キヤノン、2025年12月期業績予想を下方修正
キヤノン株式会社(以下、キヤノン)は、2025年10月27日に2025年12月期第3四半期決算を発表し、今期の連結税引き前利益見通しを1%下方修正しました。また、通期連結純利益予想も下方修正し、投資家をはじめ多くのステークホルダーが注目しています。この記事では、決算内容の詳細や修正の理由、今後の展望について、わかりやすく解説します。
決算速報:第3四半期累計の業績
- 2025年1月~9月(第3四半期累計)の連結税引き前利益は3,141億円となり、前年同期比で1.1%増加しました。ただし、前回予想からは下方修正となります。
- 7-9月期(第3四半期単体)の連結税引き前利益は918億円で、前年同期比2.8%増と増益でした。
- 一方で、売上営業利益率は8.0%と、前年同期の9.1%から低下しました。
キヤノンは強固な収益基盤を維持しつつも、コスト増や一部市場環境の悪化などが利益率に影響を及ぼしたことがうかがえます。
通期予想の下方修正とその内容
- 通期(2025年12月期)の連結税引き前利益見通しを4720億円から4660億円へ、1.3%下方修正しました。
- 連結純利益の予想も3,300億円から3,255億円へ引き下げられました。
- この下方修正を受けて、増益率の見通しも56.7%増から54.7%増へ縮小しました。
- 下半期(7-12月期)の連結税引き前利益も、従来予想の2,496億円から2,436億円へと約2.4%減額されました。
キヤノンの決算修正は、外部環境や需要の変動に応じて、柔軟に見通しを調整していることを示しています。
修正要因の詳細と背景
- グローバル経済の不透明感や為替変動、原材料価格の高騰、物流コストの増加など、外部要因が利益予想に影響を及ぼしたと考えられます。
- 一部事業で競争が激化し、販売促進や新製品投入にかかるコストも増大しています。
- 2025年後半に向けては、需要の回復や生産効率の向上も見込まれていますが、現時点の確度の高い見通しに基づいて業績修正が行われました。
実際の四半期決算資料からは、売上高の増加が確認できる一方で、利益率の悪化やコスト増の影響が顕在化しています。
第3四半期の主な数字と注目ポイント
- 第3四半期累計売上高は4兆3182億円(前年同期比3.9%増)
- 連結営業利益は3,820億円と、前年同期の3,629億円から微増しています。
- 四半期純利益も273億円に増加しました(前年同期:270億円)。
- 営業費用・販売費などのコスト増が、営業利益率に一定の影響を与えました。
キヤノンは伝統的に保守的な数字を出す傾向がありますが、今回の決算でも慎重な見通しが印象的です。
株主還元策~自社株買いの実施
- キヤノンは、100億円を上限とする自社株買いを2025年10月27日~2026年1月30日までの期間に実施すると発表しました。
- これは、株主還元強化と資本効率の向上を目指す施策の一環です。
今後の展望と課題
- プリンターや複合機、カメラ、医療機器など幅広い製品ポートフォリオを有するキヤノンですが、各分野での需要動向や競合他社との戦いが続く見通しです。
- 技術革新への投資や高付加価値製品の開発など、中長期的な戦略を堅実に進める必要があります。
- 為替や世界経済の悪化など不透明要因も多く、積極的な事業運営とリスク管理が求められています。
業績下方修正はマイナス材料と受け取られがちですが、キヤノンは柔軟に外部環境へ対応する体制を示しており、今後の巻き返しにも期待が寄せられています。
投資家・ユーザーへのメッセージ
- キヤノンは安定した財務基盤と確かな技術力を持ち、業界のトップランナーとしての地位を維持しています。
- 中期計画や株主還元策など、将来に向けた施策を着実に進行中です。
- 今後も市場動向や経営方針に注目し、引き続き最新情報のチェックが重要です。
今回の決算発表は市場にさまざまな影響を与えるものとなりましたが、キヤノンの今後の成長戦略と安定経営から目が離せません。投資家だけでなく、利用者や関係者にとっても注視すべきトピックであり、今後の展開が期待されます。



