2025年9月の全国消費者物価指数(CPI)が2.9%上昇:電気・ガス代が上昇要因に
9月のCPI上昇率が2.9%、4カ月ぶりに伸び拡大
2025年9月の全国消費者物価指数(CPI)は前年同月比で2.9%上昇し、4カ月ぶりに上昇幅が拡大しました。これは2025年8月の2.7%から0.2ポイントの増加となり、物価上昇のペースが再び強まったことを示しています。CPIの上昇率が拡大するのはこれまでの緩やかな動きから一転し、生活者や企業にとっても大きな関心事です。総合指数の上昇幅が拡大した主な要因は、電気やガスなどエネルギー関連費目の上昇傾向に転じた点にあります。
背景:エネルギー価格の反転上昇
9月のCPI上昇幅が大きくなった背景には電気・ガス代の上昇があります。これまで政府による「電気・ガス料金負担軽減支援事業」が行われてきたことで、2025年8月までエネルギー価格は前年同月比で下落傾向が続いていました。しかし、9月はこの抑制策の効果が一部薄れ、電気やガスの料金が上向きに転じ、消費者物価全体を押し上げるかたちとなりました。
また、これまでは生鮮食品など他の項目でも上昇率が徐々に鈍化していたものの、エネルギー関連価格の影響が強まったことで総合CPIの伸びが拡大しています。生鮮食品の影響により総合の上昇幅が0.03ポイント縮小したものの、エネルギー項目の寄与がそれを上回ったかたちです。
コアCPIも同率の2.9%上昇に加速
生鮮食品を除いた「コアCPI」についても、同様に前年同月比2.9%上昇と加速しています。コアCPIは物価の基調的な動きを示す指数であり、主に食料とエネルギー以外のサービスや商品の値動きを反映しますが、今回はエネルギー項目の上昇がコア指標全体の押し上げ要因となっています。
消費者心理と経済への影響
最新の消費者マインドアンケート調査によれば、9月から物価見通し判断DIはやや上昇していますが、その一方で国民の暮らし向き判断DIはやや改善しています。これは、物価の上昇にもかかわらず、家計のやりくりに工夫を凝らすなどして心理的な悪化が一定程度抑えられている現状を示しています。
品目別の物価動向
- エネルギー:電気代・ガス代がプラスに転じ、全体を押し上げました。8月に比べて電気・ガス代は上昇傾向になり、「電気・ガス料金負担軽減支援事業」の抑制効果が弱まったことが大きな転換点です。
- 生鮮食品:前年同月比で上昇しているものの、増加幅は8月以降やや鈍化しています。
- 他の品目:その他の消費財やサービスも引き続き上昇傾向で、生活必需品全般への影響が見られます。
最近のCPI推移と今後の注目点
2025年に入ってからのCPIは全体として2%台後半から3%台前半で推移し、一部月では政府のエネルギー価格対策によって一時的に上昇率が抑制される場面もありました。しかし9月は、再び上昇幅が拡大する結果となりました。今後も電気・ガス料金の動向や政府の対策、国際的なエネルギー価格の動向がCPIに影響を及ぼすと考えられます。
生活者への影響と対応策
CPIの上昇は、家計にとっては日常生活のコスト増につながります。特に食料や光熱費は家庭の支出の大きな部分を占めるため、物価上昇が続けば節約志向や購買行動への変化も予想されます。物価上昇への対応策として、政府は支援策の継続や必要に応じた給付制度の拡充を模索していますが、こうした政策の効果と持続性にも注目が集まっています。
企業への影響
企業サイドでは、仕入価格や人件費などさまざまなコスト増が経営を圧迫する要因となっています。このため商品やサービス価格への転嫁が続き、CPI上昇と相互に影響し合う構図が鮮明になっています。特にエネルギー関連のコスト上昇は製造業やサービス業にも広く波及し、企業の利益率や投資計画にも影響を与えています。
今後の経済見通し
2025年9月のCPIが4カ月ぶりに上昇幅を拡大したことで、今後の物価動向や景気の先行きにさらなる注目が集まっています。エネルギー価格の変動、為替レートの動き、世界情勢など様々な要素が絡み合う中、日本経済が安定した成長を目指すためには、物価変動リスクに対する柔軟な政策対応が引き続き求められます。今後の月次CPIや政府の追加対策などに注目していく必要があります。
まとめ
2025年9月の全国消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.9%の上昇となり、エネルギー価格の反転上昇が大きく影響しました。今後も物価動向から目が離せない状況が続きそうです。生活者・企業どちらにとっても、価格変動や支出増への柔軟な対応が求められる局面と言えるでしょう。




