日立製作所、株価高騰と業績好調の背景――2026年3月期決算で「最高益」へ
はじめに
日立製作所(6501)が今期連結決算の発表を受け、株価が大きく上昇しています。発表された業績は、高利益・高成長を記録し、同社の経営基盤と事業戦略の強さが改めて市場で評価されました。本記事では、2026年3月期第2四半期決算の詳細、株価動向、背景となる事業状況などを優しく丁寧にご紹介します。
決算発表:過去最高益予想をさらに更新
- 日立製作所は、2026年3月期の最終利益予想(通期)を従来比6%上方修正し過去最高益となる見通しを発表しました。
- 修正後の通期最終利益は7,500億円(前期 6,157億円)となり、増益率は従来見通しの15.3%増から21.8%増へと拡大しました。
- 第2四半期累計(4~9月)の連結最終利益は前年同期比61.8%増の4,728億円へと拡大し、7~9月期(2Q)だけでも前年同期比2.4倍の2,806億円となりました。
株価の動き:業績好調と上方修正が追い風
- 決算発表直後、日立製作所の株価は急伸し、新高値を更新しています。
- 市場は、送配電関連やデータセンター需要を背景とした業績の上方修正に好感し、買いが集まりました。
- 特に電力システム(エナジー)部門や空調関連の合弁会社資本再編などが利益増加に寄与したことも株価上昇に繋がっています。
事業セグメントの強みと業績寄与
日立は多角的な事業展開と、社会インフラ分野への強い取り組みが特徴です。今回の利益拡大の要因は以下の点に集約されています。
- エナジー部門(送配電、スマートグリッド)が引き続き好調で、社会的な脱炭素化・国土強靭化政策などの流れに乗った案件増が業績を牽引しています。
- デジタル系ビジネス(IT、データセンター需要)の拡大も収益性の改善・利益増加につながっています。
- 空調事業における合弁会社資本再編による一時的な特殊要因で、当期利益を1,637億円押し上げました。
直近決算数値の詳細
ここで、実際の最新業績データを確認しながらポイントを整理します。
- 2026年3月期第2四半期:売上収益2兆5,290億円(前年同期比8%増)、親会社株主に帰属する四半期利益2,806億円(前年同期比2.4倍)。
- 営業利益は前年同期比43.4%増、売上営業利益率も11.7%と大幅改善。
- コアフリーキャッシュフローは一時的要因を含み、2,001億円まで増加。
業績推移と財務体質の安定性
日立製作所は、過去数年にわたり安定した収益成長と財務体質の強化を続けてきました。近年の決算推移と財務指標は以下の通りです。
- 2025年3月期 売上高9兆7,834億円、純利益6,157億円
 自己資本比率44.0%、ROE10.66%。
- 2024年3月期 売上高9兆7,287億円、純利益5,899億円
 自己資本比率46.7%。
キャッシュフローも健全な推移を続け、直近では営業キャッシュフロー1兆1,722億円、フリーキャッシュフロー5,986億円となりました。
日立が目指す今後の経営戦略
好調な業績を背景に、日立は中長期経営計画「Inspire 2027」で社会インフラのデジタル化やグローバル展開、カーボンニュートラルへの貢献などを重要テーマに掲げています。特に、DX(デジタルトランスフォーメーション)関連ビジネスや海外事業への投資拡大が、今後のさらなる成長エンジンとして期待されています。
投資家視点からの注目ポイント
- 業績上方修正や高利益率の継続が、投資家にとっての安心材料となっています。
- 自己資本比率やROEなど財務指標も十分に高い水準を維持し、持続的成長への力強い裏付けとなっています。
- 送配電システムやデータセンター需要拡大など社会的なトレンドと強く呼応する事業構造も魅力です。
まとめ
日立製作所は、多様な事業ポートフォリオと強固な財務基盤を背景に、2026年3月期決算で過去最高益を達成する見通しです。エナジーやITをはじめとした成長分野での競争力強化、社会変化に合わせた事業運営の柔軟性が今後も高い収益性と安定成長を約束しています。株価もこの明るい展望を映す高値推移を続けており、企業価値と市場評価の両面で強さが際立っています。

 
            

 
             
            