ユベントスを取り巻く激動の今:UEFA調査から財政課題、名選手の物語まで

はじめに

ユベントス(Juventus)は、イタリア・トリノを本拠地とするサッカークラブとして世界にその名を轟かせてきました。長い歴史と多くのタイトルに彩られ、そのたびにスポーツ界の注目を集めてきたユベントス。しかし2025年秋、同クラブを取り巻く状況は決して平坦ではありません。UEFA(欧州サッカー連盟)による調査の開始、財政健全化への取り組み、有名選手たちの意外なセカンドキャリア、さらには運営体制やチーム戦術にまで大きな変革の波が及んでいます。
このニュース記事では、今ユベントスに何が起きているのか、最新の出来事や関連する背景、そして各事象がクラブとファンに及ぼす影響について、詳しく解説します。

UEFAによるファイナンシャル・フェアプレー(FFP)規定違反の調査とは

2025年10月、UEFAはユベントスをファイナンシャル・フェアプレー(FFP)規定違反の疑いで正式に調査していることを表明しました。
クラブの発表によると、2022年から2025年までの3年間で「FFPのサッカークラブ収支規則(Football Earnings Rule)」に違反した可能性がある点が問題視されています。
UEFAのこのルールは、クラブが3年間で最大6,000万ユーロ(約70億円)までの赤字のみを認めており、この基準を超えた場合は追加制裁の対象となります。さらに、財政健全性の基準となる4つの条件を満たした場合、1年当たり1,000万ユーロまで赤字幅が拡大される例外も設けられています

  • UEFAは2025年春に最終的な判決を出す予定です。
  • ペナルティとしては、罰金等の経済制裁のみならず、一部大会出場停止などのスポーツ上の制裁にも発展する可能性があります。

調査開始時点でユベントスはリーグ戦で5位につけており、財政状況の健全化も急務とされています。過去10年、ユベントスは高額な移籍や選手給与による支出増大と、数度の欧州大会出場停止の影響を受けて収益減少に直面してきました

ユベントスの財務状況と改善の歩み

ユベントスの2024/2025年度決算によれば、通年損失は5,810万ユーロとなりました。これは、前年度(2023/2024年度)の1億9,920万ユーロの巨額赤字から大幅に改善された数字です
主な増収要因としては、以下の3点が挙げられます。

  • 欧州カップ戦およびFIFAクラブワールドカップへの復帰

    UEFA主催大会への復帰がクラブの収益を大きく押し上げ、放送権料やメディア収入が前年度比で7,770万ユーロ増加しました。
  • 選手登録権の売却益増

    移籍によるキャピタルゲインや選手権利の収益が7,550万ユーロ増加しました。
  • スタジアム関連収益の成長

    チケット販売やスタジアムツアー、宿泊・医療施設からの売上も過去最高を記録しています。2024/2025シーズンのシーズンチケット収入は3,320万ユーロ(前年比29%増)にのぼりました。

同時に、コスト削減策も引き続き推進され、特に選手や指導スタッフ関連の総コストの減少が赤字縮小に大きく寄与しました。
このように収益増加と支出抑制の“両輪の改革”によって、クラブはようやく財政再建の軌道に乗りつつあります。ただし未だ黒字転換には至っておらず、今後も持続的な経営改革と収益基盤の多角化が課題となります

今後の展望と変革:経営体制、スポンサー戦略の見直し

今季、ユベントスには組織運営やスポンサー戦略の面でも大きな変化がありました。

  • 経営・技術体制の刷新

    監督交代(ティアゴ・モッタ氏→イゴール・トゥドール氏)をはじめ、ゼネラルマネージャーやフットボール戦略ディレクターの新任もありました。
  • 財政基盤の強化

    最大1億1,000万ユーロの増資案が筆頭株主EXOR社主導で提案されるなど、長期的な財政支援体制を構築しています。
  • 安定したパートナーシップ

    アディダスとのテクニカルパートナー契約を2037年まで延長する等、収益基盤が着実に固められています。

これらの施策により、ユベントスは“スポーツ成績の回復”と“財政の正常化”という二つの目標達成を目指しています。2026/2027年度末には損益分岐点の回復が見込まれています

ユベントスのスカッドコストとFFP問題との関係

スカッドコスト」は、選手年俸(額面)に加え、移籍金の減価償却費も合計したものです。イタリアでは年俸は手取り(NET)で記載される場合が一般的ですが、クラブが実際に負担するのは課税前の「グロス(GROSS)」の報酬となります。

  • 例えば手取り5百万ユーロの選手には、追加で約4.25百万ユーロの税金を支払うため、クラブ負担は9.25百万ユーロとなります。
  • 選手の移籍金が50百万ユーロで5年契約の場合、減価償却費は毎年10百万ユーロずつ計上されます。

このように、高額移籍や大型契約がスカッドコストを押し上げてきたことが、今回のUEFA調査の背景にある「FFP違反疑惑」と密接に結びついています

名選手のその後:クリスティアーノ・ロナウドのチームメイトが建設作業員に?

ユベントスを巡る話題は経営・財政面にとどまりません。過去、C・ロナウド(クリスティアーノ・ロナウド)と共にプレーした選手たちの意外な“セカンドキャリア”も注目されています。中には、現役引退後にプロのサッカーから離れ、一般の建設作業員へと転身する者も現れました。
これは華やかなトップアスリートの世界から一転、地味な労働に従事する人生の変化を象徴する出来事として報じられています。

  • サッカー選手として世界最高峰に立ったロナウドのチームメイトですら、キャリア晩年には次の生き方を模索しなければならないという現実。
  • プロサッカー界の厳しさや、不安定な雇用環境も浮き彫りになるトピックです。

ピルロ×ロナウド:名将と名手の「使いにくさ」問題

チーム戦術・監督論の視点からもユベントスは興味深い話題が続きます。
アンドレア・ピルロがユベントスの監督を務めていた時、「ロナウドをチームの戦術で主力として起用したくなかった」とする証言が報道されました。

その根拠とされたのは、「ロナウドが行うスプリントやハイプレス(攻守の切り替え時の積極的なプレッシング)の数値が他選手に比べて低かった」というデータでした。

  • 現代サッカーは、フォワードや攻撃陣でも守備の“貢献度”や運動量がより重視される時代。
  • ワールドクラスであっても、個人のパフォーマンスとチーム全体のバランスをどう取るかが常に問われています。

こうした噂話や裏話も、現在そして未来のサッカー界を眺めるうえで決して無視できない材料です。

おわりに:激動のユベントスを支えるもの

UEFAによる調査、財政再建への取り組み、名選手たちの物語、そして日々進化し続けるサッカー戦術。
激動の時代にあっても、ユベントスというクラブが持つ伝統、ファンの支え、そして未来への希望は揺るぎません。
大舞台で再び輝きを取り戻すその日まで、クラブとファンが共に歩み続ける姿勢こそが、真のユベントスらしさと言えるでしょう。

参考元