2025年東南アジア競技大会、女子サッカーの組み合わせが決定

2025年10月19日、東南アジア競技大会(SEA Games 2025)の女子サッカー競技の組み合わせ抽選が行われ、各国の対戦カードが決定しました。この大会は2025年8月にタイで開催される予定で、東南アジア地域の女子サッカーにおける重要な国際大会として注目を集めています。

インドネシア女子代表の組み合わせ

抽選の結果、インドネシア女子代表チームは開催国タイと同じグループに入ることが決定しました。このグループには、東南アジア女子サッカーの強豪国が集まることとなり、非常に厳しい戦いが予想されています。インドネシアにとって、ホームアドバンテージを持つタイとの対戦は大きな試練となるでしょう。

ベトナム女子代表の状況

ベトナム女子サッカー代表は、東南アジア地域において長年にわたり強豪として君臨してきました。東南アジア競技大会では、タイ代表と並ぶ最多の5回の優勝を誇り、この地域のサッカー界をリードする存在です。さらに注目すべきは、ベトナム女子代表が2023年のFIFA女子ワールドカップに初出場を果たしたことです。これはFIFA主催の男女別・年代別を問わない全ワールドカップにおいて、ベトナムとして初めての出場となる歴史的な快挙でした。

2025年東南アジア女子サッカー選手権での対戦

SEA Games 2025に先立ち、2025年8月6日から19日まで東南アジア女子サッカー選手権が開催される予定です。この大会でインドネシア女子チームは、ベトナム、タイ、カンボジアと同じグループAに入っています。このグループは「非常に難しく、厳しい戦いが予想される」と関係者は語っており、東南アジア地域の女子サッカーのレベルの高さを物語っています。

特に注目されるのが、ベトナム女子チームとインドネシア女子チームの直接対決です。この試合は8月9日にラック・トレイ・スタジアムで行われることが決定しています。両チームの実力は拮抗しており、地域の覇権をかけた熱戦が期待されています。

インドネシア女子代表の強化戦略

インドネシアサッカー協会(PSSI)は、女子代表チームの強化に向けて大胆な戦略を採用しています。男子代表チームと同様のアプローチとして、ヨーロッパ、特にインドネシア系住民が多く住むオランダで質の高い選手を積極的に探し、代表チームに招集しています。

2026年女子アジアカップ予選に向けて、PSSIはインドネシアに帰化した13名を含む38名の選手リストを発表しました。このうち10名はヨーロッパでプレーし、3名はアメリカでプレーしている選手たちです。注目選手には以下のような名前が挙げられています。

  • イリス・デ・ルー(オランダ、スパルタ・ロッテルダム)
  • エミリー・ナオン
  • フェリシア・ビクトリア・デ・ゼーウ(オランダ、ADOハーグ)
  • イザベル・コップ(オランダ、フォルトゥナ・シッタード)
  • ポーリーヌ・ファン・デ・ポル
  • イザベル・ノテット(オランダ、テルスター)
  • イサ・フーシェ・ワープス(オランダ、RKVVローゼンダール)
  • エステラ・ラクエル・ルパッティ(ベルギー、SVズルテ・ワレヘム)
  • シドニー・サリ・ホッパー(アメリカ、タルサFC)

これらの帰化選手の存在により、インドネシア女子代表の戦力は大幅に向上しており、ベトナムやタイといった伝統的な強豪国に対抗できる体制が整いつつあります。

若手指導者の登用

インドネシア女子サッカー界では、指導者の面でも注目すべき動きがありました。2024年7月、滋賀県の大学に通う21歳の日本人大学生、谷口拓海さんがインドネシア女子サッカー代表コーチに就任するという異例のニュースが発表されました。

びわこ成蹊スポーツ大学に在籍していた谷口さんは、学生コーチとしての経験やオーストラリアでのU-18カテゴリーでの指導経験を持っていました。インドネシア側が彼を選んだ理由は「情熱を持った若い指導者を探していた」というものでした。このような若い人材の登用は、インドネシアサッカー界が新しい風を取り入れようとする姿勢の表れと言えるでしょう。

インドネシア女子代表の目標

インドネシア女子代表チームは、複数の大会で明確な目標を掲げています。まず、2026年女子アジアカップ予選では、パキスタン、キルギスタン、チャイニーズ・タイペイと同じグループDに所属しており、決勝トーナメントへの出場権獲得を目指しています。インドネシアはこの予選をホームで戦うアドバンテージを持っています。

さらに、2025年の東南アジア女子サッカー選手権での優勝、または第33回東南アジア競技大会での金メダル獲得という野心的な目標も掲げています。これらの目標達成には、帰化選手を含めた強化された代表チームの総合力が試されることになります。

ベトナムの名手フイン・ヌー

ベトナム女子代表のキープレーヤーとして知られるフイン・ヌーは、インドネシアとの対戦においても中心的な役割を果たすことが期待されています。試合の中では、彼女のヘディングシュートがクロスバーを叩くなど、ゴールに迫る場面も見られました。

ベトナム代表は、ホームフィールドアドバンテージと優れた強さを活かして、2025年東南アジア女子サッカー選手権でインドネシアに勝利を収めています。マイ・ドゥック・チュン監督率いるベトナムチームは、帰化選手により強化されたインドネシアチームに対しても、勝ち進むための努力を重ねています。

男子サッカーの状況

女子サッカーだけでなく、男子サッカーでも東南アジア競技大会の組み合わせが決定しています。マレーシア男子代表は、ベトナムとラオスと同じグループに入ることが決まりました。東南アジア地域では男女ともに各国の競争が激しく、地域全体のサッカーレベルの向上が見られます。

また、ジャンニ・インファンティーノFIFA会長がマレーシアを訪問する予定というニュースも報じられており、東南アジア地域のサッカー発展に対する国際サッカー連盟の関心の高さが伺えます。

U-16カテゴリーの動向

インドネシアサッカー界では、育成年代の強化にも力を入れています。U-16インドネシア女子代表のティモ・シューネマン監督は、2025年8月20日に開催予定のAFF女子U-16カップ2025に向けて、チームの目標を明確にしています。若い世代からの強化により、インドネシア女子サッカーの将来は明るいものとなることが期待されています。

東南アジア女子サッカーの未来

2025年の東南アジアにおける女子サッカーは、複数の重要な大会が開催される年となります。8月の東南アジア女子サッカー選手権、そしてSEA Games 2025と、トップレベルの試合が続くことで、各国の実力が試されることになるでしょう。

インドネシアは帰化選手を積極的に活用する戦略により、短期間での戦力向上を図っています。一方、ベトナムは長年培ってきた伝統と実績を武器に、地域の覇権を守ろうとしています。タイも開催国としてのアドバンテージを活かして、好成績を狙うことでしょう。

これらの大会を通じて、東南アジア地域の女子サッカーがさらなる発展を遂げ、アジア全体でも存在感を増していくことが期待されています。各国の代表チームの戦いぶりに、今後も注目が集まります。

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