山口県各地でクマの目撃相次ぐ――住民や行政が警戒強化、地域に広がる不安

今秋、山口県の国道や住宅街で複数のクマ目撃情報が発生

2025年10月下旬から11月初めにかけて、山口県内でクマの目撃情報が相次いでいます。県内の国道や住宅地、公園など幅広い場所で、複数の個体が目撃されたことが地域住民や行政に衝撃を与えています。周南市鹿野上の国道315号では2頭のクマが同時に確認されたほか、山口市、柳井市、長門市でも複数の個体が目撃されているという状況です。

また、山口市吉敷地区や徳地地区など生活圏に近い場所でも目撃が増えており、地域住民の安全確保を目的とした対策が急ピッチで進められています。行政は「クマ対策強化期間」を設けて重点的な警戒やパトロールを強化しています。

各地での具体的な目撃事例

  • 周南市鹿野上(国道315号)――10月27日午前6時ごろ

    周南署の発表によると、50代男性が車を運転中に体長約50cmのクマ2頭を目撃。目撃現場は鹿野交番の南西約400メートル付近です。2頭とも国道を横断していたとの報告があり、交通事故への注意喚起がなされています。
  • 山口市吉敷地区――10月24日・26日

    吉敷赤田では住宅街で体長約1mのクマ1頭が目撃されました。また佐畑やすらぎの場(公園)でも、同じく体長約1mの個体が短期間に連続して確認されています。住民の生活圏への出没事例として懸念されています。
  • 山口市徳地野谷――10月29日

    徳地地域交流センター付近で70cm~1mほどのクマが複数目撃されています。1日に複数回、付近の国道や交流センター近辺で目撃が続いたため、警察や自治体による警戒が強まっています。
  • 柳井市柳井・日積――10月27日・29日

    柳井市内でも、柳井市立柳北小学校の北方約2km地点で体長1mのクマ1頭が目撃されました。さらに日積地区では柳井市立大畠小学校の近くで2頭のクマ様の動物が目撃されており、学校関係者や保護者への注意喚起が行われています。
  • 周南市小畑――10月30日

    新南陽斎場の近くでも、体長1mのクマ1頭が目撃されています。斎場や周辺施設は人の出入りがあるため、今後も警戒が必要です。
  • クマによる事故――10月13日 下松市切山 国道2号

    13日の夜、車通りの多い国道で約1mのツキノワグマが車両と衝突し死亡する事故が発生しました。該当する車両はまだ特定されていませんが、車との接触事故が現実に発生したことで、地域の安全対策の重要性が改めて認識されています。

市による対策強化と地域住民への呼びかけ

特に吉敷地区では「クマ対策強化期間」(10月末~11月14日)が設けられ、市が集中して警戒や巡回、安全啓発活動を強化しています。また、警察はクマの目撃場所周辺で重点的なパトロールを実施し、住民や通行人への注意喚起を行っています。

  • クマの目撃情報や痕跡の発見が続いている場所では、通学路や住宅地、公園など人の往来が多い場所にも巡回や警告掲示を増やしている。
  • 市は「山歩きの際は鈴やラジオなどで音を出す、防犯ブザーを携帯する」「単独行動を避ける」「餌となる生ゴミや作物の管理徹底」などを住民に推奨。
  • 学校や福祉施設では、児童生徒の見守り強化や送迎車両による安全確保が行われている。

クマ出没状況の現状と今後の懸念

2025年は山口県下全域でクマの目撃情報が例年より多く報告されているのが特徴です。警察の「事件事故発生情報」によると、10月だけでも県内複数市町で10件以上の目撃報告があり、うち複数回は2頭以上の同時目撃、また実際の事故発生例(下松市)も含まれています。

背景としては、クマの餌不足や山間部開発による生息域の変化、気候変動による行動パターンの変化が推察されていますが、行政能力や住民の協力によって安全対策が求められる状況となっています。

行政は、「クマの目撃や痕跡を発見した場合は速やかに警察や市役所等に連絡し、決して近づかないように」と改めて注意喚起しています。今後も、パトロール強化・情報発信・住民協力の3本柱で、安全な地域づくりを目指していく必要があります。

クマ目撃のマップ公開、住民の不安払拭へ

山口県警察・市役所では目撃場所をマップ化しウェブで公開。最新の出没情報や巡回区域、啓発ポイントなどを随時更新し、住民が自分の生活圏の安全を確認できる体制が整えられています。

  • 「YPくまっぷ(2025)」は県警・自治体で運用されており、地域ごとの出没地点や警戒エリアを視覚的に把握できる。
  • 情報をもとに地域住民同士の見守り体制や自主防霊活動の呼びかけが生まれている。

まとめ――今求められる日常の安全対策

今回のように国道や住宅地付近でクマが目撃されるケースが頻発していることは、山口県において決して他人事ではありません。特に秋~冬季はクマの活動が活発化する時期でもあるため、地域全体が連携して対策を強化していくことが、今後さらなる事故や被害を防ぐ鍵となります。

住民の皆さんは、「焦らず冷静に、決して接近せず、速やかに通報」することが最も重要です。行政機関や警察と緊密に連携しながら、子どもや高齢者を守る意識、地域防災力の向上が不可欠です。

今後も山口県は、クマ出没への迅速な対応と情報共有を続け、より安全な環境づくりを目指します。

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