アマゾン株価が急騰 ― クラウド事業とAI領域の躍進がもたらした安心感
アマゾン決算発表、株式市場を席巻
2025年10月30日(米国時間)、アマゾン・ドット・コムは2025年第3四半期(7-9月期)の決算を発表しました。この決算内容は多くの投資家や市場関係者に安心感と驚きを与え、時間外取引でアマゾン株価が14%を超えて急騰しました(一部メディアでは12%~13%という報道もあり)。
決算発表を受けた米国株式市場ではナスダック指数が一時1.5%高と活況となりました。アップルやアマゾンなど大手ハイテク株の好決算が、市場全体のムードも押し上げています。
好調の要因:クラウド事業とAI需要の拡大
アマゾン決算を牽引したのは、同社が成長の柱と位置付けるクラウド事業(Amazon Web Services: AWS)です。第3四半期のAWS売上高は前年同期比20.2%増の330億600万ドルとなり、11四半期ぶりの大幅な成長率を記録しました。この成長率は2022年第4四半期以来の勢いです。
AWSの堅調な売上増加は、クラウド基盤を活用した生成AIサービスの需要拡大に強く支えられています。CEOアンディ・ジャシー氏によれば、AIサービスが小売事業にも波及することで全体的な成長と収益性向上の両立を実現していると強調されました。
さらに、アマゾンのクラウド部門は2026年以降もさらなる設備投資の拡大が予想されていますが、AI領域における強みや受注残高の大きさ(9月末時点で2000億ドル超)が、今後の成長継続への強い信頼感を市場に与えています。
決算数値の詳細と市場予想の上振れ
- 総収入: 1,801億6,900万ドル(前年同期比13.4%増)。市場予想(1,778億1,600万ドル)を上回る。
- 1株当たり利益(EPS): 1.95ドル(36.4%増)。市場予想(1.58ドル)も凌駕。
- AWS売上高: 330億600万ドル(20.2%増)で成長加速。
- 株価: 決算発表後、時間外で251.09ドル(前日比+28.23ドル/約12.7%上昇)まで跳ね上がる場面も観測されています。
チャートと株価の推移
アマゾン株価は2025年10月下旬に220ドル台を推移していましたが、決算発表後には250ドル台まで急伸しました。2025年2月には52週高値で242.52ドルをつけており、この急騰は株価が再度過去最高値圏に達したことを意味しています。
| 日付 | 始値 | 終値 | 出来高(株) |
|---|---|---|---|
| 2025年10月30日 | 227.06 | 222.86 | 102,252,937 |
| 2025年10月31日(時間外) | — | 251.09(+12.7%) | — |
また2025年10月下旬には一進一退を繰り返していましたが、この好決算が大きな転機となりました。
投資家心理・市場全体への影響
アマゾンの好調な決算は、アップルやアルファベット(Google親会社)など他のテック大手とともに市場全体の楽観ムードを後押ししました。ナスダックは1.5%高を記録し、S&P500も堅調。特にAIとクラウド分野への期待が、米株式市場の堅調地合いを下支えしています。
一方、ダウ平均株価については「小幅安」または「小幅高」といった報道も見られましたが、アマゾンの好決算が相場の安心材料になったことは確かです。テクノロジー株の比重が高い米国市場では、アマゾン・アップル・アルファベットといった大型株の決算が全体の雰囲気を大きく左右しました。
アマゾンが示した今後の成長戦略
今回の好決算の大きな背景に、AIへの積極的な投資と基盤整備があります。AIの拡張にともなうデータ需要の爆発的増加、それに対応するAWSの戦略的設備投資——これらが今後も同社の強みになると市場では見られています。
- AI開発のための基盤強化:2026年以降も設備投資が拡大見通し。
- 小売事業との統合効果:AIの進化がEコマース部門にも利益貢献。
- クラウドとAIの融合による差別化:AWSは競合他社をしのぐ規模と拡張性を発揮。
このような状況下、アマゾン株価の上昇基調には歯止めがかかったとの見方が強まり、投資家にとって引き続き魅力的な銘柄であることが示されました。
まとめ:アマゾン株価、AIとクラウドの力で最高値圏へ
今回の決算発表によって、アマゾンはAIとクラウド事業の成長力を改めて市場に示しました。株価は1日で12%超という歴史的な上昇を記録し、市場予想を大きく上回った内容は投資家心理に強い安心感もたらしました。AWSの強さ、AIへの先行投資、小売事業との連携など、総合力で今後も成長が期待されるアマゾン。その動向は、引き続き注目されることになりそうです。



