メカトロテックジャパン2025開幕―国内最大級の工作機械見本市が描く「自動化」の未来
メカトロテックジャパン2025(MECT2025)が、2025年10月22日(水)から25日(土)までの4日間にわたり、名古屋・ポートメッセなごやにて開催されました。今回で通算20回目を迎えるMECTは、日本製造業の集積地・中部で行われる国内最大級の工作機械・FA技術の専門展です。出展社は過去最多の524社を予定し、製造現場の現在と未来を左右する技術や課題への解決策が集結します。
「自動化」の深化に挑む―人手不足に対する具体的提案
MECT2025の主なテーマは、「自動化」の深化です。近年、製造現場では深刻な人手不足や技能継承の問題が顕在化しており、作業の効率化や省力化のために新たな自動化ソリューションが強く求められています。出展企業は、最新のロボット技術、無人加工ライン、IoT連携による設備の遠隔管理、AIを活用した生産最適化など、多彩な技術を披露。実務に直結する加工実演や、会場限定の最新情報が提供され、大きな注目を集めました。
- ロボットソリューションによる自動搬送・無人化実現
- アクチュエータ・OEE最大化プラットフォームなど、現場データの効率活用
- XRやデジタルツインによる仮想工場展示でDX推進のモデル提案
このような技術の導入は、人手不足のみならず、従来の多工程・多品種少量生産への柔軟な対応、品質維持、コスト圧縮など、多くの課題解決に直結。セミナーや出展各社のブースでは、実際に現場で役立つノウハウや事例も多く紹介されていました。
工作機械業界の最新動向―米関税・価格転嫁と「完全自動化」への動き
今年のMECT2025における大きな話題のひとつは、オークマなど大手工作機械メーカーが掲げる「完全自動化」の取組みです。「人が一切介在しない製造ライン」を目指し、工作機械の自動制御、材料供給から検査・搬出までをシームレスに繋ぐソリューションが発表されました。とくにオークマは、海外情勢、とくに米国による関税強化の動向を受けて、コスト対策・価格転嫁のためにも自動化による生産性向上が不可欠として、先端モデルを展示しています。
- 自動化対応型CNC工作機械
- 無人運転対応セルシステム
- 全自動検査ライン
- AI活用生産最適化ツール
米国向け輸出製品の価格競争力維持や、グローバル市場における生産拠点の分散化を背景に、自動化技術の進化は避けられません。こうした動きは、国内企業だけでなく海外出展社にも波及し、展示会場では各社が自動化・省人化の現実的なソリューションを競い合っています。
名古屋での開催の意義―地域産業と来場者への波及効果
MECT2025は名古屋開催であることも大きな特徴です。中部地域は自動車産業をはじめ、日本のものづくりを支えてきた重要な地域。特に中堅・中小企業の現場担当者や経営者が多数来場し、最新技術への直接アクセスや、現地商談・ネットワーク構築を行う絶好の機会となっています。
- 来場者数は4日合計で約70,000~77,000人規模
- 出展社数過去最多(524社)、2,000小間以上
- 主要出展物:工作機械、成形機、3Dプリンタ、機械要素部品など
中部経済新聞主催の専門セミナーなどでは、現場直結の課題解決や将来展望に関する活発な議論が展開。経営環境の変化を受けて、柔軟に技術革新へ対応できる企業文化や人材育成の必要性が強調されています。
展示会の特徴と主要出展内容
MECT2025では、最新型工作機械の実演が多数行われました。芝浦機械による摩擦撹拌接合(FSW)や超精密マシニングセンタのライブ加工、THKのアクチュエータ・ロボットソリューション、各社独自のデジタル化・IoT連携技術など多岐にわたります。
- 機械動作や加工音、段取り方法までわかる加工実演コーナー
- 医療分野を支える精密加工技術のコーナー
- DX・スマートファクトリー化の最先端ソリューション
また、未来志向の技術展示、バーチャル空間による工場見学体験、データ活用による生産改革など、従来の工作機械展の枠を超えた体験型展示が多く、新しい製造現場づくり・働き方改革に直結するアイデアが多数提案されました。
課題解決に向けた取り組みと今後の展望
MECT2025に集まった最新の自動化技術、DX推進ソリューション、AI活用型工場運営スタイルは、いずれも日本の製造業界が抱える人手不足・技能継承・コスト圧縮・品質維持、そしてグローバル競争といった課題の本質的な解決策となります。
今後、こうした展示会を通じて業界全体の技術革新が加速度的に進むことは間違いなく、出展各社・来場者が得た知見やネットワークは、現場への導入・応用を通じて日本のものづくりの未来を支えることでしょう。
開催概要(再掲)
- 名称:メカトロテックジャパン2025(MECT2025)
- 会期:2025年10月22日(水)~10月25日(土)
- 開催時間:10:00~17:00(最終日は16:00まで)
- 会場:ポートメッセなごや 第1・2・3展示館
- 主催:株式会社ニュースダイジェスト社
- 共催:愛知県機械工具商業協同組合
- 来場者数:約70,000人(予定)
まとめ
メカトロテックジャパン2025は、「自動化」の深化をはじめ、国内外の工作機械メーカー各社が最新技術を披露し、製造現場の課題解決に向けて実践的かつ先進的な提案を行う場となりました。人手不足や技能継承、米関税問題など複雑な状況下でも、業界の技術力と創意工夫が光を放ち、「日本のものづくり」の底力を再認識させるイベントとなりました。今後の製造業界の発展に活かされるであろう多様なヒントと出会い―それが、MECT2025の大きな価値です。



