インドのモディ首相、ASEAN首脳会議にオンラインで参加へ
インドのナレンドラ・モディ首相は、2025年10月26日からマレーシアのクアラルンプールで開催されるASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議に、オンライン形式で出席することを正式に発表しました。対面での出席を行わず、現地には訪れない方針です。これは例年の慣例とは異なり、多くの関係者やメディアの間で注目を集めています。
オンライン参加の背景
今回のオンライン参加には、大きく分けて米印間の通商交渉およびトランプ米大統領との首脳会談の見送りという2つの要因が関連していると考えられています。
- 米印通商合意交渉の難航: 米国とインドは数カ月にわたり、通商合意に向けて交渉を続けてきましたが、インド側によるロシア産原油の輸入を巡り、交渉は複雑化しています。これにより、米国は2025年8月にインド製品に対し25%の追加関税を発動し、従来の税率と合わせ最大50%に達しています。
- トランプ米大統領との会談見送り: モディ首相が今回の会議にオンライン参加を選択したことで、トランプ米大統領(来訪予定)との首脳会談は実現しない見通しです。これは通商合意に関する溝が埋まっていないことを示唆しています。
会議の概要と各国首脳の動向
今回のASEAN首脳会議は、10月26日から28日までの3日間、マレーシア・クアラルンプールで開催されます。複数国の首脳が現地参加する一方で、モディ首相はオンライン参加という形を取りました。他にも何名かの首脳が現地入りを見合わせる可能性が指摘されていますが、現時点で詳細は明らかとなっていません。
通商交渉の現状と米印関係への影響
米国とインドの通商問題は、今回の首脳会議に深く影響しています。
- 米国は、インド政府の政策、特にロシア産原油の大量輸入を問題視しており、これが交渉の最大の障害となっています。
- その影響で、米国は追加関税を実施し、インド製品への関税は最高50%にまで引き上げられました。
- 通商合意締結の見通しは立っておらず、首脳会談の見送りも両国間の溝の深さを反映しています。
モディ首相の外交方針の変化
モディ首相はこれまで、積極的に国際会議や多国間協議に出席し、現地で他国首脳との会談や意見交換を行うスタイルをとってきました。しかし、昨今はインドの立場を重視し、対外圧力や利害関係に応じてオンライン形式など柔軟な外交手法を選択するケースが増えています。
- インドは「グローバル・サウス」の声を代表する立場からも、独自の外交政策を示しています。
- 通商に限らず、エネルギーや安全保障など幅広い分野でインドの独立性を重視する姿勢が明確化しています。
各国・アジア地域への影響
インドの外交姿勢や米印関係の変化は、アジア太平洋地域全体の地政学にも影響を及ぼしています。
- ASEAN諸国は米中対立の板挟み状態や、インドの独自色が強まることによる協調問題に直面しています。
- マレーシア外相の発言によると、トランプ大統領の現地訪問が計画されていますが、米国側からの公式声明はなく、動向が注視されています。
- インドは今後も通商や安全保障を中心としながら、ASEAN地域との連携を模索していく見通しです。
今後の展開と国際社会の注目点
今回のオンライン参加をきっかけに、インドの外交方針アップデートや通商・安全保障戦略への注目が一段と高まることは確実です。
- 今後も米国との交渉は続くものの、双方の主張や利害の隔たりによって、合意締結の時期は不透明です。
- ASEANリーダーたちはインドとの協力体制や地域安定のための関係強化に引き続き意欲を示しています。
- インドがオンライン外交を駆使した影響的な立場を築けるかどうか、多くの国際関係研究者・経済関係者が注視しています。
まとめ:状況理解のポイント
- インドのモディ首相は、ASEAN首脳会議にオンライン参加を選択しました。
- 米印間の通商交渉には依然大きな隔たりがあり、トランプ米大統領との会談も実現しませんでした。
- 今後の米印・インドASEAN関係は、通商や安全保障、独自の外交戦略の動向次第で大きく変化する可能性を秘めています。
以上、インドのモディ首相のASEAN首脳会議オンライン参加について、通商交渉・国際関係への影響を踏まえてわかりやすくまとめました。



