北陸新幹線の未来を決める自民・維新の新プロジェクトチームが発足
2025年11月1日、北陸新幹線の今後の建設方針を協議するため、自民党と日本維新の会が新たに「自民・維新北陸新幹線プロジェクトチーム(PT)」を設置し、初会合が開かれました。この会合では、敦賀から新大阪までの延伸ルート選定や、今後の建設スケジュールについて、両党の政策責任者が建設的な議論を交わしました。
自民・維新、新プロジェクトチームで協議開始
北陸新幹線は、すでに金沢まで開通していますが、敦賀から新大阪までの延伸計画は長年議論が続いてきました。特に京都市内を通過するルートについては、複数の案が提示され、住民や自治体の意見も分かれています。こうした中、自民党と日本維新の会は、より迅速かつ効果的な議論を進めるため、新たにプロジェクトチームを設置することを決定しました。
初会合には、自民党の小林政調会長と維新の政策責任者が出席。小林政調会長は「北陸新幹線の整備は地域経済や交通の発展に大きく寄与する。建設的な議論を重ね、早期に合意を目指したい」と述べました。一方、維新側は「米原ルートも視野に入れて再検討すべきだ」として、これまでのルート案にとらわれず、新たな視点での検証を求める姿勢を示しました。
ルート選定の難航と住民の声
現在、敦賀から新大阪までのルート案として、「小浜・京都ルート」「舞鶴ルート」「米原ルート」の3案が検討されています。特に京都市内を通過する「小浜・京都ルート」は、福井県や富山県など北陸地方の多くの自治体が支持していますが、京都府内では地下水の枯渇や大量の残土処理、建設費の高騰といった問題が指摘され、住民運動も活発です。
実際、京都府内では「北陸新幹線京都延伸の環境アセスの一旦停止を求める会」など、市民グループが国土交通省や鉄道建設・運輸施設整備支援機構に働きかけ、環境影響評価の見直しを求めています。また、日本共産党の倉林明子参院議員も「物価高や能登半島地震の復興が進まない中で、最大5兆円以上をかけて新幹線を建設するのは適切ではない」として、延伸計画の中止を訴える声も広がっています。
「2025年度中の着工」見送り、今後の課題
当初、政府や与党は「2025年度中の認可・着工」を目標としていましたが、京都市内を通過するルートの選定が難航し、年度内の着工は見送られることになりました。与党整備委員会では、「東西案」を排除し、「南北案」と「桂川案」のいずれかを採用する方向で議論が進んでいますが、最終的な決定は年明け以降に持ち越される見通しです。
また、一部の沿線自治体からは「米原ルート」の再検討を求める声も出ていますが、福井県は「小浜・京都ルート」の採用を強く主張しており、合意形成には時間がかかりそうです。一方で、小浜市内に設置する駅の着工準備にかかる予算は2025年度予算に盛り込まれており、一部の工事は進む見込みです。
今後の展望と地域の期待
北陸新幹線の延伸は、北陸地方と関西圏の交通アクセスを大きく改善し、地域経済の活性化や観光振興にもつながると期待されています。しかし、ルート選定や環境問題、建設費の負担など、多くの課題が残っています。
自民・維新のプロジェクトチームは、今後も定期的に会合を開き、住民や自治体の意見を丁寧に聞きながら、建設的な議論を進めていく方針です。北陸新幹線の未来を決める重要な時期に、地域の声をどう反映するかが問われています。
まとめ
- 自民党と日本維新の会が「北陸新幹線プロジェクトチーム」を設置し、初会合を開催。
- 敦賀から新大阪までのルート選定は難航中。京都市内を通過する案が中心だが、住民の声や環境問題も重視。
- 「2025年度中の着工」は見送り。年明け以降に最終決定を予定。
- 小浜市内駅の着工準備予算は2025年度予算に盛り込み。
- 今後も住民や自治体の意見を聞きながら、建設的な議論を進める。
北陸新幹線の延伸計画は、地域の発展と住民の暮らしの両面で大きな影響を与えるだけに、今後の動向が注目されます。



