「ストリートファイター6」世界王者・翔選手、突然の引退発表
2025年10月23日、eスポーツ界に大きな波紋が広がりました。『ストリートファイター6(通称:スト6)』のプロプレーヤーであり、世界王者として名を馳せた翔(Kakeru)選手が、eスポーツ選手活動からの引退を発表しました。
その理由は、一人の選手としても、一人の人間としても重大なものでした。彼は、神経機能の不調によってこれ以上競技を続けることができなくなったと明かしています。その後、所属していたプロチーム・ZETA DIVISIONも年内に退団し、体調の回復と療養に専念するとの発表を行いました。
突然の決断――「苦しみ抜いた末の選択」
翔選手の引退は多くのファンや関係者、eスポーツ業界にとって衝撃的なものでした。今年8月に開催された世界大会「Esports World Cup(EWC)」での体調不良により途中棄権して以降、しばらく翔選手は活動を休止していました。
その間、本人は治療や休養に専念しつつ再起を目指して複数回チームと話し合いを重ねてきましたが、最終的に「神経機能の不調が回復せず、競技を続けるのは難しい」との判断に至りました。
本人からの発表の言葉
翔選手はSNS(旧Twitter、現X)を通じて、自らの言葉でファンや関係者への感謝と、引退への思いを語りました。
- 「いつも温かいご声援、本当にありがとうございます。」
- 「突然の活動休止から約2カ月が経過してしまいました…。この度、ZETA DIVISIONから発表がありました通り、私はeスポーツ選手としての活動を引退することを決断いたしました。」
- 「まだ気持ちが追いついていない部分もありますが、治療に専念し、また何らかの形で皆さんに元気な姿をお見せできるよう努力してまいります。」
このように、翔選手はファンや関係者への感謝の気持ち、自身の苦悩と決断、そして今後の療養への前向きな意欲を率直に語りました。
神経機能の不調――プロeスポーツ選手特有の悩み
引退理由として挙げられた「神経機能の不調」とは、具体的には手指や筋肉の思うような動きが難しくなったり、疲労の蓄積からの慢性的な違和感や痛み、集中力の著しい低下などの症状を指します。eスポーツ選手にとってはコンマ数秒の反応や細かなコマンド入力が勝負を分けるため、わずかな神経機能の異常が選手生命に直結します。
翔選手は、EWC(Esports World Cup)でも体調不良により途中棄権を強いられ、その後も症状が改善することはなかったと報じられています。プロゲーマーにとって、トレーニングや試合は非常に厳しいものであり、長時間の集中・練習が神経や筋肉に大きな負担となることがしばしば指摘されています。
eスポーツ選手としての過酷な現実
- 長時間の練習による手指・腕への負荷
- 精神的ストレスと極限の集中力
- 海外遠征時の時差や環境変化による体調への影響
- プロとしての期待やプレッシャー
これらの要素が複合的に神経機能の不調を引き起こすとされています。特に勝つための“追い込み”が慢性化すると、リスクは飛躍的に高まります。
翔選手とはどんな存在だったか――世界王者までの軌跡
翔選手は格闘ゲーム界でも特に有名な「ストリートファイター」シリーズにおいて、若くしてその才能を発揮しました。『スト6』世界大会での優勝経験を持ち、冷静な試合運びと高精度な操作技術、戦略性、そして逆境時のメンタルの強さが多くのファンを魅了してきました。
また、eスポーツのプロ選手らしくSNSでの情報発信やファンサービスにも積極的で、明るい人柄から国内外を問わず広くファンに親しまれてきました。「ストリートファイターリーグ」や世界大会など、国際大会でも多くの名勝負を生み出し、その姿は多くの人々の記憶に強く残っています。
ZETA DIVISIONでの活躍
- 数々の国際大会での入賞と実績
- 「ストリートファイターリーグ:Pro-JP 」など国内トップリーグでも主力選手として奮闘
- 若手選手への指導やコミュニティイベント参加など、チームへの貢献も多大
プロとしてのマインドセットやプレイの美しさが評価され、多くの後進にとっての目標となっていました。
献身と悩み――突然の引退に動揺するファンと業界
翔選手の引退報道を受け、eスポーツファンや関係者からは惜しむ声と応援のメッセージが多数寄せられています。SNSでは「信じられない」「またどこかで姿を見たい」といったコメントが拡散され、彼の存在がどれほど大きかったか、改めて実感されています。
ZETA DIVISIONに所属する他の選手やチーム関係者、またライバルたちも、突然の決断に驚きを隠せない様子ですが、「今は健康を最優先に」「これまで本当にお疲れさま」とのメッセージが目立ちます。
eスポーツ界に与える影響と課題
- トップ選手の突然の離脱による競技力バランスの変化
- 現役eスポーツ選手の健康管理やサポート体制への再検討
- 長時間のオンラインプレイやトレーニング方法の見直し
- 意外と深刻な「プロゲーマーの健康問題」への社会的注目
今後、eスポーツ界全体でも選手の健康を守るための体制整備や啓発活動が一層重視されていくと見られています。
翔選手自身の今後――「また元気な姿を」
翔選手は年内にZETA DIVISIONより退団し、しばらくは体調回復に集中する意向を表明しています。競技復帰については明言せず、“まずは自分の体と心を大切にしたい”という思いが強く伝わります。
ファンからは「またゲーム業界に戻ってきてほしい」「元気な姿を見たい」「いつまでも応援しています」といった数多くの応援が寄せられており、その復活を願う声は絶えません。
翔選手は自身のSNSで「少しでも力になれたら」「どこかでまた関われれば」とメッセージを残しており、将来的にはプレイヤー以外の形でもゲームコミュニティと関わっていく可能性も示唆されています。
まとめ:翔選手から学ぶこと、そしてeスポーツの未来へ
翔選手の引退は、プロeスポーツ界の“光と影”の両方を私たちに投げかけています。
彼のこれまでの活躍はeスポーツ業界だけでなく、多くのファンの心に焼き付きました。今回の引退をきっかけに、eスポーツ選手の健康問題や競技環境の在り方にも社会の目が向かうことでしょう。
翔選手、今まで本当にお疲れさまでした。そして一刻も早い健康回復と、再び明るいニュースで彼の顔が見られる日を、多くの人が心から待ち望んでいます。