すかいらーく、海外出店戦略を転換──米国からアジア、台湾に「資さん」ブランドも展開へ
国内外で幅広く飲食事業を展開するすかいらーくホールディングスが、2025年現在、海外進出の方針を大きく転換しています。米国での展開から、より成長可能性が高いとされる台湾や東南アジアへの注力を鮮明にしているのです。中でも“資さんうどん”の海外展開構想や、台湾市場での新たなブランド展開は、今後の同社の成長を占う重要な布石となっています。
海外出店の現状──台湾・東南アジアが主力市場に
すかいらーくグループは2025年5月時点で台湾に78店舗、マレーシアに19店舗、米国に2店舗を展開していますが、その成長の主軸をアジアにシフトしています。
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台湾市場:特筆すべきは、台湾市場の拡大ぶりです。近年、新工場の設立やブランドごとの店舗展開が進み、武蔵野森珈琲、しゃぶ葉、横浜牛排など多彩な業態を同時オープンしました。
台北新工場の稼働により、食材供給や店舗網の拡張基盤が強化され、毎年10店舗以上のペースで新規出店を目指しています。 - マレーシア:マレーシアでも20店舗近くを展開し、平均年齢が若く消費意欲の高い世代をターゲットにしています。同地現地のすき焼きやしゃぶしゃぶ業態とのM&A(事業買収)により、調達・配送・教育などを効率化しつつ、東南アジアへの足掛かりを強化する体制です。
- 米国:一方で米国は市場の潜在力を見込むものの、出店は慎重に進めており、現段階では2店舗。一定の成果を上げたのち、フランチャイズによる大規模展開も視野に入れるとのことです。
この数年のグローバル展開とブランド多角化は、激変する外食産業の中で“サステナブル経営”を目指す中期事業計画の核となっています。2025年から3年間で海外約100店舗の新規出店を計画しています。
「資さんうどん」ついに海外へ──台湾・東南アジア進出の具体化
福岡発祥の人気うどんチェーン「資さん(すけさん)うどん」は、2024年末の関東初進出を皮切りに、国内外で存在感を増しています。すかいらーくが傘下に収めたこのブランドも、遂に2027年以降、台湾や東南アジアでの出店を検討していると明かされました。
- 海外戦略:台湾やマレーシアなど、すかいらーくグループが既に強い基盤を持つ地域での展開が想定され、現地消費者の嗜好やマーケット特性に合わせたローカライズ戦略も重要な課題となりそうです。
- 国内加速:同時に、国内でも2026年末までに関東・関西・中国・九州に30店舗の新規出店を進め、全国展開を本格化する予定です。
「資さんうどん」は、地元・九州で絶大な支持を受けるだけに、その“本場の味”をアジア各地の食卓に届ける試みが消費者の関心を呼んでいます。
キハチカフェで秋の味覚フェア──栗づくしの新作パフェが登場
外食業界における秋のトレンドとしてもう一つ注目を集めているのは、キハチカフェの「栗づくしフェア」です。秋の味覚として定番の栗を使った新作メニューが続々と登場し、なかでも注目が集まるのがワイングラスで提供されるモンブランパフェです。
- 新作モンブランパフェ:伝統的なモンブランを現代的に再構築し、パフェ仕立てにした新作です。美しく重ねた層には、濃厚なモンブランクリームや、季節の栗アイス、クランブル、フルーツソースなどが用いられています。
- ワイングラスでの提供:見た目にも華やかに、ワイングラスに盛り付けて提供されることで、デザートタイムが特別なひとときに。食感や風味の違いをひと口ごとに楽しめるため、女性客を中心に好評です。
- 栗づくしのフェア:モンブランパフェをはじめ、定番のモンブランケーキや栗を使ったタルト、限定の焼き菓子など、“栗好き”にはたまらないラインナップが勢ぞろい。期間限定での開催となっています。
このように、飲食業界はグローバル展開戦略と同時に、国内においても“旬”を活かした商品開発で市場の注目を集めており、ブランドの価値と顧客体験の向上を両輪で追求しています。
すかいらーくの今後──出店計画・地域戦略・持続可能性の取り組み
すかいらーくは今後も、グループ全体で年100店舗の海外新規出店、国内は商業施設や地方都市での積極展開を計画しています。
国内外での人材育成や物流網の強化、新工場設立による品質・コスト・スピードの最適化を進めつつ、持続可能な成長モデルへの転換を重視しています。
- M&A活用:現地企業の買収や事業提携によって、多民族国家の多様なターゲット層に対応し、効率的な事業運営と成長を目指します。マレーシアでのムスリム市場戦略や、食文化・宗教多様性への配慮も特徴的です。
- 生産・物流強化:台湾新工場による一次加工の増加が、現地調達力や品質の向上、コスト削減に寄与しています。
- 人材教育・デジタルトランスフォーメーション:人材教育の統一やオペレーションの標準化、DX(IT化)による効率化も進められており、変化の早い市場動向に柔軟に対応する姿勢が見られます。
まとめ──アジアで躍動する「すかいらーく」と多彩なブランド展開
すかいらーくグループは、グローバル展開の軸足を米国からアジアへ移し、台湾や東南アジア中心に新たな成長戦略を進めています。「資さんうどん」の海外進出や、M&Aを活用した現地対応型ブランド戦略など、多角化によって地域ごとの顧客ニーズに応えています。
加えて、キハチカフェの「栗づくしフェア」など、国内飲食ブランドでも季節感や話題感を活かしたメニュー展開が注目を集めており、ブランド体験の多様化も進んでいます。食を通じて地域に根差し、グローバルでのプレゼンスを高めるすかいらーくの今後から、目が離せません。



