益性と安定性の維持拡大、次世代事業への挑戦といった取り組みに引き続き注力する方針です。市場でも好感された決算発表を受けて、株価や投資家の関心度も上昇しています。
投資家にとって今回は「企業再生に成功し、成長基盤を一新した」という点が大きな安心材料となっています。それでも外部環境や競合動向は油断できませんが、安定した財務体質と持続的成長への強い意志が新たな企業価値を生み出していくことでしょう。
関連情報・補足
- IRイベントとしては、2026年2月5日に第3四半期決算発表が予定されています。
- コニカミノルタは株主向け説明会やレポートなどIR活動も活発です。
- 2025年11月6日寄り付きでは話題株として注目されました。
以上、コニカミノルタの2026年3月期第2四半期決算について、株主・投資家・経営者目線から見た注目ポイントや今後の展望を優しくわかりやすく解説しました。




