紅葉の名所・日光「いろは坂」の大渋滞対策──県営明智平駐車場の閉鎖実施、その背景と現場の動き

日光・いろは坂の渋滞問題とは?

いろは坂は、栃木県日光市に位置し、秋には紅葉の絶景を求めて全国から観光客が訪れる名所です。標高差約400メートルを一気に登る坂道には、第一・第二いろは坂があり、その途中にある明智平は展望台やロープウェイのアクセス拠点として人気があります。しかし、紅葉シーズンになると多くの車と観光バスが押し寄せ、駐車場待ちの長い列が坂道をふさぎ、深刻な交通渋滞が恒例の光景となっています。

2025年秋──明智平県営駐車場閉鎖の社会実験開始

渋滞解消のため、栃木県は2025年11月1日~3日の3連休に、明智平県営駐車場を閉鎖する社会実験を初めて実施します。閉鎖は前日10月31日午後5時から始まり、11月4日午前9時に解除予定です。この実験の目的は、駐車場待ちが渋滞の原因であるという現状を改善し、交通の流れをスムーズにすることです。

具体的な対策内容と現場の動き

  • 閉鎖期間中は明智平県営駐車場と併設トイレが利用不可
  • 駐車場入口に誘導員や案内看板を設置し、流入車両への対応を強化。
  • 第二いろは坂では、右車線をロープウェイ利用車両、左車線を通過車両へ分けて渋滞軽減に努める。
  • ドライバーへは「事前休憩、トイレ利用の推奨」「臨時駐車場・周辺施設の案内」「公式サイトやSNSによる最新情報発信」等を推奨。
  • 期間中は大谷川河川敷、日光土木事務所などに臨時駐車場が開設され、滞在地の分散が図られる。

なぜ明智平で渋滞が起きるのか?

明智平は第二いろは坂の途中にあり、多くの観光客が展望台やロープウェイの利用、絶景撮影ために車を停めようとするため、駐車場待ちの車が車線にあふれ、後続車両にまで影響が広がります。紅葉シーズンのピークとなる11月初旬は、天候にかかわらず午前から渋滞が発生しやすく、数キロ以上の交通停止も珍しくありません。

社会実験の目的と今後の期待

今回の社会実験は渋滞緩和の実効性を検証するためのものです。従来型と異なり、特定の拠点を閉鎖することで交通流がどう変わるか、観光客・地元住民の満足度がどう変化するかなどが検証されます。閉鎖期間中の交通量、渋滞距離、駐車場利用実態、SNSや公式サイトから集まる利用者意見が、次年度以降の本格的な渋滞対策へとつながる見通しです。

さらに「オフピーク観光」──混雑時間を避けた観光の推奨や、公共交通機関の利用促進も同時進行しています。日光市は地域のゼロカーボン目標と連動し、CO2排出削減も視野に入れています。

第二いろは坂の誕生と観光ルートの変化

第二いろは坂は、旧来の坂道の渋滞を緩和するために新設され、昭和40年代以降、日光観光の動線大きく変えました。かつて日光駅から中禅寺湖畔を結んだ東武鉄道の路線網は、車・バス中心の時代になったことで、その役目が変化しています。鉄道利用客は減り直接観光地へアクセスする車・バスに移行。現在も日光駅からバスやタクシーが頻繁に運行されており、地域の公共交通への期待も高まっています。

また、観光の流れが「駅→坂道→湖畔」と直線的になることで、二社一寺エリアと中禅寺湖畔を繋ぐルートは、ドライブ観光が主流です。このため渋滞対策はますます重要性を増しています。

観光客・関係者へお願いと配慮

  • 車で訪れる方は事前案内を必ず確認し、必要なら臨時駐車場の利用やタイムテーブルの見直しを
  • 明智平の展望台・ロープウェイ利用予定の方も、バスやタクシーなど公共交通の活用を検討
  • トイレ休憩は必ず坂道に入る前に済ませること
  • 渋滞発生時は係員の指示や案内看板に従い、余裕ある運転を心がけましょう

今後の展望

今回の社会実験の結果次第で、閉鎖措置の継続や他の観光拠点への波及、新たな交通インフラ整備、さらなるオフピーク観光の推進などが期待されています。日光市や栃木県は、地域住民・観光事業者・来訪者の意見を集約し、より快適で持続可能な観光地づくりを推進中です。

紅葉シーズンを満喫するには、少しの配慮と情報収集が鍵。訪れる前に最新の交通状況や駐車場情報を確認し、豊かな秋の彩りと日光の自然を安全・快適に楽しみましょう。

関連する取り組みと補足情報

  • 日光市の「チャレンジいろは坂渋滞解消プロジェクト」では、東武グループや地元事業者と連携し、公共交通機関利用の促進、オフピーク観光推奨、リアルタイムの情報発信なども同時進行中。
  • 日光地域のゼロカーボンシティ実現条例と連動し、脱炭素、環境負荷軽減も意識した対策となっている。

参考元