三菱重工業と「核融合発電」─高市政権の主要テーマに迫る
核融合発電が注目を集める理由
近年、日本のエネルギー政策の柱として「核融合発電」が再び注目を集めています。二酸化炭素を排出せず、地球温暖化や資源枯渇などの問題解決に大きな可能性を持つこの技術は、「夢のエネルギー」とも呼ばれる分野です。特に高市政権は、クリーンエネルギーの普及に向けて核融合関連施策を強力に推進しており、核融合技術を巡る企業や研究機関の動向に大きな関心が集まっています。いまや日本の産業政策の中核テーマの一つに成長しています。
三菱重工業の核融合技術─実用化への挑戦
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三菱重工業株式会社は、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(QST)とともに、南フランスで進行中の国際共同プロジェクト「核融合実験炉イーター(ITER)」の重要部品「ダイバータ外側垂直ターゲット」の製作を担っています。
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2020年6月に製作を開始し、2024年7月に実機大プロトタイプ機を完成。これまで培われた製作・検査の知見を活かし、日本企業単独で初号機完成を達成しました。2025年度から順次、部品納入が開始される予定です。
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ITERのダイバータは、核融合反応で発生したヘリウムなど不純物を排出し、炉心プラズマを安定的に持続させるための極めて重要な装置です。三菱重工はこのうち計58基中38基の製作を担当しています。
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この取り組みは、エネルギーの長期安定供給や地球規模の環境問題の克服を目指すものであり、まさに人類の叡智を結集した挑戦といえるでしょう。
核融合発電の仕組みと特徴
核融合発電は、重水素と三重水素などの原子核を高温・高圧下で融合させ、膨大なエネルギーを取り出す発電方式です。この反応では、1gの燃料から石油8トン相当のエネルギーを得ることができ、燃料となるリチウムや重水素は海水中に豊富に存在するため枯渇の心配がありません。燃料の性質上、核分裂型原子力発電とは異なり放射性廃棄物の発生が大幅に抑えられ、事故リスクも低減されます。さらに、二酸化炭素を排出しない「究極のクリーンエネルギー」と位置付けられています。
国際プロジェクトITERとは
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ITERは、日本、欧州連合、ロシア、アメリカ、中国、韓国、インドの7つの極が共同で進める世界最大級の核融合実験炉建設プロジェクトです。フランス南部に建設されており、2030年代には本格的運転が目指されています。
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三菱重工業は、この国際協力の中核を担う一社として、最も技術的に重要な機器類の製作・納入をリードしています。特に、ダイバータ外側垂直ターゲットは炉心プラズマ制御・安定化の要として、その技術力の真価が問われる部位といえるでしょう。
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2025年度以降には順次完成品の納入が始まり、核融合炉本体への組み込みが進行していく予定です。
「高市銘柄」としての三菱重工業─投資家からの注目
高市政権は、クリーンエネルギー普及、特に核融合分野への積極的な投資促進を掲げており、これに呼応する形で三菱重工業は「高市銘柄」として証券・投資分野からも強い関心を集めています。野村證券や大坂隼矢氏など、証券アナリストも三菱重工業の技術・事業展開をテーマ解説で取り上げるなど、実用化への期待が高まっています。
また、億り人・古賀真人氏による分析でも、三菱重工業が核融合関連の「本命」として注目され、市場関係者からの評価も極めて高くなっています。国際的なプロジェクトへの参画実績、そして国内で培った技術力は、今後のエネルギー産業の中核を担う存在であることが明らかです。
核融合炉の中、プラズマの様子と技術の最前線
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核融合炉の要となるのが、炉内部で発生する高温のプラズマです。実験炉ITERの内部映像やカラー画像によって、プラズマのダイナミックな挙動や制御状況を目にする機会も増えてきています。
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ダイバータ装置は炉心プラズマの燃焼効率を維持しつつ、反応中の不純物除去に高い精度と耐久性を要求されます。三菱重工業が手掛ける外側垂直ターゲットは高温部の熱管理、複雑な形状加工、高精度の溶接技術など最先端の製造技術が投入されています。
社会と環境への貢献─核融合実用化への展望
三菱重工業によるダイバータ外側垂直ターゲットの開発・量産化は、核融合発電の実用化へ向けた一つの大きなマイルストーンです。核融合は燃料資源がほぼ無尽蔵、発生する廃棄物も極めて少ない、万一の事故でも燃料自体が危険性の少ない特性があります。「安全・クリーン・持続可能」という三拍子揃ったエネルギーとして、将来的には化石燃料や従来型原子力に取って代わる社会インフラとなる可能性を秘めています。
このような大規模国際協力の成功は、わが国の産業技術力を世界に発信し、国内外のエネルギー政策の舵取りに直結するものです。高市政権下で核融合関連投資は国家戦略の核となりつつあり、三菱重工業とQSTによる協力は、その象徴といえる存在です。既に2025年度以降の納入スケジュールも進行中であり、日本発の技術が大きな飛躍を遂げる年となるでしょう。
まとめ
- 三菱重工業はITERプロジェクトの重要装置製作で、世界の核融合技術発展を牽引しています。
- 核融合発電は環境・資源・安全全ての面で従来型発電を凌駕する長所を持ちます。
- 高市政権による戦略的推進のもと、関連企業や市場が発展のタイミングを迎えています。
- 今後も国内外の企業・研究機関が連携し、「夢のエネルギー」の実現に向けてさらなる技術開発と実用化が期待されます。
核融合発電は、科学技術と国際協力がもたらす未来の選択肢です。その実現に向け、日本の技術と知恵が駆使されています。



