NECの最新動向と株価推移、AIを活用した社内キャリア施策について解説します
NEC(日本電気株式会社)はITサービス事業を中心に業績を伸ばし、2025年10月現在、株価も堅調に推移しています。さらに、社内人材施策として 生成AIを活用したキャリア相談ツール や 他部署体験プログラム など、社員一人ひとりの自律的なキャリア形成を支援する新たな取り組みを開始しました。本記事ではこれらのニュースをわかりやすく解説し、話題となったジョブ型雇用の副作用についても専門家の意見とあわせて整理します。
最近のNEC株価の動向
- 2025年10月22日の終値は5,018円。始値4,949円、高値5,033円、安値4,922円で推移しました。直近では5,000円台で安定的に取引されています。
- 2025年10月6日には年初来高値5,093円を記録。年初来安値は2,497円(1月17日)で、年間を通じ大きく上昇しています。
- 出来高は2025年10月22日には4,371,200株と高水準を維持。市場での注目度も高まっています。
- NECの時価総額は約6兆8,840億円(2025年10月23日 11:30時点)となっています。
- 次回決算発表は2025年10月29日、投資家からも注目を集めています。
株価推移の背景と業績
- 2025年3月期第1四半期の連結売上収益は7,156億円(前年同期比3.7%増)、営業利益は353億円(前年同期比679.5%増)と、ITサービス事業が成長を牽引しました。
- 親会社所有者帰属四半期利益は193億円と黒字転換。通期見通しは売上収益3兆3,600億円(前年同期比1.9%減)、調整後営業利益3,100億円(前年同期比8.0%増)です。
- 株主からの評価も高く、「強く買いたい」が79.17%と、投資家のポジティブな見方が株価に反映されています。
NEC、社内向け生成AIキャリア相談ツールの展開
NECは生成AI技術を用いたキャリア相談ツールを開発し、グループ内で本格的に展開しています。
このツールは社員のキャリア形成やスキルアップに対し、自分に合ったシナリオや選択肢をAIが示唆し、具体的な行動計画の作成も支援します。
NEC本社およびグループ会社で利用が始まり、全社的な自律的キャリア形成促進の中核施策となりつつあります。
- AIが数万通り以上のシナリオから、社員一人ひとりに合わせたキャリアパスや、異動可能な職務内容をレコメンド。
- 実際の体験談や、業務データをもとにした学習でリアルなキャリア相談が可能。
- キャリアの悩み相談だけでなく、社内公募・異動のタイミングを社員自ら見つけられるよう支援。
他部署体験プログラムの意義と運用
新たにNECグループで始まった「他部署体験プログラム」は、社員が現在の部署を離れて別部署の仕事や文化を体感することで、自身のキャリア観を広げ、スキルの幅を増やすことを目指します。
AIツールと連動させることで、社員は自分に適した新たな業務や役割をデータに基づき効率的に探せます。
- 他部署体験中は、メンターによるサポートや、AIによるフィードバックあり。
- キャリア相談と体験がセットになり、現場経験をもとに将来設計を再考できる。
- 自律性を伸ばすことでモチベーションや定着率向上にも期待。
社員自律性とAI活用のメリット
これらの取り組みによりNECは全社員に対し「自律的キャリア形成」を強力にサポートしています。
生成AI利用により、これまで人事部門だけでは手が届かなかった個別最適化が一気に進み、「キャリア迷子」や「適切な異動のタイミングがつかめない」といった課題をデジタルの力で克服します。
加えて、他部署体験と組み合わされたことで「試して納得」の機会が増え、意思決定力や納得感を高めることにつながります。
ジョブ型雇用の副作用と、その対策
NECはここ数年、ジョブ型雇用へのシフトも進めてきましたが、これには副作用・課題が指摘されています。
首藤啓成氏はそのリスクについて、次のような点を挙げています。
- ジョブ型雇用では職務に紐づいた採用・評価を行うため、社員間の連携が希薄になったり、部署ごとの分断が進む可能性。
- 長期的なキャリアイメージが描きづらくなり、「自分の将来が見えづらい」という悩みが増加。
- 専門性重視ゆえ、未経験分野へのチャレンジが減り、柔軟な人材育成が困難化するリスク。
こうした課題を解決するため、NECは上記の生成AIによるキャリア支援と他部署体験プログラムの融合に踏み切りました。社員が自ら異なる分野に挑戦し、AIの力で個々に最適な成長ルートを提案されることで、ジョブ型雇用の副作用を緩和しています。
NEC社内・グループ会社への導入と今後の展望
新たなキャリア形成支援策はすでにNEC本社および主要グループ会社で展開中です。初期利用者の満足度は高く、今後は機能・サービスの拡充や横展開も予定されています。
今後は、AI技術やデータ活用が一層進化することで、社員一人ひとりの「意思決定力」「適応力」「チャレンジ精神」が高まり、企業競争力向上へとつながっていくことが期待されています。なお、従来の人事評価制度や教育研修とも連動させることで、AI任せにならない人間的なキャリア支援も目指されています。
- 業務体験とキャリア支援の一体的な運用が加速。
- ジョブ型雇用の負の側面抑制と社員の自律的成長が同時に実現。
- 企業価値向上、株価の安定と上昇に寄与する施策として投資家からも注目。
まとめ
NECは生成AIと他部署体験プログラムという革新的な人材施策によって、社員の自律的なキャリア形成を全社的に後押ししています。これらの取り組みはジョブ型雇用の副作用という現代的課題に対応するとともに、ITサービス事業の成長や株価の安定上昇にも良い影響を与えていると考えられます。今後の企業価値向上と社員満足度向上に、大きな期待が寄せられています。