近鉄とJR東海が首都圏で異例の“観光コラボ” ― 品川駅に巨大ポスター登場!
2025年10月、東京・品川駅に首都圏の旅行者を驚かせる光景が生まれました。それは、近畿日本鉄道(近鉄)とJR東海が手を組み、「伊勢志摩・奈良観光」を全面に打ち出した巨大ポスターが新幹線改札口付近に掲出されたことです。
この試みは、従来はそれぞれライバル的な立場にあった鉄道会社同士が“がっつりコラボ”を実施し、日本有数の観光地である奈良・伊勢志摩への旅行促進を目指したものです。品川駅に並ぶ2つの大型ポスターは首都圏を行き交う多くのビジネスパーソンや観光客の目を引き、大きな話題となっています。
“ライバル”から“パートナー”へ ― 近鉄とJR東海のコラボの背景
まず、この取り組みがどれほど画期的かについて触れておきましょう。近鉄は関西・中京圏を中心に路線網を持つ日本最大級の私鉄、一方のJR東海は東海道新幹線をはじめとした主要幹線を運営する巨大企業です。これまで両社は利用者獲得の点で“競合関係”にありました。しかし、社会全体の旅行ニーズの多様化や、地方観光需要の創出といった共通課題に直面する中で、大胆な協力路線が選択されました。
このタッグの主な目的は首都圏からの観光客の呼び込みです。新幹線利用による東海道ルートと、近鉄による現地アクセスを一体として宣伝することで、奈良や伊勢志摩への「首都圏発」の旅行ニーズを喚起します。
品川駅に登場した2種の巨大ポスター、キャッチコピーにも注目
実際に品川駅で目にすることができる巨大ポスターはとても印象的です。JR東海側は「いざいざ奈良」、近鉄側は「わたしは、奈良派。」というキャッチコピーを掲げています。この2枚が新幹線のりば改札口付近で“向かい合うように”配置され、両社の思いが伝わる演出となっています。
- JR東海「いざいざ奈良」ポスターには俳優・鈴木亮平さんを起用。
- 近鉄「わたしは、奈良派。」には女優・杏さんが登場。
掲出期間は2025年10月6日から11月16日までとされており、1カ月以上にわたって首都圏利用者へ強いインパクトを与えています。
「伊勢志摩」「奈良」両観光地の魅力を発信
このPRキャンペーンの大きな特徴は、「奈良」だけでなく「伊勢志摩」も積極的にアピールしている点にあります。奈良は古都としての歴史や文化資産、そして伊勢志摩は伊勢神宮や豊かな海の恵みといったそれぞれ異なる魅力を持ちます。
- **奈良**…古都の世界遺産、仏閣、鹿をはじめとした伝統の魅力
- **伊勢志摩**…伊勢神宮、英虞湾の絶景、新鮮な海の幸、テーマパークなど家族旅行にも人気
この2エリアの訴求は、旅行者に「日常ではなかなか体験できない非日常」を提供する絶好のアプローチとなっています。
「新幹線×近鉄特急」連携ルートの利便性をアピール
キャンペーンの根幹には交通アクセスの利便性向上があります。一般的に首都圏から奈良・伊勢志摩にアクセスする場合、品川・東京駅などから東海道新幹線で名古屋へ向かい、そこから近鉄特急で現地までダイレクトに乗り継ぐ方法が主流です。
- 東海道新幹線「のぞみ」「ひかり」で首都圏〜名古屋を速達。
- 近鉄特急「ひのとり」「しまかぜ」などで名古屋〜伊勢志摩・奈良方面へ。
今回の巨大ポスターでは、こうした「連携ルート」を首都圏で強く訴求。鉄道旅の快適さや、アクセスの良さも具体的にアピールされています。
なぜ品川駅なのか?首都圏への狙いと驚きのインパクト
このコラボレーションキャンペーンの実施場所に品川駅が選ばれた理由も注目ポイントです。品川は新幹線の主要ターミナルであり、ビジネスや観光で日々数多くの利用者が行き交います。そのため、首都圏発・関西方面行き旅行の「玄関口」として、観光PRにはもってこいの拠点と言えるのです。
現地で実際に「近鉄電車」の巨大ポスターを目にした利用者からは、「関東で近鉄のPRを見るのは珍しい」「旅に行きたくなった」という声も上がっており、SNSなどでも話題沸騰となっています。
観光地・地方自治体も積極参加 ― わかりやすく広がる観光魅力発信
今回のプロモーションには、沿線の観光地や地元自治体も協力的です。ポスター以外にも、両社ウェブサイトやパンフレット、イベントなどでさまざまな連携企画が打ち出されています。
- 観光スポットやグルメ、体験型イベントの紹介
- お得なきっぷ、宿泊パック商品の案内
- 自治体主催のプロモーション・キャンペーンと連動
鉄道会社だけでなく、地元行政や観光協会の協力が不可欠となっており、「官民連携」の成功モデルケースとしても注目されています。
今後の展開 ― 期待されるコラボの次なる一手
今回の一連の取り組みは、今後の観光業界や鉄道業界の新たなトレンドを示唆しています。地域活性化に向けた交通各社の連携は、観光旅行の回復や多様な層へのアプローチを一層加速させる可能性があります。
近鉄とJR東海の担当者は、「今回のキャンペーンをきっかけに、より多くの首都圏住民に伊勢志摩・奈良の魅力を知ってもらいたい」と語っています。今後も、さらなるコラボレーションや新規企画の実施、期間限定の特別商品やイベントの開催も期待されています。
まとめ ― 鉄道会社同士の垣根を越えた連携による“新しい観光の形”
今回、品川駅で展開された大型ポスターによるプロモーションは、近鉄とJR東海が“競合”を越えて“パートナー”となり、双方のノウハウやリソースを活かして、より大きな観光需要を生み出すことの可能性を示しました。社会や旅行ニーズが変化する中で、鉄道会社の役割やあり方も進化していることを、多くの人々に強く印象付ける取り組みとなっています。
これからも、各地の魅力を首都圏はじめ広域に届ける新たな観光プロモーションの手法やコラボが続々と生まれていくことでしょう。近鉄とJR東海の挑戦がもたらすインパクトから、今後も目が離せません。
関連情報
- 品川駅で掲出のポスターは、2025年11月16日までの期間限定。
- 近鉄「わたしは、奈良派。」、JR東海「いざいざ奈良」各特設サイトも稼働中(詳細は両社公式サイト参照)。
- 現地各観光地や宿泊施設でも、共同キャンペーンやイベントを実施予定。