「トッテナムに加入する準備はできていた」――エゼがアーセナル移籍の裏側を明かす

2025年夏のプレミアリーグ移籍市場で、大きな話題を呼んだ選手のひとりがイングランド代表MFエベレチ・エゼです。彼はクリスタル・パレスからアーセナルへの移籍を果たしましたが、その裏にはトッテナム・ホットスパーからの熱心なオファーがあったことも報じられていました。10月26日、エゼ本人はイギリスメディア『The Athletic』を通じて「トッテナムに加入する準備はできていた」と当時の心境を明かし、アーセナルへの思い入れについても語っています。

トッテナムへの関心と移籍劇の経緯

エゼがこの夏にトッテナムへの移籍に本気で傾きかけていたことは、当時の複数のメディアが報じていました。トッテナムは総額約120億円(6000万ポンド超)の移籍金を用意し、クリスタル・パレスとの交渉も進めていました。エゼ自身も、ある時点では「トッテナムに行く覚悟はしていた」と認めており、実際に個人条件の合意まで話が進んでいたという報道もありました。ロンドン移籍、しかもイーグルスの大黒柱としての確固たる地位を築いた選手に、複数のビッグクラブが注目していたのです。

しかし、事態は一転します。アーセナルが突如として強くエゼの獲得に動き出したというニュースが流れました。きっかけはアーセナルの主力MFカイ・ハフェルツの負傷。ドイツ代表のスター選手が長期離脱となり、チームは即戦力の補強を急ぎました。加えて、エゼがかつてアーセナルの下部組織でプレーしていたことも、今回の移籍に大きな影響を与えたと考えられます。

エゼはこの時の心境について、次のように明かしています。

「トッテナムに加入する準備はできていた。でも、アーセナルからの話が来た瞬間から、行くのはアーセナルだと決めていた。アーセナルでのデビュー戦は特別だった。長い間、夢見ていたことだったから、まるで、現実ではないような気分だった。8歳から13歳までアーセナルでプレイしていたから、ずっと心のどこかでまた戻りたいという思いがあったんだ。まさに夢がかなった瞬間だった」

アーセナルという特別な存在

エゼにとってアーセナルは、単なる移籍先以上の特別な存在でした。彼は少年時代をアーセナルの下部組織で過ごし、このクラブに憧れ続けていたのです。「戻りたいという思いはずっとあった」と語る通り、エゼの心は何よりアーセナルに向いていました。トッテナムに関するオファーや、さまざまな交渉の過程があったとしても、エゼの最終的な選択は「アーセナル一択」だったといえます。

アーセナルにとっては、主力MFの負傷をきっかけに同僚クラブ・トッテナムと熾烈な争奪戦を繰り広げ、最終的には約7000万ユーロ(約119億円)を投じてエゼを獲得する形となりました。これは単なる補強ではなく、クラブの歴史と選手の思いが重なる象徴的な移籍だったといえるでしょう。

新天地での活躍と今後の展望

アーセナル加入後、エゼはすぐにチームに馴染み、プレミアリーグ6試合に出場して2アシストを記録しています。ゴールこそまだありませんが、その技術と創造性はすでにチームに大きなインパクトを与えています。アーセナルのサポーターからも「意外な大物ロックスター」と称され、大きな期待が寄せられています。

この移籍劇は、トッテナムや他のビッグクラブとの争奪戦というスリリングな経緯もありましたが、最終的には選手本人の強い思いとクラブの歴史が交わる形で実現しました。エゼ自身は「夢がかなった」と語るように、アーセナルで再び活躍する日々を楽しみながらプレーしています。

トッテナムの今後の戦略

一方、トッテナムはこの夏の大型補強でエゼ獲得を強く目指していました。交渉は最終盤まで進んでいたものの、選手本人の強い意思により頓挫。この経験は、引き続き市場でトップクラスの選手を獲得するために、交渉のあり方やアプローチの仕方を再考させる出来事となりました。トッテナムはすでに別のターゲットに切り替え、今後の補強に備えていると伝えられています。

まとめ

トッテナムとアーセナルによるエゼ争奪戦は、2025年夏のプレミアリーグを代表する移籍劇のひとつとなりました。エゼ本人が「トッテナムに加入する準備はできていた」と語る一方、アーセナルへの強い思いが最終的な選択を決めたのが印象的な事実です。アーセナルのサポーターにとっては、古巣復帰のエースの活躍が今後も楽しみですし、トッテナムにとっても、さらなる補強に向けて貴重な経験となったに違いありません。

今後も、両チームの躍動とエゼの活躍から目が離せません。

このニュースのポイント

  • エベレチ・エゼが2025年夏にクリスタル・パレスからアーセナルへ完全移籍
  • トッテナムも熱心にオファーし、移籍金も準備していたが、エゼは本人の強い思いでアーセナルを選択
  • エゼはアーセナルの下部組織出身で「戻りたいという思いはずっとあった」とコメント
  • アーセナル加入後はすぐに出場機会を得て、2アシストを決める活躍
  • トッテナムは既に別のターゲットに切り替え、今後も補強を進める方針

この移籍劇は、選手の思いとクラブの思惑、そして熾烈なライバル関係が交錯した、プレミアリーグならではのドラマでした。

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