舘ひろし主演、藤井道人監督の新作『港のひかり』が公開へ―その魅力と背景

2025年11月14日、話題の映画『港のひかり』が全国公開されます。本作は、名優舘ひろしが約7年ぶりの単独主演を飾り、実力派監督藤井道人、伝説の撮影監督木村大作とともに、忘れがたい人間ドラマを描いた意欲作です。
特に斎藤工の出演にも注目が集まっており、彼が物語の緊張感を一段と高める存在として大きな話題を呼んでいます。

物語の舞台──北陸の港町と能登の記憶

この映画は、北陸地方の港町を舞台にしています。撮影は2023年に能登半島と富山県で敢行されており、能登半島地震が発生する前の美しい風景がスクリーンに焼き付けられています。焼失してしまった輪島の朝市通り、大沢漁港など、今では失われた街並みや静けさをフィルムに残すことに成功したことも、映画最大の価値のひとつです。

出演者たちは試写会で能登への特別な思いを語り、地域へのリスペクトと映画を通じた復興の想いが込められています。

あらすじ──“誰かのために生きる”温かい心の物語

  • 三浦(舘ひろし)は、過去を捨てて漁師として細々と暮らす元ヤクザ。ある日、両親を交通事故で失い、視力も失った少年・幸太(尾上眞秀)と出会う。幸太は叔母やその交際相手からも虐待を受けており、まさに居場所のない孤独な存在だった。
  • 孤独と孤独が重なりあい、二人は年齢も立場も超えて親子とも兄弟とも呼べる“特別な絆”を育んでいく。しかし、幸太の視力を取り戻すため三浦は危険な選択をし、手術費用を残して自ら警察に自首。幸太には一通の手紙を残して姿を消す。
  • 12年後、幸太は警察官となり、三浦の面影を追い求め、彼の人生に秘められた“ある秘密”を知ることとなります。その秘密こそが、血縁でも利害でもなく、“誰かのために愚直に生きる”という本作の核心です。

キャスト陣──圧倒的存在感と名優たちの共演

  • 舘ひろし:三浦役で、渋くも温かな“強い男”を体現。脚本打ち合わせにも3年をかけた情熱が投影されています。
  • 尾上眞秀:映画初出演。理不尽な境遇と困難に負けない少年・幸太を熱演。
  • 眞栄田郷敦:青年期の幸太役。成長し警察官となった青年の葛藤と再生を繊細に演じています。
  • 椎名桔平・斎藤工:ヤクザ役として舘ひろしの前に立ちはだかり、物語に緊迫感と重厚な深みを与えています。その存在感は圧倒的で、観る者を釘付けにします。
  • 黒島結菜・ピエール瀧・市村正親・宇崎竜童・笹野高史など、日本映画界を代表する豪華キャストが脇を固めています。

映像美──木村大作による全編フィルム撮影

数々の名作を手がけてきた伝説の撮影監督木村大作が、本作では全編を35ミリフィルムで撮影しました。デジタルでは再現できない港町の光や陰、能登の海の表情、俳優たちの繊細な表情を、フィルム特有の柔らかな質感で紡ぎ出しています。今では貴重なフィルム撮影だからこその空気感が、物語の深さとリアリティを際立たせています。

藤井道人監督と舘ひろしの再タッグ──制作秘話と深い信頼

本作は藤井道人監督舘ひろしにとって2度目の本格的なタッグとなります。『ヤクザと家族 TheFamily』の撮影終了後から構想を温め、企画・脚本とも舘ひろしが積極的に参画。約3年にも及ぶ脚本打ち合わせを経て、作品の芯となる“人間ドラマ”と“強さの本質”を追求しました。

藤井監督は「誰かのために生きること」「血のつながりを越えた温かな絆」を映画のテーマに掲げ、人生の苦味と同時に希望を描き出します。舘ひろし自身も「石原裕次郎、渡哲也など先人たちの生き様をモデルに、芯の強い人物像を追求した」と語っています。

斎藤工の存在感──静かなる狂気と大人の深み

本作で斎藤工は、ヤクザ役として圧倒的な存在感を発揮します。舘ひろしと椎名桔平が対峙する場面では、斎藤工の抑制された演技が物語のダークサイドに重みと説得力を与え、物語の緊張感に大きく寄与しています。彼が見せる“大人の男の哀愁”や沈黙の狂気は、この作品を一段と深いものにしています。

能登への思い──スクリーンに宿る希望の光

震災前の能登がスクリーンによみがえることは、被災地や能登の方々にとって大きな慰めとなっています。出演者も「映像を通して失われた景色を心に刻みたい」「映画が復興への希望になれば」と語り、能登の美しさと人々の強さ――“港のひかり”が喚起する、再生へのメッセージを観客に贈っています。

見どころまとめ

  • 伝説的チームによるフィルム撮影、能登の美景
  • 舘ひろしの新境地、斎藤工&椎名桔平の狂気と深み
  • 12年に及ぶ奇跡の絆に心揺さぶられる“壮大な人間ドラマ”
  • 地震前の能登と、そこに宿る人々のたくましさ・優しさ
  • さまざまな世代・境遇のキャラクターが織りなす“生きること”への温かいエール

作品情報

  • タイトル:港のひかり
  • 公開日:2025年11月14日(金)
  • 出演:舘ひろし、尾上眞秀、眞栄田郷敦、黒島結菜、斎藤工、椎名桔平、ピエール瀧、他
  • 監督・脚本:藤井道人
  • 撮影:木村大作
  • 配給:東映/スターサンズ

さいごに──【斎藤工】の魅力と映画がもつ希望の力

『港のひかり』は、社会の片隅で生きる者同士が、困難と孤独を乗り越えて真の友情を育み、再び歩き出すまでの優しい奇跡を描きます。
舘ひろしが実直に演じた元ヤクザ、そして斎藤工が見せる静かなる狂気と孤独、能登の美景、藤井道人監督の力強いメッセージ。今、この時代に必要な“希望の物語”が、ここに誕生したと言えるでしょう。
観る者の心を優しく、そして深く揺さぶるエンタメ大作として、ぜひ多くの人に“港のひかり”が届きますように――。

参考元