北山宏光が6年ぶりの主演舞台で黒澤明の名作に挑む

2025年11月7日から明治座で上演される舞台『醉いどれ天使』の制作発表会見が10月16日に行われ、主演の北山宏光をはじめ、豪華キャスト陣が登壇しました。北山にとって約6年ぶりとなる主演舞台は、映画史に燦然と輝く黒澤明監督の伝説的作品の舞台化という大役です。

黒澤明と三船敏郎が初タッグを組んだ伝説の作品

『醉いどれ天使』は、日本をはじめ世界中に大きな影響を与えた名匠・黒澤明と、その多くの作品で主演を務めた三船敏郎が初めてタッグを組んだ記念すべき映画作品です。戦後の混沌とした東京を舞台に、人々の葛藤や希望を力強く描いたこの作品は、公開から75年以上経った今も世界中で語り継がれています。

興味深いことに、映画公開の約半年後に舞台作品として上演されたという記録が残っています。当時の舞台台本は長い間眠っていましたが、近年偶然にも発見され、2021年に舞台化されました。大盛況のうちに幕を閉じたこの作品が、この度25年舞台版として再び上演されることになったのです。

三船敏郎が演じた若きやくざ役に挑む覚悟

今回の舞台で北山宏光が演じるのは、三船敏郎が演じた闇市を支配する若きやくざ・松永という役柄です。会見で北山は「時代を超えてこの令和に素晴らしい歴史ある作品に携われる事をとても光栄に思います」と語り、「ストレート舞台は約6年ぶりになりますが、緊張と責任、喜びと期待で身の引き締まる想いです」と心境を明かしました。

9月17日に40歳の誕生日を迎えたばかりの北山は、「今の時代に僕が演じる意味を持たなければ」という強い覚悟を持ってこの役に臨んでいます。三船敏郎という偉大な俳優が演じた大役を引き継ぐことへのプレッシャーと、令和の時代にこの作品を上演することの意義を深く考えながら、役作りに取り組んでいる様子が伝わってきました。

深作健太演出で新たな解釈を

今回の舞台版では、脚本を前回に続き蓬莱竜太が担当し、演出はジャンルを越えて活躍する深作健太が新たに務めます。深作演出による新しい解釈が加わることで、どのような舞台作品に仕上がるのか、期待が高まります。

北山は「混沌の時代を生き抜いた松永と、それを取り巻く人々の命のエネルギーをステージで演じ届けられる事にとても感謝しています」とコメントし、「観た後の帰り道で思わず感動のため息が出てしまう、そんな作品をキャスト一丸となって作り上げていきたいと思います」と意気込みを語りました。

豪華キャスト陣が集結

制作発表会見には、演出の深作健太と主演の北山宏光のほか、渡辺大、横山由依、岡田結実、阪口珠美、佐藤仁美、大鶴義丹といった豪華キャスト陣が登壇しました。それぞれが個性豊かな役柄を演じることで、戦後の混沌とした時代を生きる人々の姿を力強く表現していきます。

特に注目されているのが、元乃木坂46の阪口珠美です。彼女は今回、妖艶なダンサー役を演じることになり、会見では「初めての体験」について語る場面もありました。新しい挑戦に臨む彼女の姿勢も、作品に新鮮な魅力を加えることでしょう。

また、横山由依と岡田結実がダブルキャストを務めることも発表されており、それぞれの解釈による演技の違いも楽しみの一つとなっています。

北山宏光の最近の活躍

北山宏光は2023年9月にTOBEとともに新しいエンターテイメントに挑戦していくことを発表し、同年11月17日にデジタルシングル「乱心-RANSHIN-」でソロデビューを果たしました。楽曲制作やライブの演出も手掛けるほか、俳優活動など幅広く活躍しています。

2024年8月26日には1st Album「ZOO」をリリースし、全国9都市を巡るライブツアーを開催。さらに2025年6月16日には2nd Album「波紋-HAMON-」をリリースし、現在、全国11ヵ所でツアーを開催中です。

ドラマでも活躍を見せており、近年の主な作品には『君が獣になる前に』(2024年・テレビ東京)、『DOCTOR PRICE』(2025年・日本テレビ)などがあります。このように音楽と演技の両面で精力的に活動している北山にとって、今回の主演舞台は俳優としての新たなステージを示す重要な機会となるでしょう。

戦後の命のエネルギーを現代に

『醉いどれ天使』が描くのは、戦後の混沌とした時代を生きる人々の姿です。闇市を支配する若きやくざと、彼を取り巻く人々が、それぞれの葛藤や希望を抱えながら必死に生きていく様子が描かれます。戦後の人々が命を燃やすように生きた姿は、現代を生きる私たちに何を問いかけるのでしょうか。

75年以上前の作品でありながら、その普遍的なテーマは今なお色褪せることがありません。むしろ、現代だからこそ響くメッセージがあるのかもしれません。北山が「今の時代に僕が演じる意味」を強く意識しているのも、そうした作品の持つ力を感じているからでしょう。

全国3都市での公演情報

舞台『醉いどれ天使』は東京公演を皮切りに、全国3都市で上演されます。

東京公演は2025年11月7日(金)から23日(日)まで明治座で開催されます。約2週間にわたる東京での公演は、多くの観客を動員することが予想されます。

続いて名古屋公演が11月28日(金)から30日(日)まで御園座で行われ、最後に大阪公演が12月5日(金)から14日(日)まで新歌舞伎座で上演される予定です。

チケットの先行予約については、ファンクラブ会員向けの受付が7月25日より開始されており、一般販売についても公式サイトで随時情報が更新されています。

6年ぶりの主演舞台への期待

約6年ぶりとなる主演舞台に臨む北山宏光。この間、彼はソロアーティストとして音楽活動を本格化させ、ドラマでも印象的な役柄を演じてきました。そうした経験を経て、今回の舞台でどのような演技を見せてくれるのか、ファンならずとも大きな期待が寄せられています。

40歳という節目の年齢を迎え、アーティストとしても俳優としても円熟味を増している北山。三船敏郎という偉大な先人が演じた役柄を、令和の時代にどのように解釈し、表現するのか。その挑戦の行方に注目が集まります。

黒澤明監督の名作が、新たなキャストと演出で現代によみがえる舞台『醉いどれ天使』。戦後の混沌とした時代を生き抜いた人々の命のエネルギーが、2025年の舞台でどのように表現されるのか、ぜひ劇場で確かめてみてはいかがでしょうか。

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