ヌートバー、両かかと手術で来春WBC絶望的に —ファン待望の侍ジャパン再登場ならず?—
両かかとの手術でリハビリ専念 来季開幕遅れも懸念される理由
セントルイス・カージナルスの外野手ラーズ・ヌートバーが、2025年10月7日(日本時間8日)に両かかとの手術を受けたことが明らかになりました。この手術は「ハグランド変形」と呼ばれる、かかと部分の骨に突起ができアキレス腱周辺や皮膚、滑液包に痛みや炎症をもたらす症状を取り除くためのものです。患部には激しい腫れや痛みが伴うことも多く、本格的なリハビリが必要となります。
カージナルスの編成本部長、ハイム・ブルーム氏は現地ラジオ局で「開幕戦の出場は消滅したわけではないが、保証できない」とコメント。無理なリハビリを強いず、状況次第では短期間の離脱で済む可能性は否定しませんでした。そのため来季MLBの開幕には間に合わない、あるいは序盤戦の一部を欠場する見通しが指摘されています。
WBC出場、極めて厳しい現状――球団も慎重姿勢
特に大きな注目を集めているのが、2026年3月に予定されているワールド・ベースボール・クラシック(WBC)へのヌートバーの出場です。カージナルス編成担当トップの「開幕戦も保証できない」との発言からも、開幕直前に行われるWBC参加のハードルは非常に高い状況となっています。
2023年大会では日系メジャーリーガーとして初の侍ジャパン入り。「1番・中堅手」として全7試合にスタメン出場し、打線を牽引。打率.269、出塁率.424、4打点、2盗塁、守備でも数々の好プレーで日本を世界一に導きました。その熱いプレーや明るいキャラクターで日本中のファンを魅了し、今回の大会でも再登場を心待ちにする声が多く上がっていました。
- ヌートバーの手術はシーズン終了後に実施
- 両かかとのハグランド変形による骨の突起を除去
- 感染症や合併症リスク、小まめなリハビリが必要な手術
- 開幕出場の保証は球団幹部も避けた発言
- WBCへの出場は更に困難な見通しとの評価
- 「リハビリを急がせるつもりはない」—球団は本人の復調を最優先
2025年シーズンのヌートバー 成績・状況概観
ヌートバーは28歳。2025年シーズンは自身最多の135試合に出場しましたが、打率.234、出塁率.325、長打率.361、13本塁打、48打点、4盗塁と近年では最も低調な成績となりました。過去3年連続でwRC+114以上(打者総合評価を示す指標)を記録していた時期と比べても不調は明らかでした。
原因として身体の状態、特に下半身のコンディション不良がパフォーマンスに大きく影響したことが予想されます。球団も「これまでの打撃フォームを取り戻すために序盤を欠場してでも調整期間を優先した方が得策」としています。
母親が日本人であるヌートバーは、日本名「榎田 達治(えのきだ たつじ)」も併せ持ち、国内外で幅広い人気を誇っています。
WBCファンの熱き声 —再登場を求めて
第5回WBCで「ペッパーミル・パフォーマンス」が流行し、“たっちゃん”のニックネームで親しまれたヌートバー。日本のファンからは今回も「ぜひ再び侍ジャパンで!」、「あのガッツをまた見たい!」とたくさんのエールや応援コメントが寄せられていました。プレーだけでなく明るいキャラや積極的な盛り上げ役としての存在もチームに大きな力を与えました。
しかし残念ながら、復帰には十分な調整が必要な手術とあって、球団も無理をさせる意向はなく、本人もまずは自分のコンディションと向き合い、復調を最優先とする判断を下しています。「ヌートバー本人や所属球団が苦しみながら復活を目指す中、日本から引き続き大きな応援の声が届いている」とスポーツ紙やメディアも伝えています。
今後の見通し —どのようなケースが考えられるか
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短期間の離脱
ブルーム本部長は「万が一開幕に間に合わないとしても離脱は短期間になるだろう」と述べており、長期的な戦線離脱ではなく、春以降のチーム復帰も見込める見通しを示しています。 -
本人の準備・球団サイドとの調整が最重要
2026年シーズン本線に向け、これまで以上に慎重かつ段階的な調整が必要とされます。WBC期間は開幕直前であり、復調が十分でないまま実戦に投入するリスクを避けるべきとの判断です。 -
WBC出場に関する今後の発表
現時点で参加が完全に消滅したとは発表されていませんが、状態次第では最終的な決断が今後下されることとなるでしょう。球団・本人・代表チームの医療スタッフ、それぞれの総合的な判断が待たれます。
ヌートバーとはどんな選手か —改めて紹介
ラーズ・テイラー=タツジ・ヌートバー(Lars Taylor-Tatsuji Nootbaar)は、1997年カリフォルニア生まれ、右投げ左打ちの外野手。セントルイス・カージナルスでメジャーデビュー以来、走攻守バランスの取れた選手としてチームに定着しています。母親が日本人というルーツから日本語にも馴染みがあり、2023年のWBCでは一躍スターとなりました。
「たっちゃん」「タツジ」という日本語名に親しみを感じるファンも多く、日本のプロ野球との縁や、国際大会での日系選手活躍の象徴的存在ともいえます。
回復と復活へ—ファン・球団・本人それぞれの思い
今後の課題はやはり、しっかりとしたリハビリと調整による復調です。球団編成担当の「リハビリを急がせず、完治を優先する」との方針、そしてヌートバー自身のプロフェッショナリズムが重なり、無理な復帰は現実的でないものの、慎重かつ段階的なコンディション改善が期待できます。
長いシーズンや今後のキャリア全体を考えれば、短期の焦りより、長期的なパフォーマンス維持のために様々な関係者が協力し合う構図となっています。
まとめ:WBC再出場は困難、しかし希望は失わず見守りたい
今回の一連の経過から、2026年3月のWBCでのヌートバー再登場は極めて難しい状況といえるでしょう。ですが、球団やファンの思い、何より本人の努力と意志がこの先の未来につながる可能性を秘めています。
日本野球界とアメリカメジャーリーグをつなぐ架け橋として、また“侍ジャパン”の英雄のひとりとして、ヌートバーの一日も早い回復とグラウンドへの帰還を日本中のファンが心より願っています。



