2人で146歳、「ザ・ぼんち」が語るお笑い人生の真髄と、決して偉ぶらない理由

「ザ・ぼんち」――1972年結成、2025年現在で結成から53年を迎えた大ベテラン漫才コンビです。ぼんちおさむ(72歳)、里見まさと(73歳)、あわせて146歳。彼らは1980年代の漫才ブームで一世を風靡し、時代の寵児となりました。その後、一時の解散、再始動、そしていま令和の時代に再び脚光を浴びています。この記事では、「ザ・ぼんち」の波乱に満ちた半生と、その根底にある飾らぬ人柄――「決して偉ぶらない」理由までを丁寧に掘り下げていきます。

伝説のはじまり:「ザ・ぼんち」結成と漫才ブーム

  • 1972年、ぼんちおさむ里見まさとがコンビを結成。
  • 1980年代初頭、「漫才ブーム」で人気絶頂に。
  • 1981年、「恋のぼんちシート」が大ヒット。上方漫才大賞を受賞し、「日本武道館」で公演を実現。

昭和後期のテレビでは毎晩のように「ザ・ぼんち」の漫才が放送され、そのコミカルさと親しみやすいキャラクターでアイドル的な人気を得ました。彼らの代名詞ともなったギャグや楽曲は当時のお茶の間に笑いと元気を届け続けていました。

激動の時代・一時解散から再始動へ

  • 1986年、芸の消耗と時代の移り変わりで一時解散。
  • 2002年、満を持して再結成
  • 再始動後も若手と共演したり、学園祭にも積極参加。

漫才ブームが下火になるにつれ、「ザ・ぼんち」も例外なく苦境の時代を迎えます。1986年に一時解散となりましたが、その実力と人気は色褪せず、2002年に再結成を果たします。以降、彼らは若手芸人たちに混ざり舞台に立つなど、常に「現場第一主義」を貫きました。自分たちだけが特別な存在だと偉ぶることなく、同じ土俵で全力を尽くす姿勢が、業界内外から尊敬を集め続けています。

「THE SECOND~漫才トーナメント2025~」で再び脚光

  • 2025年、芸歴16年以上のプロを対象とした「THE SECOND」にファイナリストとして進出。
  • ベスト32でモグライダー、ベスト16で因縁の相手ハンジロウと対決。見事ベスト8進出。
  • その年齢での快進撃は視聴者や同業芸人にも衝撃と感銘を与えた。

「THE SECOND~漫才トーナメント」は芸歴16年以上が出場条件の<シニア漫才>の最高峰ともいえる大会です。ザ・ぼんちは2024年大会で惜しくもノックアウトステージで敗れましたが、2025年大会ではリベンジを果たしグランプリファイナルまで進出。70代半ばのベテランが、若手も凌駕する爆発力で会場を笑いの渦へ巻き込みました。現場で鑑賞した記者も「涙が出るほど笑った」と語るほどで、その魅力は世代や時代を超えて多くの人々を惹きつけています。

「一夜で人生が激変」――その出来事とは?

「ザ・ぼんち」にとって、人生最大の転機となったのはやはり1981年の「恋のぼんちシート」大ヒットから武道館公演への流れです。当時の漫才師では考えられなかった「アイドル的な人気」「武道館公演」が現実となったのは、彼らの漫才が“時代の空気”をつかみ取る力に満ち溢れていたからでした。

この“伝説の一夜”以降、景色は一変。「毎日のようにテレビ出演。道を歩けば声をかけられ、一夜にして日常が大きく変わりました」と、おさむ・まさとは当時を振り返っています。この経験が、彼らに「浮かれず、初心を忘れない」という信念を根付かせたと語ります。

決して「偉ぶらない」――里見まさと&ぼんちおさむの生き様

  • 若手時代の苦労と、再び弟子のような立場になった経験から、「人にマウントを取らない」生き方を選ぶ。
  • ベテランであっても、小さな舞台から学園祭まで全力で臨む。
  • 「1人でも多くのお客様に笑顔を届けたい」という純粋な思い。

なぜここまで謙虚に、偉ぶらず舞台に立ち続けられるのか。それは、80年代に一世を風靡した直後、長い停滞期間や一度の解散、経験のない場所で“新人扱い”を受けた体験が根底にあるからです。「何年やっても、誰の前でも、その場所での一年生」だと語るまさと。おさむも「“初心忘れるべからず”が一番の教訓」と言います。

この謙虚な姿勢は若手芸人たちをも唸らせ、「人間力がすごい」「尊敬しかない」との声が絶えません。NON STYLEの井上裕介は「勝手に家の前で土下座したいくらい(笑)」と、愛情たっぷりに彼らを称賛しています。

大御所・明石家さんまも羨望、「背中を押された」活力

  • 明石家さんまも「ザ・ぼんち」の活力に触発され、「芸風はたいへんやで」と感服。
  • 「自分ももっと頑張らなあかん」と背中を押されたとコメント。
  • 若手からベテランまで、そのバイタリティは世代を超えて影響を与えている。

芸能界のトップランナーである明石家さんまですら、「ザ・ぼんち」の元気さ、チャレンジ精神には太刀打ちできないと公言し、「『ザ・セカンド』にもまた出はるんかな」と感嘆。「背中を押していただいた」とも語っています。彼らの飽くなき挑戦、芸歴最年長で漫才大会を勝ち上がるそのエネルギーは、日本のお笑い界全体が敬意を払うものなのです。

55周年記念ツアーで再び新たな伝説を

  • 2025年、芸道55周年記念の単独ライブツアーを発表。
  • 大阪・なんばグランド花月を皮切りに、全国3都市で開催予定。
  • チケットも好調、世代を超えて多くのファンを動員。

「ザ・ぼんち」は2025年、芸道55周年を迎え、記念単独ライブのツアーを実施しています。このツアーは大阪をはじめ、全国3都市で予定されており、時代を超えて広がる笑いの力を体感できる舞台です。チケットも大盛況で、若いファンから年配世代まで、幅広い層が彼らのステージに熱い注目を寄せています。

インタビューで「戦友です」と語るまさと。どんな状況でも二人三脚で歩み、一度解散しても、再び一緒に舞台へ。「ここまで来られたのは、相方がいたから」と、感謝を惜しみません。改めてお互いの存在が何より大切なのだと実感できる、令和の漫才の到達点です。

いま改めて問う、「ザ・ぼんち」とは何か

  • アイドル的スターとして、そして“現役の一流漫才師”として、二度花を咲かせる稀有な存在。
  • どんな苦難も、「芸」を通じて乗り越える諦めない精神。
  • 若手や後輩芸人にも深い影響を与え続ける“生きる教科書”。
  • 決して「偉ぶらない」――人間力に裏打ちされた本物のスター。

ザ・ぼんちを一言で語るとするなら、それは“生きる伝説”でしょう。時代を超えて愛され、挫折と再起を繰り返しながらも、お笑いの本流で突き進む彼らの姿は、多くの人に勇気と希望を与える灯台のようです。「一夜で人生が激変した」と語りながらも、「自分は何者でもない」と胸を張る彼らの謙虚さ。これこそ、日本のお笑いが持つ本質なのかもしれません。

いまも現役で“全盛期を更新し続ける”ザ・ぼんち。次の舞台でも、きっと日本中を笑顔にしてくれることでしょう。

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