エメット・シーハン ― ロサンゼルス・ドジャースに巻き起こる変革の波、その実像に迫る
25億円男の苦悩と外野陣の再編――ドジャースが動く理由
今、ロサンゼルス・ドジャースでは、チーム編成に大きな変化が求められています。きっかけとなったのは、主力外野手の一人、通称「25億円男」が今シーズン打率1割に終わり、ファンやメディア、そして球団フロントからも厳しい声が上がっていることです。「ドジャースが“切り込み隊長”のトレード獲得を画策か」と報じられているように、外野陣が“未解決の問題”を抱えているのは明らかです。
近年のドジャースは投手力の充実をはかってきましたが打撃および守備のバランスの見直しが必要な状況になっています。そんな中、ピッチャーながら話題となっているのがエメット・シーハン投手です。
エメット・シーハンとは――才能と苦難を併せ持つ右腕
- 生年月日:1999年11月15日(25歳)
- 出身:アメリカ・ニューヨーク州
- 投打:右投右打
- 2021年MLBドラフト6巡目でドジャース入団
シーハン投手は、ボストンカレッジ卒業後、2021年のMLBドラフトでロサンゼルス・ドジャースに指名されてプロ入りしました。マイナーで安定した成績を残し、2023年にはAA級で4勝1敗、防御率1.86・88奪三振といった圧倒的な成績を上げ、同年6月にはAAAを飛び越えてメジャー昇格。メジャーデビュー戦で6回を無安打無失点に抑えるという鮮烈なデビューを飾りました。
2024年――トミー・ジョン手術との闘い
しかし順風満帆とはいかず、2024年のキャンプで右肩・右肘に痛みを感じて故障者リスト入り。その後5月にトミー・ジョン手術(肘の靱帯再建手術)を受け、シーズン全休となりました。
本人は「手術を受けるべきか非常に悩み、回復までの毎日は同じことの繰り返しで、進歩していないように感じた。それでも前へ進むしかなかった」と語っており、心身ともに厳しいリハビリ期間を過ごしました。
2025年――復活の年と成長
リハビリを経て、2025年6月に待望の復帰。パドレス戦で見事な投球を見せ、4回1失点と試合を作る堂々の復帰登板で存在感を示しました。
シーズンを通しては、72回1/3を投げて防御率2.86、6勝3敗という安定した成績を残し、大きく飛躍した2年目となりました。
シーハン投手の圧倒的な球威と技術
- 平均球速(ストレート):約154km/h、最速158km/h
- 主な球種:ストレート(投球の約47%)、スライダー(約30%)、チェンジアップ(約17%)、カーブ(約6%)
- 決め球:スライダーとストレート
- トミー・ジョン手術前より平均球速が0.4km/h増加
特にスライダーとストレートが決め球となっており、2025年レギュラーシーズン終了時点で被打率の低さ・奪三振能力の高さがMLBの中でも注目されています。
またトミー・ジョン手術を経てストレートの球速がさらに増し、リハビリを活かした肉体的な進化が野球通や専門家からも指摘されています。
ドジャース投手陣の中での立ち位置と今後の役割
2025年、ドジャースはオフの補強によって投手陣の選手層が厚くなり、シーハンは6番手としてローテーションに名を連ねました。ただし、ポストシーズンではリリーフ(中継ぎ)の起用が有力視され、実際にシリーズ終盤でもブルペン登板の機会がありました。
山本由伸投手らが安定した先発を任されるなか、シーハンはリリーフとして不安定なブルペン陣に安定感をもたらす存在として期待されています。
不安定なブルペン陣とポストシーズン――光と影
一方で、重要な試合でのブルペン登板時にピンチを招いてしまう場面もありました。レッズとのワイルドカードシリーズ第2戦では、3番手で登板し打者2人に安打・2度の四球とピンチを拡大、1/3回で2失点となる悔しい投球を経験しています。
こうした“炎上”からも、剛速球の持ち味と、安定感を両立させるための成長途中であることが見て取れます。
トレードの噂と外野手・ブルペンの補強動向
現地では「ドジャースは先発を放出する余力があり、2026年に向けて外野手やブルペンの補強を図るのだろう」との報道もあります。現状、チームは大谷翔平選手らを擁する打線は強力ですが、外野手と中継ぎという既存の穴を埋めるべく積極的な補強が見込まれています[ニュース内容2]。
米メディアでも「並外れた才能を持っている」と高く評価される外野手候補が名前を挙げられており、ドジャースのトレード戦略がどのような選手補強に繋がるか注目が集まります(ニュース内容3)。これは裏を返せば、シーハンのような若手右腕がトレード要員となる可能性や、その重要性が一層高まってきていることを意味します。
大谷翔平選手とシーハン投手――“最強チーム”への挑戦
2025年現在、ドジャースは大谷翔平選手をはじめとしたスター選手が一堂に会する“銀河系チーム”と称されることも多く、その中でシーハン投手はマウンドで堂々たる姿を見せました。
ブルペンに加わることで不安定な中継ぎ陣に安定感を与えるとともに、先発でも着実な結果を残しています。今後の役割についてはロバーツ監督も「準備できている」と語るなど、高い期待と信頼がかかっています。
本人コメントから見えるシーハンの人間性とプロ意識
インタビューでは、「手術とリハビリは苦しかった」と語りつつも、「どんなに思い悩んでも、前進し続けなければならない」と高いプロ意識をにじませています。「苦しさから逃げず、投手としての進化を目指し続けた日々があったからこそ、2025シーズンの活躍に繋がった」と、その言葉と姿勢は多くの野球ファンに勇気を与えました。
今後の展望――シーハン投手はどうなるのか
2025年シーズン、シーハン投手は故障からの復帰2年目で飛躍を遂げ、圧倒的な球威と安定感を証明しました。一方、ドジャース球団は来季(2026年)に向けて外野手・中継ぎなど補強の動きが本格化しつつあります。
エメット・シーハン投手の存在が、ドジャースの未来を占うカギを握っているのは間違いありません。今後の動向から目が離せません。




