ベネッセ進研模試と高校生の読書状況：受験と読書の現在地
はじめに
2025年秋、高校生を中心に進研模試の最新結果と読書状況が話題になっています。進研模試「合格可能性偏差値」9月版の速報や、千葉県などで報道された高校生の読書率、さらには小中高生に広がる「読書ゼロ」の実態――教育現場と子どもたちが今、直面している現状について、最新情報をやさしく解説します。
進研模試「合格可能性偏差値」9月版——2026年度入試の動向
大学進学を目指す高校生にとって、進研模試の合格可能性偏差値は志望校の検討や受験戦略に欠かせない指標です。
2026年度入試に向けて、ベネッセが最新のデータを発表しました。
- 合格可能性判定はA（80％以上）からE（20％未満）の5段階。
- 国公立大学・私立大学・専門学校など、地域ごとに一覧が作成され、可視化されています。
- 東京大学（前期）の合格可能性A（80％以上）偏差値は文科一類78、理科三類80など。京都大学や早稲田・慶應義塾大学も詳細に偏差値が示されています。
- 進研模試は毎回、学力の現状把握、志望校との距離を測るための大切なツールとなっています。
合格可能性判定は、単なる成績の良し悪しだけではなく、各大学の入試科目や配点を実状に合わせて多角的に分析されている点が特徴です。受験生だけでなく、教育に関心のある保護者や教員にとっても志望校比較のわかりやすい材料になります。
高校生の読書状況——本を読まない生徒は依然多い
一方、進学準備と並行して注目されているのが高校生を中心とした「読書率」の低下です。千葉日報オンラインの報道によると、多くの高校生が「普段、本を読まない」と回答しています。その割合は、4割にものぼり、読書習慣が身につかないまま進学するケースも少なくありません。
- 千葉県内の約4割の高校生が「本を読まない」と回答。
- 一部の学校では、図書館や書籍の充実を求める声が高まっています。
- しかし、予算面での課題もあり、すべての学校で十分な書籍環境が整っているわけではありません。
学校現場からは、「本を読まない」生徒の読書率改善に向けて、図書館の蔵書数・書籍予算の拡充を求める声が寄せられています。指導者は朝の読書タイムや読書週間を設けるなど、様々な工夫を凝らしていますが、家庭の経済格差や自治体ごとの財政的余裕も関係し、均等な環境整備は容易ではありません。
小中高生も「読書ゼロ」——毎小ニュースが報じる現状
毎日小学生新聞や関連メディアでは、「読書ゼロ」の小中高生が半数にのぼるという報道がなされています。これは、学力や思考力、コミュニケーション能力と大きく関わる懸念材料です。
- 読書習慣がない児童・生徒は全国的に増加傾向。
- 調査によれば、小中高生の約半分が「読書ゼロ」（月に一冊も読まない）という結果。
- 読書好きな子、まったく読まない子、家庭や学校の環境によって大きな差が出ています。
この「読書ゼロ」層は、読解力や論理的思考など、高校・大学入試で求められる力の基礎が育ちにくいという指摘もあります。受験勉強中心の生活によって読書に割く時間が減り、情報の受け取りはスマートフォンやSNS、動画コンテンツが主流になりつつあります。
「学力」だけでなく「読む力」も重視される時代へ
ベネッセの進研模試は、志望校に必要な「学力」を可視化しますが、読書習慣の有無は将来の進路にも密接に関わってきます。本を読むことは、お子さんの語彙力、読解力、思考力、そして想像力や感受性など幅広い能力の向上に寄与します。
- 進研模試の結果は「学力の現状」を知ることができる。
- 一方で、日々の読書習慣は「考える力」「文章を読む力」「学問を深める土台」を育む。
- 現状は受験準備のための勉強ばかりになりがちだが、「読む力」をバランスよく育てる工夫も必要。
進路選びのタイミングや進研模試の成績に一喜一憂するだけでなく、長い人生を通した「学び」の力を養うためには、読書習慣を兼ね備えることが大切です。学校や家庭、地域社会が一体となって、子どもたちや生徒が本に親しむ環境を整えることが、これからの教育には求められています。
学校と家庭――予算や環境整備の課題
千葉県の事例にも見られるように、学校図書館や書籍環境の充実のためには予算面の課題が立ちはだかっています。自治体ごとに財政状況が異なり、学校間でも格差が生まれています。
- 予算の都合で新刊や児童書の購入が十分にできない学校も多い。
- 関係者は、できる範囲で蔵書を増やしたり、読み聞かせイベントなどを企画しています。
- 一方、家庭でも読書環境の差が拡大。保護者の本への関心や経済的余裕が、子どもの読書習慣に影響。
今後は、自治体の支援、家庭での意識向上、書店や図書館と学校の連携といった包括的な取り組みが必要です。生徒一人ひとりが「本と出合う」きっかけを得られるよう、社会全体で後押ししていく工夫が求められます。
受験勉強と並行して「読む力」を育てるには
高校生は受験勉強が中心となりがちですが、勉強と読書を両立する工夫も可能です。先生や保護者の声を参考に、日常生活に読書を組み込むヒントを紹介します。
- まずは「興味のある本」「短い物語」からでも始める。
- 1日10分だけ「読書タイム」を作る。
- 家族で感想をシェアし合うことで読書の楽しさを共有する。
- できれば「図書館や書店」に足を運んでみる。
- 動画やコミックだけでなく、活字の本にも親しむことを意識する。
小さなきっかけからでも「読む力」は育ちます。受験勉強で忙しくても、短い時間を活用して本を読む習慣を取り入れることで、より深い思考力や豊かな表現力につながります。
まとめ：進研模試・読書率の両面から見える教育の課題と可能性
ベネッセ進研模試の合格可能性判定偏差値速報は、受験生にとって重要な情報です。合格の可能性を複数の角度から分析し、志望校選びに役立ちます。
一方で、高校生や小中高生の読書率の低下は、長期的な「学びの力」や社会で求められる思考力・表現力の基礎の伸長に影響を与える懸念があります。受験勉強中心になりがちな日常の中で、読書の価値と楽しさを見直し、教育現場・家庭・社会全体で子どもたちを本に親しませる努力が今こそ重要です。
受験勉強だけにとどまらず、一生涯役立つ「読む力」「考える力」を育てるために、学校・家庭・社会が連携し、子どもたち一人ひとりが豊かな知の世界に触れられる環境整備と機会創出が、これからの教育の最大の課題であり可能性です。
