羽佐間道夫が総合プロデュース、声優文化と映画史を繋ぐ―「ボイスシネマ声優口演ライブ」20周年公演を徹底レポート

日本声優界の至宝・羽佐間道夫が贈る20年の軌跡

「ボイスシネマ声優口演ライブ」とは、その名の通り、無声映画に一流声優たちがライブでアテレコ(口演)を披露する唯一無二のイベントです。
このユニークな舞台をプロデュース・企画・演出してきたのが、声優生活61年を超える大ベテラン羽佐間道夫さんです。
2025年、ついに本公演は20周年を迎えました。コロナ禍での中止期間もありつつ、熱心なファンと共に歩んできた軌跡には、多くの感動エピソードがあります。

企画の原点:「古きを知ることが今を知ることにつながる」

羽佐間さんは、「古きを知ることが今を知ることにつながる」という信念のもと、映画史に名を刻む無声映画と、現代日本が誇る声優による表現という二つの芸術を融合させてきました。
チャップリン、バスター・キートン、ハロルド・ロイドらのサイレント映画。彼らの名作が、現代の声優と生演奏によって新たな命を吹き込まれるステージなのです。

主役は“声”:トップ声優たちが豪華共演

  • 山寺宏一さん
  • 林原めぐみさん
  • 天﨑滉平さん
  • 池澤春菜さん
  • 市川太一さん
  • 今井文也さん
  • 高木渉さん
  • 潘めぐみさん
    …ほかベテランから若手まで

今年の公演にも日本声優界を代表する豪華メンバーが勢ぞろいしました。
舞台では映画ごとにキャストが異なるというライブならではの特別な組み合わせ、一夜限りの共演も大きな魅力です。
ファンからは「どの作品の話をしても代表作が絞れない!」と声が上がるほどの大物声優ぞろいで、自己紹介時には会場から熱い拍手が起こりました。

息を呑むアテレコ・アドリブ劇:唯一無二の“声優力”

出演者は、往年の無声映画の登場人物たちをその場で声で表現します。
たった1テイク、一切のやり直しも許されない緊張感の中、圧倒的な即興力と表現力が発揮されます。
特に山寺宏一さんや林原めぐみさんのライブアフレコには、映画初演時の役者さながらの迫力があり、観客も手拍子と歓声でステージと一体化していました。

口演作品と公演スケジュール

  • チャップリン『キッド』(53分)
  • バスター・キートン『キートンの文化生活一週間』(19分、山寺宏一さん単独)
  • ロイドの『巨人征服』(53分)
  • チャップリン『犬の生活』(33分)

公演は全体で約120分、各作品ごとに異なるキャスティングが組まれています。
東京(有楽町よみうりホール)、愛知(Niterra日本特殊陶業市民会館)、仙台(仙台電力ホール)、大阪(大阪新歌舞伎座)の4都市でのツアー開催となりました。

会場の温かい一体感&スペシャルトーク

ステージには羽佐間道夫さん、山寺宏一さん、日本チャップリン協会会長の大野裕之さんが登壇し、絶妙なトークで会場を沸かせました。
出演陣によるスペシャルトークや、来場者限定の抽選会など、ファンが直接交流できる特別な時間も設定されています。
この場でしか味わえない「声優口演」ならではの醍醐味が会場を満たしていたのです。

“一夜限り”の組み合わせ、アドリブの妙技

本公演の特徴は、無声映画というフォーマットゆえに生まれる「アドリブ合戦」でもあります。
事前に決められたセリフや演技だけでなく、登場人物の仕草や感情に合わせて、その場で台詞や息遣いを創り出す技術は、まさに声優の真骨頂です。
この緊張感と遊び心が融合したステージには、毎回新たな感動と発見があり、観る人すべてを魅了しています。

チケットと各会場情報

会場 日程 開演時間 座種・料金
東京(有楽町よみうりホール) 10月31日(金)、11月1日(土)、11月2日(日) 18:30/14:00/18:30/14:00 プレミアム席 10,000円(特典付)
S席 7,500円
A席 4,500円
愛知(Niterra日本特殊陶業市民会館) 11月22日(土) 17:00 同上
仙台(仙台電力ホール) 12月6日(土) 17:00 同上
大阪(大阪新歌舞伎座) 12月20日(土) 15:00 同上

各会場ともプレミアムシート(特典付き)の他、S席・A席が設定されており、多くの観客で賑わいました。抽選プレオーダーなど人気公演ならではの工夫もなされています。

親しみやすさと熱量――「一流声優×無声映画」の出会い

普段はアニメや吹替で活躍する声優が、舞台上で即興的に多彩な役柄を演じるこのライブ。一声ごとに会場が息を呑み、一挙一動に温かい拍手が響きました。
登壇者の人柄や想いが伝わるエンディングトークでは、羽佐間さんから「20年かけて多くの声優と映画へのリスペクトが深まった」と語られました。古典的な芸術と現代声優文化の架け橋、それが「ボイスシネマ声優口演ライブ」なのです。

未来へ続く“芸術のリレー”――羽佐間道夫の情熱

この公演をきっかけに、無声映画やクラシック映画への興味を持つ若い世代も増えています。
羽佐間道夫さんの強い願いは、「古典を学び、現代に繋ぐこと」。
毎年、新しいゲスト声優が参加し、さまざまな世代の声優達が共演することで、技術や表現の魅力を ライブの臨場感 で伝えています。

本公演への期待と今後

2025年の20周年公演は、長く親しまれてきたこのイベントがまた一歩、新たな歴史を刻むものとなりました。
観客を魅了した「ボイスシネマ声優口演ライブ」。来年以降もさらなる進化と、名作映画×声優の新しい驚きが期待されています。

「声」の力が繋いできた歴史と未来――
無声映画の新たな生命を浴びるステージ、「ボイスシネマ声優口演ライブ」は、羽佐間道夫さんと豪華声優陣により、これからも確かな感動を届けてくれるでしょう。

参考元