新国立劇場バレエ団「ジゼル」ロンドン公演の軌跡〜吉田都芸術監督と歴史的舞台、その感動に迫る
新国立劇場バレエ団が世界へ羽ばたいた瞬間
2025年7月、新国立劇場バレエ団は英国ロイヤルオペラハウス(ロンドン)という世界屈指の舞台で待望の『ジゼル』公演を開催しました。このロンドン公演は、劇場としてもバレエ団としても初の海外主催公演であり、まさに歴史的な一歩となりました。全5公演はすべてソールドアウト、連日観客の熱狂的な拍手とスタンディングオベーションに包まれ、現地の主要メディアからも絶賛されるなど、大成功を収めました。
吉田都芸術監督の存在と公演への思い
芸術監督を務める吉田都さんは、英国ロイヤルバレエ団の元プリンシパルという輝かしいキャリアを持ち、日本と英国のバレエ界をつなぐ存在です。2022年、吉田さんが初めて演出を手掛けた『ジゼル』は日本でも大いに話題となり、その進化形としてロンドンの大舞台に挑みました。
自身の古巣とも言えるロイヤルオペラハウスでの上演について、吉田さんは「ロンドンというバレエの聖地で日本のバレエの今を見てもらいたかった」「積み重ねてきたバレエ団の実力を世界に示す一歩にしたい」と語っていました。そんな思いに応える形で、ダンサーやスタッフは日々熱心にリハーサルを重ね、本番を迎えました。
現地での受け止められ方と絶賛の声
- 5公演すべてがソールドアウトという快挙
- 毎回スタンディングオベーションと嵐のような拍手が続いた
- The Daily Telegraphから「完成度、プロフェッショナリズムには驚かされた」と5つ星評価
- The New York Timesは「主要な世界のバレエ団と肩を並べる実力」と技術・芸術性ともに高く評価
- The Independentでは「軽やかさと鋭さが同居するウィリ(精霊たち)」と舞台の繊細な美しさを絶賛
これらの評価は、バレエ団の地道な努力と吉田都監督の芸術的ビジョン、そして日本バレエ界全体の実力が国際的に認められた瞬間でもありました。
公演の舞台裏
ダンサーたちは初日の数日前に現地ロンドン入りし、英国ロイヤルバレエが日常的に使う本格的なスタジオでリハーサルに励みました。限られた時間の中、集中的に稽古を重ねることでコンディションをしっかり調整し、最高の舞台を実現。現地スタッフやオーケストラとのコミュニケーションも丁寧に重ね、国際共同制作の難しさもありつつ、完成度の高い舞台が生まれました。
『ジゼル』ロンドン公演の主な情報
- 公演日程:2025年7月24日(木)~27日(日)(全5公演)
- 会場:英国ロイヤルオペラハウス
- 振付:ジャン・コラリ、ジュール・ペロー、マリウス・プティパ
- 演出:吉田都
- 改訂振付:アラスター・マリオット
- 音楽:アドルフ・アダン
- 美術・衣裳:ディック・バード
- 照明:リック・フィッシャー
- 指揮:ポール・マーフィー、冨田実里(26日昼)
- 管弦楽:Royal Ballet Sinfonia
主なキャスト
ジゼル:米沢唯
アルブレヒト:井澤駿
ヒラリオン:中家正博
ミルタ:吉田朱里
ペザントパ・ド・ドゥ:池田理沙子、水井駿介
NHKでの放送と舞台の感動を再び
この歴史的な公演は、NHKの「プレミアムシアター」枠でBS/BSP4Kを通して全国放送されました。
- NHK BSP4K:2025年10月19日(日)23:20~
- NHK BS:2025年10月20日(月)0:05~
舞台収録は2025年7月26日の夜公演で、キャストや舞台裏の様子、美しい映像とともに、現地での感動がそのまま日本の家庭にも届けられました。
豪華なプログラムを自宅でも
ロンドン公演の感動をより深く味わいたい方には、公演プログラムの国内販売も決定。吉田都監督のロイヤルバレエ時代から現在までの軌跡を追うインタビューや、舞台写真がふんだんに掲載された全92ページの本格冊子です。
WEBシアターショップと新国立劇場オペラパレスで販売され、英国と日本をつなぐ舞台芸術の歩みを手元に残す貴重な機会となっています。
日本バレエ界と新国立劇場バレエ団の未来
このロンドン公演は単なる海外公演という枠を超えて、日本のバレエが世界の舞台で高い芸術性と技術を認められることを証明しました。
新国立劇場バレエ団は今後も、吉田都芸術監督のリーダーシップのもと世界へ発信し続ける存在として期待されています。日本各地の子どもたちやバレエファンの夢や希望を大きく広げたこの舞台は、多くの感動と自信をもたらしました。
バレエ団の想いと観客の感謝
バレエ団メンバー一人ひとりが抱えたロンドンへの思い、日々の努力、日本からの応援、そして現地観客の温かい拍手。全てが形となり、「日本のバレエ界に新たな歴史が刻まれた」という実感へとつながりました。
世界中で愛される『ジゼル』という作品の持つ力と、吉田都監督率いる新国立劇場バレエ団の可能性が、今後もますます広がっていくことが期待されています。
まとめ:新国立劇場バレエ団の挑戦の意味
2025年のロンドン公演は、単に海外の一流劇場で公演を行うというだけでなく、日本の芸術が世界的にも高く評価され、国際的な舞台で堂々と勝負できることを強く印象づける出来事となりました。
この舞台を通じて、「感動を超える感動」「日本の誇り」という言葉がまさに現実となったのです。



