日本のインターネット黎明期を支えたgooポータルが28年の歴史に幕
NTTドコモは2025年10月24日、1997年から提供してきたポータルサイト「gooポータル」のサービスを2025年11月25日13時をもって終了すると発表しました。日本のインターネット黎明期を支えてきた老舗ポータルサイトが、28年という長い歴史に幕を下ろすこととなります。
この発表により、Yahoo! JAPANやMSN、Exciteなどと並んで「インターネットの入口」として多くのユーザーに親しまれてきたgooポータルが、その役割を終えることになりました。NTTドコモは公式サイト上で「突然のお知らせとなりますことを深くお詫びいたします」とコメントし、長年の利用者への感謝の気持ちを伝えています。
gooポータルの歴史と発展
gooは1997年3月に検索エンジンとしてスタートしました。当初はNECの研究所で開発され、NTTレゾナントが運営を担当していました。誕生当時のgooは、350万件もの日本語ホームページのURLをデータベースとして持つ、日本語検索エンジンサービスとして最大級の規模を誇っていました。
検索エンジンとしての技術面では、早期に日本語形態素解析を導入し、国内向けの検索精度を高めた点で注目を集めました。その後、単なる検索エンジンの枠を超え、ニュース、辞書、天気、占い、メールなど多彩な機能を備えたポータルサイトへと成長していきました。
2000年代には、Yahoo! JAPAN、MSN、Exciteなどと並ぶ主要ポータルサイトとして利用され、「ネットの玄関口」としての役割を果たしていました。gooIDを軸にした認証や決済、メールなどを連携させた「統合ポータル戦略」を展開し、日本のインターネットサービスの発展に大きく貢献してきました。
運営体制の変遷
gooの運営は、当初のNTTレゾナントから、2023年にNTTドコモへの吸収合併により、ドコモが継続してサービスを提供する体制となっていました。この組織再編は、NTTグループ全体の事業統合の一環として行われたものでした。
ポータルサイト衰退の背景
gooポータルのサービス終了は、インターネット利用環境の大きな変化を反映したものといえます。近年、スマートフォンの普及により、ポータルサイトを経由して情報へアクセスするユーザーは大幅に減少しました。ニュースや天気、検索といった用途は、アプリやSNS上で完結することが多くなり、gooポータルのような「情報のハブ」としての機能は縮小傾向にありました。
2000年代に入ってGoogleが日本語検索を始めると、徐々に検索サービスの主役が移行していきました。かつてポータルサイトのトップページに掲出されていたバナー広告は、検索広告やSNS広告に取って代わられ、広告収益モデルの構造も大きく変化しました。
他のポータルサイトの現状
老舗のポータルサイトは現在も複数現存していますが、Yahoo!以外は大きく規模を縮小している状況です。かつてYahoo!対抗として一時は勢力を誇ったライブドアも、現在ではLINEヤフーを経てミンカブ・ジ・インフォノイドに売却され、機能もニュースとブログにほぼ集約されています。
サービス終了後の対応について
NTTドコモは、gooポータル終了後の代替サービスとして、「dメニュー」の利用を推奨しています。dメニューは、ニュース、占い、アプリ、音楽、動画、書籍など「スマホ・ライフ」を楽しむための情報を無料で提供するサービスです。
継続利用可能なサービス
gooポータルは終了となりますが、「gooメール」と「gooID(goo決済含む)」については、引き続き利用が可能です。これまでgooポータル経由でこれらのサービスにアクセスしていたユーザーは、終了後は直接各サービスにアクセスする必要があります。
gooメールについては、専用のURLから直接アクセスすることができ、gooIDのお手続きについても専用ページが用意されています。ただし、gooメールについては2026年2月25日に終了予定となっており、gooポータルよりも後のタイミングでのサービス終了となります。
日本のインターネット黎明期を支えた功績
gooは、まだブロードバンドが一般的でなかった時代から、国内のネットサービスを牽引してきました。日本のインターネット黎明期において、検索エンジンやメール、ブログ、辞書、ニュースなどさまざまなコンテンツを提供し、多くのユーザーがインターネットに触れる最初の入口となりました。
当時はネットユーザーの利便性を上げるために、検索機能やニュース、天気予報などをまとめて提供するポータル(玄関口)が人気を集めていました。gooはその草分け的な存在として、日本のインターネット文化の発展に大きく貢献してきたといえます。
NTTグループの事業再編の流れ
今回のgooポータル終了は、NTTグループ全体の事業再編の一環として位置づけられます。事業再編によってNTT本体と重複するようになったサービスは、基本的に終了となる傾向があり、NTTドコモグループとしては、スマートフォンユーザーを中心とした「dメニュー」や「dポイント」を軸にしたエコシステムへ移行を進めています。
今年に入ってからは、goo傘下のサービスが続々と終了しており、今後の存続が危ぶまれていた状況でした。こうした利用動向と経営判断の結果として、サービス終了という決断に至ったとみられます。
時代の変化とともに
NTTドコモはサービス終了の具体的な理由を明らかにしていませんが、スマートフォン時代における情報アクセスの変化が大きな要因であることは明らかです。かつて多くのユーザーがパソコンのブラウザを開いて最初に訪れるページだったポータルサイトは、今やアプリやSNSに取って代わられました。
28年という長い歴史の中で、gooは日本のインターネット環境の変化とともに歩んできました。その役割は時代とともに変化し、今回のサービス終了は、一つの時代の終わりを象徴する出来事といえるでしょう。
NTTドコモは、「1997年より長きに渡りご愛顧いただきましたこと、心より御礼申し上げます」とコメントし、長年にわたってgooポータルを支えてきたユーザーへの感謝の気持ちを伝えています。日本のインターネット黎明期を支えた老舗ポータルサイトの終了は、多くのユーザーにとって一つの時代の区切りとなることでしょう。




