JR東海・名松線全線開業90周年を祝う――キハ75形が特別運行、記念列車ツアーや地域連携イベントも開催
2025年、JR東海・名松線が全線開業から90周年を迎えます。記念すべき年に合わせて、沿線自治体や関係団体、地元住民が一丸となり、特別なイベントやキャンペーンが数多く企画されています。本記事では、キハ75形記念列車のツアー運転や伊勢奥津駅を中心とした盛り上がり、鉄道ファン垂涎の企画や駅弁、地域の熱意ある活動まで、90周年を軸に展開される様々な出来事を、分かりやすく丁寧にご紹介します。
名松線とは? 90年の歴史を刻むローカル鉄道
名松線は三重県松阪市の松阪駅から、終点・伊勢奥津駅までを結ぶJR東海の地方交通線です。その全線開通は1935年12月5日、90年という長い歴史と地域の生活に根付いた運行が続いてきました。沿線には、四季折々の自然や伊勢街道の宿場町、素朴な里山の風景が広がり、地元の人々はもちろん鉄道ファンからも愛されてきました。
90周年記念事業の概要――みんなで祝う特別な1日
記念行事の中心となるのは、2025年12月7日(日)に伊勢奥津駅周辺で開催される「名松線全線開業90周年記念事業&終着駅サミット」です。当日は以下のような多彩なイベントが終着・伊勢奥津駅や周辺施設で行われます。
- 記念式典(9:00~9:35):名松線の歴史や今後の展望を語る公式イベント。屋外ステージで開催。
- 記念講演会(9:45~10:45):津市八幡地域住民センターにて、大井川鐡道代表取締役社長・鳥塚亮氏を招き、鉄道の未来やローカル線の可能性を語ります。
- 記念列車出発式(11:10~11:30):伊勢奥津駅構内にて出発式を挙行。津市長が1日駅長、津クイーンが1日駅員として出発合図を行います。
- 記念シンポジウム(11:50~12:45):地域活性化や名松線の役割について熱い議論が交わされます。
- ステージイベント(13:10~16:00):音楽・パフォーマンス・地元芸能など、多彩な催しが屋外ステージで展開。
- 伊勢奥津駅前マルシェ&公式グッズ販売(9:00~15:00):ご当地グルメ、限定記念グッズ、鉄道部品オークション、モルック体験、トイレール展示など大人も子どもも楽しめる内容が目白押し。
- 伊勢奥津駅前BAL(15:30~17:00):地元商工会の協力による特別イベント、地域の味覚や人々とのふれあいが楽しめます。
目玉企画!キハ75形が名松線ではじめて営業運転――記念列車ツアー開催
最大の話題は、普段は快速「みえ」などで紀勢本線を走るキハ75形車両が、この記念イベントで初めて名松線に営業運転として入線することです。
2025年12月7日、特別ツアー列車が名古屋駅8時15分発、松阪駅を経由して伊勢奥津駅12時57分着という特別ダイヤで運行されます。本来はローカルタイプのキハ11形が主役の名松線、急行用のキハ75形が営業運転するのは歴史的にも大変珍しく、鉄道ファンの間で大きな話題となっています。
なお、列車は線区特性やダイヤの都合から、1両はツアー用特別車、もう1両は通常車両という運行形態になります。参加申し込みや詳細は、クラブツーリズム鉄道部公式X等で随時案内される予定です。
90周年限定記念ロゴと沿線高校生の関わり
今回の記念事業ロゴは、三重県立白山高校生が地域の思いを込めて制作しました。90周年記念列車には、このロゴを使った特製ヘッドマークが掲げられ、イベントの象徴として多くの人々の記念撮影スポットにもなります。地域の若い世代の力が、名松線の未来を彩る象徴になっています。
キハ11形重連運転の特別ツアーも注目
記念キャンペーン期間中、もう一つの注目企画はキハ11形2両編成の貸切ツアー。普段は朝のラッシュ時くらいしか見られないこの編成が、11月15日限定で松阪駅から伊勢奥津駅間を往復します。このような運行形態も、歴史や地元鉄道の魅力を再発見できる貴重な体験になるでしょう。
地域連携による「終着駅サミット」とまちおこし
伊勢奥津駅が名松線の「終着駅」であるユニークさを活かし、終着駅サミットも同時に開催されます。全国各地の終着駅や沿線自治体関係者が集まり、地方鉄道の活性化や観光振興について情報交換・意見発表を実施します。
地域住民と鉄道、行政が三位一体となるこの事業は、従来の鉄道イベントから一歩進み、名松線が「地域の誇り」となるきっかけ作りです。
駅弁や鉄道部品オークション、限定グッズも登場
イベント会場・伊勢奥津駅周辺では、90周年記念の限定駅弁や、鉄道ファン必見の部品オークション、NEWデザインのグッズ販売など、ここでしか味わえない特別な体験が揃います。ご当地の食材や、名松線の歴史を感じさせる部品なども人気を呼びそうです。
名松線だけの風物詩――パークアンドライド活用&アクセス情報
駅へのアクセスにも工夫が凝らされています。伊勢奥津駅や一志駅、関ノ宮駅、伊勢八知駅では、パークアンドライド用駐車場が利用でき、車と鉄道を組み合わせて快適に来場可能です。また、美杉小学校や津市美杉高齢者生活福祉センターにも臨時駐車場が設けられ、イベント来場者の利便性が高まっています。
地域と鉄道の未来へのメッセージ
90周年記念事業は、単なる懐古や一時的なイベントには留まりません。名松線の存続と未来への希望、地域の絆や誇り、鉄道を通じた持続可能なまちづくりのビジョンも体感できます。参加した人たちが自分だけの「物語」を持ち帰ることができる、そんな温かい雰囲気に包まれた行事となるでしょう。
ぜひこの機会に、名松線沿線を訪れ、その歴史と新たな一歩を感じ取ってみてはいかがでしょうか。
参考
- 津市公式サイト「JR名松線は全線開業90周年!!」
- We Love Meisho-Line「名松線全線開業90周年記念イベント」
- 鉄道プレス「キハ75形が名松線初入線へ」
- 交通新聞社「JR東海 名松線開業90周年で記念キャンペーン展開」